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gigabeat S60V/gigabeat S30

gigabeat S60V/gigabeat S30

2006年05月22日 15時45分更新

文● 編集部・小林 久

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直感的で分かりやすい操作体系

 操作感は非常にシンプルで直感的だ。電源を入れるとWindows Mobileのロゴが表示された後、トップに“マイビデオ”“マイミュージック”など、コンテンツの種類で分類されたメニューが並ぶ。これを本体前面の十字キーとその中央にある決定ボタンで選択していく。一般的なプレーヤーでは、アルバム名やアーチスト名など、ソート方法を選ぶ画面ののち、楽曲やビデオファイルの一覧が表示されるが、本機はトップから直接ライブラリー画面が表示され、左右でソート方法を選ぶ形式となっている。メニュー階層が1段階浅いため、よりスピーディーに目的の操作が行なえる。

十字キー
本体前面の十字キー。
楽曲を選択する画面。ここで横のカーソルボタンを押すと、アーチストやジャンルなどでソートし直せる。アルバムジャケットの表示も可能だ。

 上の階層に戻る際には、十字キーの左上にある“←”ボタン、トップに戻りたい場合は、その右の“Windows”ボタンを押す。ワンプッシュでトップに戻れるのはなかなか便利である。音量調整や曲のスキップが独立したボタンになっているのも分かりやすい。

側面のボタン
側面に設けられた、選曲ボタンと音量調整ボタン

 評判のいいiPodのクリックホイールだが、静電式のホイールを利用した操作は、微妙な操作に対する反応が悪かったり、音量調整も兼ねているので、不用意に触れて大音量で再生されてしまうという歯がゆさを感じさせることもある。また、メニューの深い階層に降りた際でも、必ず1階層ずつ戻っていかないといけないなど、やや煩雑に感じる面もある。gigabeatのボタン操作中心のインターフェースには好感が持てる。



Windows MCE以外でも使用可能

 本機は動画/音楽/静止画の再生が可能。これらのファイルは、基本的に「Windows Media Player 10」を使って、パソコンから転送する。Windows XP Media Center Edtionのユーザーであれば、パソコンで録画したMPEG-2ファイル(.dvr-ms形式)を、番組情報を残して10フィートGUIから転送することも可能になる。ここでは、Windows Media Player 10を利用した方法をメインに紹介する。

Windows Media Player 10
手動でファイルを転送する場合は、同期タブを選び、左側のペインに転送したいファイルをドラッグ&ドロップし、左上の同期の開始ボタンを押すだけだ。

 転送方法は手動と自動が選べる。自動ではUSBケーブルで本機をパソコンにつないだ際に、あらかじめ指定しておいたファイルを転送するというもの。一方、手動でファイルを転送する場合は、Windows Media Playerの“同期タブ”を選び、ドラッグ&ドロップで、右側のペインに転送したいファイルを追加し、“同期の開始”ボタンを押す。このとき、動画コンテンツは本機が再生可能なビットレート(動画+音声で800kbpsまで)のWMVファイルに変換されて、転送される。なお、転送したファイルの削除はgigabeat本体では行なえず、Windows Media Playerの同期タブで行なう。

削除はマイコンピュータのgigabeatからも行なえる。gigabeatを外付けのHDDとしても利用できるが、MTP(Media Transfer Protocol)デバイスとしてWindowsから認識されるため、ファイルを“データ”フォルダに保存するなど、通常の外付けHDDと扱いは若干異なる。

 パソコンで動画を楽しんでいるユーザーのすべてが、WMV形式を利用しているわけではないだろう。WMV以外の動画ファイルを同期する際には、Windows Media Playerがgigabeatにあった形式に再エンコード(トランスコード)してくれる。パソコンで録画したMPEG-2形式やDivX形式、PSPやiPod用のMPEG-4データも、OSにCODEC(コーデック)がインストールされていれば、gigabeatに転送できる。基本的にWindows Media Player 10で再生できる形式は転送できると考えていいだろう。

 DivXやMPEG-2で圧縮した動画データも、コーデックインストール後に転送できることを確認したが、一部のビデオエンコーダーでエンコードした周辺機器では転送がうまくいかないケースもあった。複数のMPEG-2コーデックがインストールされており、Windows Media Player 10に対応していないものがローディングされる環境では転送時にエラーが生じるので、その際は不要なコーデックを削除する必要がある。

 ただし、再エンコードの時間は相応にかかる。今回、約5分のMPEG-1ファイル(720×480ドット/容量66.4MB)を、Pentium III-1.13GHz、512MBメモリーを搭載したマシンで、転送してみたところ、実時間より若干長い6分弱(5分57秒)の時間がかかった。テレビパソコンの録画形式はMPEG-2が主流になっているが、番組1本ぶんのMPEG-2ファイルを快適にWMV形式にトランスコードするには、ある程度ゆとりのあるマシンパワーと時間が必要になるだろう。

コーデックがインストールされている形式であれば、トランスコードでgigabeatに転送できる。インストールされているコーデックは、サウンドとオーディオデバイスのコントロールパネル→ハードウェアタブ→ビデオCODEC→プロパティで確認可能。

 Windows Media Player 10では、複数ファイルを一括で指定して変換と転送を行なわせることも可能だ。朝の通勤/通学時に動画を見るなら、夜寝ている間に転送処理を済ませておくといった使い方の工夫が必要だ。

 コマンドラインの操作に慣れているのなら、Windows Media Encoder 9付属の「Windows Media プロファイル エディター」で、PMC用のプロファイルを作成し、コマンドラインツールの「Windows Media エンコード スクリプト」を使用すると便利だ。これで指定したフォルダーのファイルすべてをPMC用プロファイルに変換するバッチファイルを書けばいい。

 バッチファイルは、下記の内容をテキストエディターなどで入力し、「※※※.bat」の名前で保存。それをダブルクリックすればいい。フォルダーやファイルの場所は“絶対パス名”で記述し、前後を半角のダブルクォーテーションでくくることを忘れずに。

バッチファイルに記述する内容

cscript.exe (A) -input (B) -output (C) -loadprofile (D) -v_performance 40 -pixelratio 1 1

(A)
Windows Media エンコーダーの場所(デフォルトでは、"C:\Program Files\Windows Media Components\Encoder\WMCmd.vbs)
(B)
変換する動画ファイルが保存されているフォルダー
(C)
WMVファイルを出力したいフォルダー
(D)
Windows Media プロファイル エディタで作成したプロファイルの場所
マイクロソフトのサイトから入手できるWindows Media Encoder 9で、対応したWMVファイルをあらかじめ作成しておくこともできる。画面はWME 9のプロファイル エディタで、gigabeat用のプロファイルを設定したもの

 もちろん、あらかじめ動画+音声でビットレート800kbps以下のWMVファイルを作成しておけば、変換処理なしに本体にコピーできる。800kbpsのビットレートの動画を1時間録画すると、だいたい350MB程度の容量になるが、USB 2.0経由であれば20~30秒で転送が完了するので高速だ。これなら時間のない朝でも、支度を済ませている間に転送が終わってしまう。本機はWindows Mobile搭載のため、転送が終わったら、デバイスの停止操作なしに、すぐにケーブルを抜いてしまって構わない。

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