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「事業の収益性を改善し、堅実な経営を」――三菱電機、経営戦略説明会を開催

2006年05月18日 20時08分更新

文● 編集部 飯塚岳史

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三菱電機(株)は18日、東京の本社(東京ビル)に報道関係者を集め、例年5月に行なわれている経営戦略説明会を開催した。説明会には4月1日に執行役社長に就任した下村節宏(しもむらせつひろ)氏、専務執行役の佐藤行弘氏が出席し、2006年度営業利益率4.7%を業績見通しとする具体的な施策を説明した。

社長
4月1日に社長に就任した下村節宏氏

下村氏は、まず2005年度の業績ならびに2006年度の見通しを説明。2005年度は年初の予想を大きく上回る業績を実現し、3年連続で前年度比で増益となってきている。さらに2006年度で4年連続の増益を目指すとしている。

今回発表された2005年度の業績ならびに2006年度の見通しは以下のとおり。

2005年度業績

売上高
3兆6041億円(前年度比105.6%)
営業利益/営業利益率
1577億円(同130.7%)/4.4%(前年度差+0.9%)
税引前当期純利益
1523億円(同148.8%)
当期純利益
956億円(同134.4%)

2006年度業績見通し

売上高
3兆7000億円(前年度比102.6%)
営業利益/営業利益率
1750億円(同110.9%)/4.7%(前年度差+0.3%)
税引前当期純利益
1523億円(同105%)
当期純利益
956億円(同109.8%)

経営方針としては、2006年度も現在実施している“成長性”、“収益性、効率性”、“健全性”をバランスよく追求していく“バランス経営”を推し進めて、企業価値を高めていきたい、と語った。

また、各事業においては収益性の高い事業のみに絞りこみ、堅実な経営を目指すとし、苦戦の続いている北米のAV事業部については再構築を進めている、と説明した。一方、好調な事業については増産体制や販売拠点の整備を急ぐ方向で、昇降機事業において現在では年産2万台であった中国向けのエレベーター生産体制を強化。年産3万台に増強すると発表した。その他の事業についても主にアジア向け製品の生産体制を強化するとしている。

バランス経営 環境
成長、収益・効率、健全を柱とした“バランス経営”。事業環境にそって、設備投資や事業提携を推進していく

そのほか、経営体質強化プランとして、ソフトウェア、ハードウェア生産力の強化や物流コストの削減にともなう“生産構造の改革”を進めていくとともに、成長戦略に沿った開発に集中するとしている。また、下村社長は今後の業績について「世界の市場で勝てる製品をいくつ持てるかどうかにかかっている」と語った。

具体的な成長戦略としては昇降機事業や、自動車機器事業など“強い事業をそれぞれより強く”する“VI戦略”に加えて、環境/省エネソリューションやセキュリティーソリューションなど“強い事業を核としたソリューション事業強化”を目的とする“AD戦略”の2つを推進するとし、各セグメントをさまざまなソリューションに対応する体制を作ると説明した。

成長戦略 AD戦略
成長戦略の核となる“VI戦略”と“AD戦略”“AD戦略”は“VI戦略”の各セグメントをさまざまなソリューションに対応させる戦略だ

また、重要な柱として財務体質の改善を挙げ、収益性の向上や資産、資金の効率化から借入金が縮減していると説明。借入金は1997年度末の1兆7693億円(借入金比率40.6%)から、2005年度末では6931億円(同20.9%)まで減少しており、2006年度では20%以下を目標とすると発表した。

借入金
借入金は年々、順調に減少。財務体質の改善につながっている

最後に継続的に達成すべき経営目標として、営業利益率5%以上(2006年度見込み4.7%)、ROE(株式資本利益率)10%以上(2005年度11.5%)、借入金比率20%以下(2005年度20.9%)の3つを挙げ、ROEに関しては2004年度、2005年度で目標達成しているものの、継続した目標としている。

経営目標
「営業利益率5%はまだまだ遠い目標だが、事業によっては達成しているところもある」(下村氏)

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