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【インタビュー】Mac用“ロケフリ”ソフトの全貌が明らかに!!――発売は5月末でWindowsと同等の機能を実現

2006年05月08日 16時25分更新

文● 編集部 広田稔

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ソニー(株)が4月25日に発表した、加賀電子(株)に“ロケーションフリー”ソフトのライセンスを提供し、加賀電子がMac OS X向けの視聴ソフトを開発するというニュースは、Macでテレビを楽しみたいユーザーにとって朗報となった。

ロケーションフリーといえば、2005年のIT業界のトレンドを語るうえで外せないキーワードのひとつだろう。ソニーが提案する「インターネットを通じてテレビ番組を配信し、いつでもどこでもテレビ番組を楽しめる」というコンセプトは、出張先でも普段見ているテレビをチェックしたいというビジネスマンなどを中心に受け入れられてきた。

ロケーションフリーの機能が初めて採用された製品は、2004年3月発表の無線LANベースステーションと液晶ディスプレーのセット『LF-X1』。LF-X1は店頭販売価格が15万円程度ということもあってそこまでヒットとならなかったが、2005年10月より登場したベースステーション単体モデル『LF-PK1』とWindows用ロケーションフリープレーヤー『LFA-PC2』で状況が一変。

『プレイステーション・ポータブル(PSP)』やWindowsパソコンを使って無線でテレビを見られる、店頭販売価格が3万3000円前後で購入しやすいといった理由でユーザーに大いに受け入れられて、発売後しばらくLF-PK1が品切れを起こすほどの人気を集めた。2006年2月には、経済産業省が開催する“ネットKADEN2005”で大賞にも選ばれている(ちなみにiPod nano & iTunes Music Storeはデザイン賞を受賞)。

LF-PK1 LFA-PC2
『LF-PK1』『LFA-PC2』

そしてLF-PK1と加賀電子が開発するソフトを組み合わせることで、いよいよMacでもロケーションフリーが利用可能になるわけだ。

MacといえばWindowsに比べてTVキャプチャー機器の選択肢が極端に少なく、テレビ視聴/録画に関して制約が多かったこともあって、ソフトの詳細が気になるユーザーもいるだろう。今回は製品の発表に先駆け、加賀電子の販売促進第二部 第一課マネージャーの光田直樹(みつだなおき)氏を取材し、開発途中のソフトについてうかがった。

光田氏
加賀電子 販売促進第二部 第一課マネージャー 光田直樹氏


[ASCII24] 開発のきっかけは?
[光田] Mac版を作ろうという話は、もともとWindows版のロケーションフリープレーヤーを発売する前から出ていました。ロケーションフリーの関連製品を手掛けるソニーのビデオ事業本部 LFX事業室 事業室の前田 悟(まえださとる)室長は、「いろいろな機器の垣根を越えてロケーションフリーを広げていきたい」という考えを持っていたようです。

加賀電子は“TAXAN(タクサン)”ブランドでMac周辺機器も数多く出していますし、その流通にも長年関わってきました。加賀電子はソニーとつながりがあるうえ、Mac業界にも強いということで、今回ライセンスを受けて開発を始めることとなりました。

[ASCII24] Mac版はWindows版のソフトと同じ機能?
[光田] チャンネル変更や録画など、基本的に大きな機能差はありません。例えば、無線LANベースステーションのLF-PK1はMPEG-4で映像を圧縮した後、プレーヤー側に転送していますが、その際の転送レートもWindowsと同じように自動/手動(6段階)が選べます。

LF-PK1を利用したロケーションフリーは、LF-PK1に4台までの機器を登録しておき、1対1で映像を配信するという仕組みです。Mac用のロケーションフリープレーヤーは複数台のMacにインストールすることがライセンス的にも可能なので、家にいるときはiMac、外出時はiBookといったマシンの使い分けも可能です。

[ASCII24] 動作環境や対応OSは?
[光田] メーカーが保証できる動作環境としては、PowerPC G4/G5でクロック周波数が867MHz以上のCPUを採用したMacを指定しようと考えています。推奨環境は1GHz以上です。ただし、867MHz以下のCPUを搭載したMacでも、バス幅などが高速なモデルでは問題なく使える場合もあります。

ソフトがUniversalアプリケーション化されているので、Intel製CPUを搭載したMacでもネイティブで動作します。対応OSは、Mac OS X 10.2.8以上で、QuickTime 6.4以上が必要です。

[ASCII24] テレビを見ながらほかの作業はできますか?
[光田] CPUの使用率を示すソフトを見ると、ロケーションフリープレーヤーの動作時はCPUを目一杯使っているのがわかります。これはWindows版のソフトでも同じ傾向ですが、Mac OS Xではマルチスレッド機能が優れているため、ある程度パワーのあるマシンなら平行作業も不可能ではないと思います。私の使っているiMac G5/1.6GHzでは、ウェブブラウズ程度ならテレビを見ながらこなせました。

[ASCII24] 気になる発売タイミングと価格は……
[光田] 実際に動作している画面はちょっとお見せできませんが、現在最終デバッグの段階で、5月末の発売を予定しています。市場販売価格は2000円台半ばで、パッケージ版のみのリリースとなります。LF-PK1とMac版ソフトのバンドル販売なども検討中です。ロケーションフリー関連の製品は、加賀電子でも海外に赴任する人が必ず買っていくアイテムなので、出張の多い方などはぜひご期待ください。


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