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初夏を撮るデジカメ――高級レンズ一体型カメラ編

初夏を撮るデジカメ――高級レンズ一体型カメラ編

2006年05月08日 00時00分更新

文● 小林 伸

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ソニー「Cyber-shot DSC-R1」

DSC-R1
DSC-R1

 液晶ビューファインダー(EVF)搭載のレンズ一体型デジタルカメラ。2.0インチの液晶ディスプレーは、自由な角度に動かせる“フリーアングル”タイプで、ボディの上部という珍しい場所にある。

 このディスプレーを単純に上向きにして使用すると、中判カメラのウエストレベルファインダーで撮影しているような気分になる。ストラップでカメラを首からかけ、胸の位置に固定したカメラを上からのぞき込むように撮影すると1/15秒程度のシャッタースピードでも、ブレにくい。なかなか面白い操作感である。搭載している約1000万画素のCMOSイメージセンサーは本機のために開発したもので、21.5×14.4mmと大型。APS-Cサイズに迫るサイズで、コンパクトデジタルカメラなどに搭載されているセンサーよりダイナミックレンジが広く階調が豊かである。

 レンズは35mmフィルム換算の焦点距離で24~120mm相当の光学5倍ズームレンズを搭載している。広大な風景から人物のスナップなどをメインの被写体にしているユーザーにはちょうどいい焦点距離だろう。広角でも歪みの少ない専用設計されたレンズや、高画素のセンサーによる緻密な描写は、同価格帯のエントリー一眼レフ機の水準を超えているといってもいい。

 一眼レフデジタルカメラとは違い、ライブビューで確認しながら撮影ができるのも魅力だ。特に“プレビューモード”では設定したパラメーターでのでき上がりをシミュレーションしながら撮影できるし、“フレーミングモード”では肉眼でも暗くて見えづらい時にでも、ディスプレーの画像を明るくすれば構図の確認ができて便利である。こういった操作性や画質への配慮はレンズ一体型だから、できたと言える。



撮影サンプル――高精度のノイズリダクションとダイナミックレンジの広さに注目

 2秒の長時間露光で夜の街を撮影した。RAWデータの段階でノイズリダクションを行なう“クリアRAW NR”のおかげか、色ノイズやざわつきのようなものは、皆無に近い。レンズの広角側を利用した撮影だが、建物の輪郭に歪みは見られず、レンズの素性の良さを物語っている。

 さらにシャッタースピードを遅くして、10秒の露光を行なってみたところ、近未来を思わせる面白い写真が撮れた。こちらもノイズはほとんど見られず、デジタルカメラで撮影したというよりも、CGで描いたような不思議な雰囲気が得られた。実は、撮影途中に歩行者がカメラの前を横切ったのだが、長時間露光のため消えてしまっている。

 こちらはレンズの望遠側でマクロ撮影を行なった写真。透明感のある色合いが印象的だ。白い花びらの中にある、微妙な階調もきれいに再現されている。テレ端で絞りを開放(F4.8)にしたため、背景はかなりボケている。

 レンズのワイド側を使い、完璧な逆光状態で撮影してみた。このような厳しい状況でも、手前に写った人影が黒く潰れないうえ、空の階調も残っている。ダイナミックレンジの広さがうかがえる。また、地平線にも歪みは見られずほぼ直線となっている。レンズの優秀さが分かる。

 お神楽の風景を撮影してみた。発色は過度な強調がない自然なものだが、和服の朱色と背景の緑のメリハリが利いている。発色も良好だ。

DSC-R1の主なスペック
撮像素子 有効1030万画素CMOSイメージセンサー(21.5×14.4mm)
出力サイズ 最大3888×2592ドット
レンズ 光学5倍ズーム、f=14.3~71.5mm(35mmフィルムカメラ換算時:24~120mm)、F2.8~4,8
光学式手ぶれ補正 ――
記録メディア メモリースティック、コンパクトフラッシュ(TypeII)
シャッター速度 1/2000~30秒
連写速度 最大3枚
液晶ディスプレー 2インチTFT液晶パネル(約13万4000画素)
液晶ビューファインダー 0.44インチTFT(23万5000画素)
静止画記録形式 JPEG、 RAW
動画記録形式 モーションJPEG(VGA、15fps)
ISO感度 自動/160/200/400/800/1600/3200
電源 専用リチウムイオンバッテリー(NP-FM50)
撮影可能枚数 約500枚(CIPA測定法準拠、メモリースティック使用時)
本体サイズ 幅139.4×奥行き156×高さ97.7mm
重量 約926g(本体のみ)
実売価格 10万円前後(2006年5月1日現在)

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