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日本通信、データ通信カードを利用する専用線サービス“PWLL”を発表

2006年04月24日 20時52分更新

文● 編集部 橋本優

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日本通信(株)は24日、PHSや第3世代携帯電話(3G)通信カードとバックエンドの専用線サービスを組み合わせることで、低価格化を図った“パーソナル専用線サービス PWLL(プエル)”についての発表会を開催した。現在、銀行や証券会社など数社とサービス提供について交渉中だという。

“PWLL”の説明を行なう日本通信(株) 代表取締役社長の三田聖二氏

PWLLは、“Personal Wireless Leased Line”の略で、金融取引や証券取引など、主に企業と個人の間で行なわれる通信用に提供される専用線サービス。このサービスは同社から企業に提供されるもので、個人ユーザーへはサービスの提供を受けている企業からの提供となる。個人ユーザーはあらかじめ、同サービス用のソフトウェアをパソコンに導入しておく。その上で専用のPHSデータ通信カードや3Gデータ通信カードをパソコンに挿入することで、ソフトウェアがカードを認識し、(パソコンに繋がっている)ほかのネットワークをすべて遮断する。これにより、アクセス先までの通信にほかのネットワークが介在することがなく。安全に取引などが行なえるという。

使用する通信カードに関しては、PHSはKDDI(株)を挙げ、3Gについてはボーダフォン(株)と交渉していたが、ソフトバンク(株)による買収のためにいったん交渉がストップしているという。また、大量の回線を用意する必要のある企業に対しては(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモのFOMA通信カードを採用するなど、顧客のニーズに合わせて選定するという。このため価格は企業ごとに異なるため“非公開”としながらも「従来の(有線による)専用線サービスと比較して、50分の1~100分の1程度で提供可能」という。今回のサービスについて同社代表取締役社長の三田聖二氏は「我々にとっては非常に重要なサービス」と位置づけ、「3GのキラーアプリとしてPWLLを利用していただけるのではないか。今の金融がらみの取引をすべて第3世代(3G)に乗っけていく」と意気込みを語った。

米Arxceo CEOのドナルド・デイヴィッドソン氏

また、同社が3月3日に米Arxceo(アレクセオ)社を買収したことに触れた。米Arxceoは小型の不正侵入防御システム“Ally ip”を開発・販売しており、日本通信はそのソフトウェア技術を同社のモバイル端末に活かしたい考え。発表会では米Arxceo CEOのドナルド・デイヴィッドソン(Donald Davidson)氏が壇上に上がり「日本通信は企業のネットワークセキュリティーを維持したモバイルデータ通信を可能にし、一方米Arxceoは多くのネットワークに配備できる不正侵入防御システムによりネットワークセキュリティーを強化できる。両社のこの先進的な技術が重要だ」と述べた。

さらに今月3日、米国に日本通信100%子会社のCSCT社(Communications Security and Compliance Technologies Inc.)を設立したことにも言及した。日本通信は昨年12月、米国の移動体通信事業者であるCellco Partnership社と提携。これにより、米Cellco Partnershipが提供する“ベライゾン・ワイヤレス(Verizon Wireless)”サービスを取得し、ネットワークは確保した。しかし米国の厳しいセキュリティー関連法(SOXやHIPPAなど)への対応が課題となっており、今回の子会社設立はその課題をクリアーし、米国に本格進出するためのものだという。

お詫びと訂正:本稿掲載当初、「Cellco Partnership社を買収」との記述がありましたが、正しくは「Cellco Partnership社と提携」です。ここにお詫びし、訂正いたします。(2006年4月25日)

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