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カシオ計算機、クラス最小・最軽量のA3対応カラーページプリンター“SPEEDIA”『N3500』『N3000』を発表

2006年04月13日 14時46分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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カシオ計算機(株)は13日、東京・大手町の経団連会館にプレス関係者を集め、タンデム方式のA3対応カラーページプリンターとしてはクラス最小・最軽量(2006年4月13日同社調べ)となる新製品、“SPEEDIA(スピーディア)”『N3500』『N3000』の2製品を発表した。価格と発売日は、カラー毎分24枚(A4普通紙印刷時)の上位機であるN3500が26万400円(6月2日発売予定)、同じくカラー毎分16枚の普及機であるN3000は20万7900円(8月1日発売予定)となる。

樫尾 彰氏
取締役 営業本部国内営業統括部長の樫尾 彰氏

発表会には、取締役 営業本部国内営業統括部長の樫尾 彰(かしおあきら)氏、開発本部システム統括部第四開発部長の井上正広氏、営業本部国内営業統括部システム企画部次長の藁谷幸司(わらがいこうじ)氏らが出席し、新製品の特徴や開発コンセプト、カラーページプリンター市場の動向などを語った。

A3カラーページプリンター“SPEEDIA”『N3500』
今回発表されたコンパクトなA3カラーページプリンター“SPEEDIA”『N3500』(Suicaが乗っているICカードリーダーはオプション)

最初に樫尾氏が挨拶に立ち、「カシオは21年前(1985年)に世界初の“液晶シャッター採用”モノクロプリンター『LCS-2400』でページプリンターに参入した。その後も1996年に世界初の“ポータブル型(卓上)4連タンデム方式”や世界最速(発表当時)の世界最速カラーページプリンターを発表して話題を集めた。カシオのカラーページプリンターの強みは、高速・高画質というハードウェア機能追求だけでなく、長尺紙/耐水紙/厚紙など特殊紙に対する適応力を強化して10年間やってきた。これに業種に併せたソフトウェアを組み合わせて、流通業のPOP(拡販材)、小学校の掲示物、薬局の薬袋印刷など専門的な用途に愛用されている。今日発表する“SPEEDIA N3000シリーズ”は10年間の歴史の集大成として、できる限りの機能やノウハウをコンパクトに集約した上で、セキュリティー/エコロジー/エコノミーを搭載した。従来の専門用途のみならず、一般のオフィスの基幹ページプリンターとしても愛用してもらえると確信している」と自信を見せた。

カシオのページプリンター事業の歩み
カシオのページプリンター事業の歩み

今回発表されたN3500/N3000の開発コンセプトは樫尾氏の言葉にもあるとおり、

  • 小型・軽量・省スペース
  • ユーザーフレンドリー設計
  • セキュリティー
  • エコロジー

などが挙げられる。小型化については、単に従来モデル(SPEEDIA『N5100』)から設置面積で30%、容積で46%、重量で38%減少させただけでなく、標準で2段の給紙カセット(普通紙で合計400枚セット可能)、両面印刷ユニットを内蔵して、幅590×奥行き539×高さ388mm/重量45kgに収めたというもの。

井上正広氏 N3500/N3000のコンパクト化のポイント
開発本部システム統括部第四開発部長の井上正広氏井上氏が挙げたN3500/N3000のコンパクト化のポイント

コンパクト化のポイントとして開発担当の井上氏は、

  • 感光体ドラムを従来の直径30mmから24mmに小径化し、小型化しやすいLEDヘッドを採用したこと
  • 粒子径が従来の9μmから6μmに縮小・粉砕した新開発の独自トナーを採用したこと
  • 薄い定着ベルトをヒーターで素早く加熱・定着させる“オイルレス/ベルト方式”の小型定着方式を独自に開発・採用したこと
  • 中間転写ベルトを使ったショートペーパーパス(紙送り)を採用したこと
  • 新規にLSIを開発・製造し、LANボードを内蔵する新規基板を搭載したこと

などを紹介した。粒子径が小さいトナーは、トナーカートリッジを30%小型化しただけでなく、定着に必要な熱量も省エネルギー化を実現した。さらに文字の輪郭や中間調の表現などにもメリットがあるという。

N3000の前面カバーを開けたところ 省スペース設計のメリット
N3000の前面カバーを開けたところ。前面からトナーもドラムも交換でき、右側にペーパーパスがあるため、上部カバーを開けることなく紙詰まりなどのメンテナンスが行なえる省スペース設計のメリット

ショートペーパーパスは、本体下部の用紙カセットからほぼ垂直に紙を吸い上げ、ドラムからトナーを転写したベルト、および定着ベルトの間を通過して直線的に排紙口に出力される。パスが短いため紙詰まりも起こりにくく、万一詰まった場合でもメンテナンスが容易だと説明する。この設計はユーザーフレンドリー設計のコンセプトにもつながり、前面カバーを開けることでトナー/ドラムの交換、紙詰まりのメンテナンスが可能。1段目給紙カセットに封筒や厚紙などの特殊用紙もセットでき、他社製品のように手差しトレイを開く/引き出す必要がなく、上部や左右に余裕がない場所にも設置できるというメリットがある(ただし、手差しトレイも内蔵する)。

Suicaを使って認証印刷機能のデモを行なった
Suicaを使って認証印刷機能のデモを行なった

セキュリティー面では、N3500にオプションの“USBホスト拡張ボード”およびICカードリーダー(印刷するクライアント・パソコン側にもICカードリーダーが必要)を接続することで、印刷実行時にICカード(FeliCaやMifare、RFIDデバイスなどに対応)で認証しておくと、プリンター側で同じICカードの認証があるまで印刷実行されず、誤って(あるいは悪意のある第三者が)印刷物を持ち出す事故を防げるという(N3000は非対応)。このほか、コピー機で複写すると地紋が表示される印刷設定を管理者が強制的に全出力に発行する“強制セキュリティー印刷”、管理者が印刷可能な権限や印刷のための条件(認証手順)をユーザー単位で設定できる“印刷権限設定機能”が用意されている。

エコロジー機能としては、印刷に用いるトナー量を1%単位で設定できるほか、すべてのユーザーに強制的にトナー利用量の削減を設定する機能、指定した時間帯には待機電力10W以下のスリープモードに強制的に移行させる“時間指定スリープモード”などを備える。

ページプリンターの市場規模(国内) 用途別のカラーページプリンター出荷推移
ページプリンターの市場規模(国内)。モノクロプリンターは下がり続けているが、2006年予測((株)インターウォッチ調べ)ではカラーページプリンターは30万台を超す成長が見込まれている用途別のカラーページプリンター出荷推移。従来カシオが押さえてきた特殊・専門用途だけでなく、今回のN3000シリーズの投入によって一般市場でもシェア拡大を図っていきたいと説明。なお、現在のカシオのページプリンター全体のシェアは、特殊用途に限ると10%強、全体では3%弱だという

このほか、主なスペックは以下の通り。

SPEEDIA N3500/N3000
印刷解像度:600dpi(ソフトウェア補間により600×1800dpi相当)
印刷速度(N3500):カラー毎分24枚/モノクロ毎分30枚(普通紙)、カラー/モノクロ毎分22枚(厚紙)、カラー毎分21イメージ/モノクロ毎分25イメージ(両面印刷)(すべてA4印刷時)
同(N3000):カラー毎分16枚/モノクロ毎分30枚(普通紙)、カラー/モノクロ毎分22枚(厚紙)、カラー毎分21イメージ/モノクロ毎分25イメージ(両面印刷)(同条件)
ファーストプリント時間:カラー約12秒/モノクロ約8秒
ウォームアップ時間:約30秒(室温23℃、スリープからの復帰時)
インターフェース:USB 2.0/Ethernet(10/100BASE-TX)
CPU:64bit RISCプロセッサー内蔵
メモリー:128MB(最大256MB)
HDD:オプション(40GBタイプを内蔵可能)
内蔵フォント:平成明朝/平成ゴシック/欧文フォント14書体/ANK/OCR-B
消費電力:最大1200W以下/平均560W/スリープ時平均約10W以下
耐久枚数:60万枚/約5年(N3500)、48万枚/約5年(N3000)
対応OS:Windows 98/Me/2000/XP、Windows Server 2003

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