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【IDF Japan 2006 Vol.1】“インテル・デベロッパー・フォーラム Japan 2006”開幕!――基調講演ではマルチコアへの取り組みとビジネスプラットフォームの今後を説明

2006年04月06日 22時05分更新

文● 編集部 小西利明

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ずらりと並んだインテルのデュアルコアCPUを掲げる、米インテル副社長兼デジタルエンタープライズ・グループ サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏
ずらりと並んだインテルのデュアルコアCPUを掲げる、米インテル副社長兼デジタルエンタープライズ・グループ サーバー・プラットフォーム事業部長のカーク・スカウゲン氏

基調講演の第2部では、デジタルエンタープライズ部門を担当するスカウゲン氏による、エンタープライズプラットフォームの今後についての講演が行なわれた。スカウゲン氏はまず2006年のエンタープライズ部門について、プロセス技術、Coreマイクロアーキテクチャー、プラットフォームへのフォーカスの「3つを同時にやる年」であると述べ、特にサーバープラットフォームについての話題を重点的に語った。

スカウゲン氏がサーバーの話題でまず取り上げたのが、特に日本で順調なItaniumベースのサーバーシステムについての話題である。スカウゲン氏はこの分野でライバルである米サン・マイクロシステムズ社や米IBM社のシステムを引き合いにして、従来のミッションクリティカルなサーバーシステムは、ベンダー固有のOS、CPUやハードウェア、アーキテクチャーなどで構成され高価なものだったと評した。一方でItaniumベースのシステムはさまざまなベンダーによる「選択を提供する」と述べ、全世界で2006年から2010年にかけて100億ドル(約1兆1770億円)にものぼる投資を行ない、現在では6000以上のアプリケーション、10種類のOSがItaniumシステムをサポートしていると述べた。また米オラクル社がビジネスアプリケーションパッケージ“E-Business Suite”やミドルウェア“Fusion Middleware”を、次世代Itaniumである“Montecito(モンテシト)”への対応を発表したほか、マルチコアプラットフォーム向けのライセンス形態を、“1CPUコアに対して0.5”と、サン・マイクロシステムズのSPARCプロセッサー向けの0.75より割安にするなど、Itaniumに向けた取り組みが広がっているとした。

ベンダー固有のSPARCやPowerPCベースのミッションクリティカルシステムに対して、Itaniumベースのシステムは多くのベンダーやOSが提供されており、ユーザーに選択肢を与えられるとするスライド
ベンダー固有のSPARCやPowerPCベースのミッションクリティカルシステムに対して、Itaniumベースのシステムは多くのベンダーやOSが提供されており、ユーザーに選択肢を与えられるとするスライド

スカウゲン氏の講演の中でも重要なトピックは、サーバーシステム向けの仮想マシン技術についての話題であった。インテルは従来ソフトウェアベースで実現されていた仮想マシン技術を、ハードウェアにも仮想化支援技術を実装する“インテル バーチャライゼーション・テクノロジー”(VT)を開発。VTに対応するXeonプロセッサーなどが発表されている。スカウゲン氏はVTに対応するx86 CPUサーバーの出荷が順調に伸びているとしたうえで、VTの普及を促進するための“インテル VTアクセラレーション・プログラム”を、世界で初めて発表した。このプログラムはVTを活用したソリューションの普及を目指し、システムメーカーや仮想化ソフトウェアベンダー、システムインテグレーター各社と協力して行なうもので、異なるベンダー間のVT対応システムやソフトウェアなどの互換性向上や対応ソリューション、アプリケーション開発を支援する。

仮想マシン技術VTの普及を目指すインテル VTアクセラレーション・プログラムのパートナー企業
仮想マシン技術VTの普及を目指すインテル VTアクセラレーション・プログラムのパートナー企業

インテル自身は、東京に“インテル VT検証ラボ Tokyo”を開設し、VT対応プラットフォームでのアプリケーションの動作検証などを支援するほか、同社やプログラム協力各社からの技術情報提供、対応済みアプリケーションをソリューションカタログとして公開する予定が発表されている。

また第1世代のVTの次のステップとして、仮想マシン環境でのI/O利用の効率や柔軟性を高める“Directed I/O”(※1)についても、すでに仕様が公開されており、幅広い対応が期待されるとしている。

※1 正確には“Directed I/O向けインテル バーチャライゼーション・テクノロジー”

エンタープライズ向けプラットフォームについては、チャンドラシーカ氏の講演でも触れられたBensleyプラットフォームについて述べられた。Bensleyは2~3ヵ月後に登場する予定で、最新のデュアルコアXeon(Dempsey:デンプシー)かWoodcrestをCPUに、チップセットはFB-DIMMメモリーや“インテル I/Oアクセラレーション・テクノロジー”に対応する“Blackford(ブラックフォード)”、ネットワークインターフェース“Gilgal(ギルガル)”などで構成される。スカウゲン氏はBensleyプラットフォームを「非常に期待を持っている」と述べ、既存のXeonサーバーに比べて200%のパフォーマンス向上を、WoodcrestをCPUに採用することで300%の電力性能比を実現できるとした。

Bensleyプラットフォームを構成するコンポーネント
Bensleyプラットフォームを構成するコンポーネント

Bensleyプラットフォームについては、日本HP 執行役員 テクノロジーソリューション事業統括 エンタープライズストレージ・サーバ統轄本部 統轄本部長の松本芳武氏がゲストで登壇し、Bensleyを「待っていましたという感じ」と期待を示した。日本HPでは同社の“HP ProLiantサーバ”でBensleyプラットフォームを導入する予定と述べ、Woodcrest-3.0GHzを2個(4CPUコア)搭載した“ProLiant DL380”と、CPUとチップセット以外はほぼ同様の構成で揃えた、サン・マイクロシステムズのサーバー“SunFire x4200”(デュアルコアOpteron 280-2.4GHz×2)との性能比較を実演した。実演されたデモでは米SunGard社の“Adaptiv Credit Risk”というアプリケーションのシミュレーションを、2つのマシンで同時に実行するもので、WoodcrestベースのProLiantが処理を終えた時点では、SunFireはまだ50%程度の処理を終えた状態だった。

また松本氏はItanium 2のデュアルコア版であるMontecitoについても、半分のプロセッサー数で25%のパフォーマンス向上が可能として、同数のプロセッサー数のシステムでの飛躍的なパフォーマンス向上が実現できるだろうと期待を述べている。

スカウゲン氏はさらに「デュアルコアは(マルチコアの)取りかかりである」と述べて、2007年予定のクアッドコアCPU Clovertownを2個搭載し、4×2の計8CPUコアで動作するシステムのデモを日本で初めて公の場で披露した。デモはインテルがデュアルコアCPUのパフォーマンスデモでよく使う3Dグラフィックスレンダリングベンチマーク“CineBench”を用いて行なわれたが、WindowsのCPUパフォーマンスメーターが8個並び、一気に画像をレンダリングする様子が披露された。

クアッドコアのClovertownをデュアルCPU構成で搭載したシステムによる、8CPUコアマシンでのデモ。上のCPUメーターが8つ並んでいるのが分かる
クアッドコアのClovertownをデュアルCPU構成で搭載したシステムによる、8CPUコアマシンでのデモ。上のCPUメーターが8つ並んでいるのが分かる

2006年後半に投入される予定の、クライアントプラットフォーム“インテル プロフェッショナル・ビジネス・プラットフォーム”についての説明も行なわれた。CPUにCoreマイクロアーキテクチャーのConroeを採用するこのプラットフォームでは、VTやリモート管理機能“インテル アクティブ・マネージメント・テクノロジー”などに対応するほか、Windows VistaとOffice 12への対応も表明されている。スカウゲン氏はConroeと新プラットフォームにより、70%のパフォーマンス向上と40%の消費電力低減を実現するとした。

モバイル、デジタルホームに続く第3のプラットフォーム“インテル プロフェッショナル・ビジネス・プラットフォーム”の主要コンポーネントとサポートされる主な技術。2006年後半の登場予定
モバイル、デジタルホームに続く第3のプラットフォーム“インテル プロフェッショナル・ビジネス・プラットフォーム”の主要コンポーネントとサポートされる主な技術。2006年後半の登場予定

ビジネス・プラットフォームについては次世代のプランとして、次世代VTがサポートするDirected I/Oや、悪意あるアプリケーションからデータを保護するセキュリティー強化を実現する“LaGrande(ラグランデ)テクノロジー”の実装などの予定が示された。LaGrandeについては資料が同社から提供されているほか、2006年後半に対応ハードウェアやプラットフォームが登場予定とのことである。

講演の最後にスカウゲン氏は、デスクトップ向けクアッドコアCPUであるKentsfieldのデモを国内で初披露し、サーバーだけでなくビジネスデスクトップ分野にも、クアッドコアCPUが現実のものとなることの一端を披露してみせた。

こちらも日本初公開となった、デスクトップ向けクアッドコアCPU Kentsfieldのデモ。画面に4つのCPUメーターが写っているのがお分かりになるだろうか
こちらも日本初公開となった、デスクトップ向けクアッドコアCPU Kentsfieldのデモ。画面に4つのCPUメーターが写っているのがお分かりになるだろうか

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