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【最新パーツ性能チェック Vol.39】ついにVIA CPUが90nmに! 2次キャッシュ倍増でSSE3装備の「C7」は理想の家庭内サーバになれるか?

2006年04月15日 22時44分更新

文● 月刊アスキー 野口岳郎

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 VIAが2005年6月のComputexで発表したコードネーム“Esther(イスター)”、またの名を“C5J”としていた新CPU“C7”が、ようやく自作PCで利用可能になった。4月5日から、VIAのmini-ITXマザーボードがクロック別に3種類、秋葉原で発売されている。元祖「小型静音低消費電力」マザーである“EPIA”シリーズは、VIA初の90nm・SOIの“C7”投入でどう変わったかをチェックしていこう。

左が「EPIA EN15000」、右が「EPIA EN12000E」

キャッシュ倍増、SSE2/3&NX装備

 VIAのCPUは当初、今はなきCyrix社の開発陣による「Cyrix III」を「VIA Cyrix III」として発売しようとした経緯からか、“C3”という商品名が冠せられてきた。それが今回、一気に“C7”となったことから、VIAの今回の新CPUに対する意気込みが伺える。

 CPU内部での主な変更点は、

・2次キャッシュが従来の2倍の128KBになった
・セキュリティや暗号化処理を高速化するSHA-1、SHA-256、RSAのアルゴリズムのアクセラレーション機能を装備した
・NXビットに対応し、バッファオーバーランタイプのウイルスをブロックできる
・SSE2/3に対応
――などとなっている。

 以上のことからわかるように、“C7”は“C3”の改善バージョンであり、たとえばPentium 4が“Conroe”になるときのような、抜本的な再設計がなされたわけではない。“C3”シリーズは、内部コードネームでは“C5A/C5B”(Samuelコア)→“C5C”(Ezraコア)→“C5N”(Ezra-Tコア)→“C5XL/C5P”(Nehemiahコア)と進化してきたが、その次の“C5J”(Estherコア)が、今回の“C7”であることを見てもそれは分かる。
 CPUの内部的な素性を示す「CPUID」の値も、前世代の“C3”(C5P)が「698」に対し、“C7”は「6A9」で、基本的なアーキテクチャの世代を示す一桁目のファミリーナンバーは“6”のまま変わっていない。これが変わるのは、次世代の2命令同時実行型コア“CN”が出てきたときになるのだろう。

左が“C3”最上位の“C5P”タイプ、1.33GHzのスペック、右がC7-1.5GHz。CPUの“モデル”番号が“9”から“A”に1つ上がっている。Revision欄にコアの内部コードが表示されている。表示によれば、「C7-1.5GHz」は、100MHzの基準信号を4倍にして動かしているようだ(当初のPentium 4と同じ)。2次キャッシュが128KBに増えている点に注目

 にもかかわらず今回、まるで別CPUのような名前が付けられている最大の理由は、インテル互換の“P6”バスからついに決別し、VIA独自の“V4”バスに移行したことをアピールするためだろう。Pentium IIIで用いられたソケット370の“P6”バス――最高FSB 133MHzというスペックは、今の時代のメモリや外部機器と組み合わせるには確かに非力だ。“V4”バスによって、FSBは400または533MHzに引き上げられ、帯域は1.06GB/秒から3.2~4.2GB/秒に広がる。

 なお、“C5J”の開発アナウンス時には、“V4”バスとともにPentium M互換のバスをサポートすると表明されていたが、これは結局キャンセルされ、“V4”バスのみのサポートとなった。また、パッケージも現状ではマザーボードに直づけするnanoBGA2版しかないため、当初は可能性があった「Pentium Mマザーへの“C7”装着」は、信号レベルでも、パッケージレベルでも不可能となった。実際、高価なPentium MやCore Duoマザーに、わざわざ“C7”を差す理由も見あたらないし、“C7”が通常オールインワンのmini-ITXマザーに載せて供給されていることを考えれば、マザーの製造コストを引き下げられる小型BGAパッケージを重視するのは当然ではある。

 このほか重要なポイントとして、今回から製造がIBMの90nmのSOIプロセスに移ったことが挙げられる(従来はTSMCの130nm)。“C7”は、キャッシュ倍増などのため、トランジスタ数が従来の2000万から2600万に増えているにもかかわらず、ダイサイズは従来の47mm2から32mm2へと、約3分の2に縮小している。Pentium M(Dothan)の3分の1というサイズはコスト競争力を高め、5分の1のトランジスタ数が低消費電力に貢献することになる。 (次ページへ続く)

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