このページの本文へ

前へ 1 2 3 4 次へ

【最新パーツ性能チェック Vol.39】ついにVIA CPUが90nmに! 2次キャッシュ倍増でSSE3装備の「C7」は理想の家庭内サーバになれるか?

2006年04月15日 22時44分更新

文● 月刊アスキー 野口岳郎

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

システムレベルで31Wの低消費電力

 おおざっぱに言えば、C7-1.5GHzはPentium M-600~700MHzの性能ということになりそうだが、これはたいした問題ではない。そもそも“C3”にしろ“C7”にしろ、撮り溜めた映像をえんえんとエンコードするとか、CGのレンダリングをする、といった用途は想定していない。“C3”/“C7”の真骨頂は、小さなminiITXのマザーにCPUはじめPCとして必要なパーツが盛り込まれていて、手軽に安価に小型静音低消費電力PCを作れることだ。用途としては、家庭内サーバ、Webブラウザ、一般的なオフィスツールの利用、DVDの再生、といった日常的な作業を想定している。

 グラフ9、10は、マクロで作成したWordとExcelのベンチマーク結果だ。Pentium M-1.5GHzにおける所要時間を1として比較しているが、見てのとおり、“C7”とPentium Mの差は30%もない。こうした業務では、処理のボトルネックは2Dグラフィック描画能力なので、CPUの差はたいして出ないためだ。さらに、こうした作業では処理時間の真のボトルネックは人間の操作待ち時間であり、実際の作業時間の差はもっと小さくなるだろう。エンコードをするなら“C7”はやめたほうがいいが、オフィスワークなら十分と言えそうだ。しかも、1.3GHz版以下ならファンレスにできるというメリットもある。

グラフ9、10 WordとExcelのベンチマーク結果。Pentium Mと“C7”の差は30%ほどしかない。“C3”に比べ、“C7”がここで大きく性能アップしている点も見逃せない

 小さくて静かなPCは、家庭内でメディアサーバにしたり、あるいはサーバ兼ブラウザ兼オフィスツール、という使い方が便利そうだ。その際に気になるのは、消費電力だ。地球環境への配慮もあるし、むやみに電気代を払うのも避けたい。そこで消費電力を比較してみたのがグラフ11だ。

グラフ11 アイドル時、およびSuperπ実行時の消費電力。Pentium Mは、2.13GHz品をクロックダウンして計測しているほか、“Enhanced SpeedStep”も有効になっていないため、実際の1.5GHz品ではこの数値より低くなるのは確実だ

 この数値は、マザーボードにHDD、CD-ROM、LANカードを装着した状態で、ワットチェッカーで測定した値だ。PCとして使う場合には、モニタの消費電力も加わる。
 驚くべきことに、“C7”の周波数はC3-1.33GHzより高いにもかかわらず、消費電力はシステムレベルで20%以上も低い、わずか31Wにとどまっている。CPUがフル回転する「Superπ」を実行させても36Wにしか増えず、他のCPUとの差はさらに広がる。消費電力が少ないSOIの90nmプロセスを使ったかいは、確かにあったと言えよう。“C7”マザーは、“C3”マザーとの比較で言えば、性能でも消費電力でも、明らかに優秀な選択肢だ。31Wなら24時間つけっぱなしでも電気代は月500円以下となり、財布にも地球環境にもまあまあ優しい。

 もっともPentium Mも、性能を考えれば消費電力はきわめて低い。しかも今回の計測条件はリーク電流が多いと思われる2.13GHz版をクロックダウンしているし、“Enhanced SppedStep”もオンになっていないため、悪条件の参考値であることを念頭においてご覧いただきたい。Pentium M 715をSpeedStepありで動かせば差はもう少し縮まるだろう。

 Pentium Mと比べた場合、VIA CPU搭載マザーのメリットは従来、

・miniITXの超小型筐体
・物によってはファンレス
・2~3万円そこそこでCPU込み
・低い消費電力

といった点があった。Celeron Mでもマザー+CPUでは3万5000円以上、Pentium Mで組めば5万円になるのを考えると、3万円そこそこの“C7”は“C3”より5000円ほど高いとはいえ依然魅力的な価格帯だ。
 今回“C7”が登場したことで、ファンレスの限界クロックは1.2GHzに引き上げられ、消費電力はさらに2割減り、しかも、パフォーマンスは大きく向上した。“C3”に対して、「うーんやっぱり性能がもう少し」と悩んでいた方に、“C7”搭載ボードは最後の一押しをしてくれるだろう。

【関連記事】

前へ 1 2 3 4 次へ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

ASCII.jpメール アキバマガジン

クルマ情報byASCII

ピックアップ