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フィリップス、低価格液晶テレビ向け組み込みシステムを発表

2006年03月28日 18時44分更新

文● 編集部 橋本優

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(株)フィリップス エレクトロニクス ジャパンは28日、低価格液晶テレビ向けの組み込み用TVシステム『Nexperia TV520』(以下TV520)について国内で発表会を開催した。海外ではすでにオランダのロイヤル フィリップス エレクトロニクス(Royal Philips Electronics)社が今月6日(現地時間)に発表している。

『Nexperia TV520/20』

TV520はテレビチューナーや映像/音声デコーダー、スケーラーなどを搭載した液晶テレビ向けのコアシステムで、テレビ信号の受信から映像/音声のデコード、液晶パネルへの映像出力、映像や音声の外部入出力までをサポートする。液晶パネルへの出力にはLVDSインターフェースが用意され、外部映像出力にHDMIまたはDVIが搭載されている。そのほかデジタル音声入出力も備える。上記がリファレンスのシステムで、色差コンポーネント出力やコンポジット出力なども追加可能となっている。テレビ信号はデジタルとアナログの両方に対応。国内のデジタル放送方式(ISDB-T)にも対応可能だが、現時点ではサポートしておらず、当面はアメリカ(ATSC方式)とヨーロッパ(DVB-T方式)への海外向け製品用に出荷される。

Nexperia TV520/20の概要図。上半分がリファレンスデザインで、下の色差コンポーネント端子などは追加装備となる

TV520の特徴は、ICなどの部品を統合したことでコストパフォーマンスを高めている点。従来の同社製品『Nexperia TV810』(以下TV810)の場合、ソースデコーダーやビデオスケーラー、HDMIなど計5つのICを搭載していた。しかしTV520ではこれをメディアプロセッサーに集約し、BOM(部品構成表)を最大50%にまで減らすことができたという。これにより、TV810が1システムあたり75~100ドル程度(約8700~1万1600円)であるのに対し、TV520のリファレンスシステムの最低価格は約45ドル(5220円)程になるという。

TV810では5点搭載されていたチップがTV520では1つのメディアプロセッサーに統合された

TV520は2種類の製品(TV520/20とTV520/30)が用意され、前者には『PNX8535』、後者には『PNX8536』というメディアプロセッサーが搭載される。後者には10bitビデオプロセッサー機能やSRSLabs社の技術を採用したオーディオプロセッサー機能などが搭載され、画質や音質がより高品位なものとなる。

今回、低価格液晶テレビ向けシステムを発表した背景には、世界的なデジタルテレビの普及に加え、米国の“FCC”(Federal Communications Commission、米連邦通信委員会)の勧告がある。米国では2007年2月までに全テレビをデジタル化しなければならないが、そのために各メーカーは低価格な製品を含め、短期間で開発し、市場に投入しなければならない。その点でTV520はシステム自体の単価が安いだけでなく、すでにベースが完成しているリファレンスシステムという形で提供することで、開発費も抑えられるという。

松本 実氏 キアラン・フィッシャー氏
フィリップス エレクトロニクス ジャパン 半導体事業部 事業部長 兼 セールス&マーケティング本部長の松本 実氏“フィリップス エレクトロニクス ジャパン 半導体事業部 TVマーケティング マネージャーのキアラン・フィッシャー(Ciaran Fisher)氏

発表会に臨んだ半導体事業部の松本 実氏は、「コンシューマーデジタルビデオ事業はマーケットの(成長の)倍ぐらいの成長をしていきたい」と意気込みを語った。また同じ半導体事業部のキアラン・フィッシャー(Ciaran Fisher)氏も「この分野においては高いマーケットシェアを誇っており、それは継続していきたい。また今回の製品はミドルレンジ、ローレンジをカバーしており、私たちとしても楽しみにしている」と、松本氏の発言に続いて期待を表明した。

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