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アセロス、IEEE 802.11nに関する説明会を開催

2006年03月27日 19時32分更新

文● 編集部 小林久

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アセロス・コミュニケーションズ(株)は27日、都内の本社で1月にドラフト仕様が承認された“IEEE 802.11n規格”に関する説明会を開催した。自社製品の枠にとどまらず、正式規格承認までのロードマップや技術内容を概観し、同規格に対するプレス関係者の理解を深めることを趣旨としたもの。代表取締役の大澤智喜(おおさわ ともき)氏が出席した。

大澤氏代表取締役の大澤智喜氏

IEEE 802.11nの最大の特徴は“MIMO”(Multiple Input Multiple Output)技術の採用により、従来の無線LAN規格を大きく上回る転送速度を実現できる点だ。MAC SAP(Service Access Point)で、100Mbps以上の実効速度を目指しており、2007年4月の標準化に向けた最終調整が行なわれている。

MIMOは2本以上のアンテナを用いて空間多重を行なう技術。2つ以上のデータストリームを同時にやりとりすることで、通信の高速化を行なう。データの送受信に使用するアンテナやモデムの数は“送信側×受信側”の形式で示されることが多い。ただし、実際の転送速度(物理レート)は、同時に扱うデータストリームの数と帯域幅(20MHz幅または40MHz幅)によって決まる。40MHzの帯域幅で4つのデータストリームを用いた場合の理論値は最大600Mbpsとなる(下表)。

表 フレームフォーマットと周波数ドメインとの組み合わせ。(アセロス調べ)
20MHz40MHz
フレーム
フォーマット(※1)
ストリーム数必須項目のみGI=400ns(※2)GI=400ns
レガシー1ストリーム54Mbps――――
802.11n1ストリーム65Mbps72.2Mbps150Mbps
2ストリーム130Mbps144.4Mbps300Mbps
3ストリーム195Mbps216.7Mbps450Mbps
4ストリーム260Mbps288.9Mbps600Mbps


※1 IEEE 802.11nでは、既存の11a/g/bと同等の“レガシーモード”と、11a/gと互換性を持つ“ミックスモード”の2種類をサポートする必要がある。また、11n同士の通信でのみ使用する“グリーンフィールド”もオプションで選択できる。

※2 “GI”はガードインターバルの略でマルチパスの干渉を低減するためにデータを送信しない間隔のこと。標準の800ナノ秒のほか、オプションで400ナノ秒が選択できる。

アンテナやモデムの数を増やせばより安定した通信が可能になるが、扱うストリームの数が同じなら最大転送速度は変わらない。例えば“3×3”(スリー・バイ・スリー)のシステムでも、扱うデータストリームの数が2つであれば、最大転送速度は“2×2”(ツー・バイ・ツー)や“2×3”(ツー・バイ・スリー)のシステムと同等になる。マーケティングの側面から、アンテナ数やモデム数の多さをアピールするメーカーも登場すると考えられるが、スペックを慎重に読む必要性が生じてくるだろう。

各社が開発中の第1世代製品では、2ストリームを扱うものが主流になると考えられている。大澤氏も「最大300Mbpsの転送速度が各社が考えているターゲット」と現状を分析する。

もうひとつの課題となりそうなのが、相互接続性の確立だ。IEEE 802.11nは必ず盛り込まなければならない必須項目のほかに、メーカーが自由に選択できるオプション項目も豊富に用意された非常に柔軟な仕様となっている。大澤氏は自らが試算した結果を示しながら、「200Mbps前後の転送速度を実現するためには28通りのやり方があり、いずれもマンダトリー(必須項目)ではない」と説明。「業界としてのコンセンサスを作っていく必要がある」と説いた。

柔軟性
IEEE 802.11nの柔軟性を示す例のひとつ。200Mbps前後の転送速度を実現するためには、これだけの選択肢があり、その選択はベンダーに任されている

IEEE 802.11nでは、既存の11a/gなどと同様に“OFDM”(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)を用いるが、副搬送波(サブキャリアー)の数が従来の52個から56個(20MHz幅)/114個(40MHz幅)に増えており、1ストリームの通信でも既存の11a/gを上回る速度が得られる。また、フレームがどのように転送されるかを規定する“MAC副層”にも約30種類の改訂が加えられている。例えば、MACフレームやACKを複数まとめて送信することにより、ヘッダー情報を効率化でき、同じ物理速度でもより高いスループットが得られることになる。

11a/gのスループットは物理速度の3~4割程度となるのが通常だが、大澤氏は「70~80%程度のスループットも期待できる」とコメント。必須項目だけで2ストリームのシステムを構成した場合でも、最大130Mbpsの物理速度が得られるため、ユーザー実効速度100MbpsというIEEE 802.11n規格の目標も十分達成できるという観測を示した。

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