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【INTERVIEW】“自デジ。”の名の下にパソコン市場へデビュー!! デジタル放送時代の“自作パソコン”を体現するピクセラの狙いとは?

2006年03月24日 11時23分更新

文● 聞き手・伊藤裕也

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橋谷氏
[――] ところで、先ほど挙げられたスペックと拡張性に対する“こだわり”について、もう少し詳しくお教えいただけないでしょうか?
[橋谷氏] まず拡張性を重視するということで、今回はパソコン本体にホワイトボックスメーカーの大手、(株)エムシージェイ(MCJ)さんを選択させていただいてます。ケースはミドルタワーで側面カバーを手で開けられるタイプ、マザーボードにはチップセットにインテル945G Expressを搭載したメジャーなメーカーのもの(台湾ASUSTeK社の『P5LD2-VM』)を組み込んで、購入後のCPU交換やメモリー、HDDの増設、マザーボードの設定変更によるRAIDシステムの構築など、パワーアップにも容易に対応できるようにしています。

ただし、PIX-DP010-PW0ではデジタル放送コンテンツ保護のためにマザーボードとチューナーカードでマッチングさせているので、ほかのパソコンにチューナーカードを持ち込んでも使えません。また、マザーボードメーカーが提供するBIOSのアップデートは行えないように手を加えてあります。ある程度バグフィックスされたインテル945G Expressチップセットを使用しているので、CPUの大幅なスペック向上でもない限り長期に渡って使い続けられるBIOSだと考えてはいるのですが、そうした部分での制限はあります。ビデオカードもHDCP(※2)出力に対応できる製品に限られますね。このように単なる自作パソコンと比較すると、パーツ交換・アップグレードの自由度が制限されるところも一部ありますが、全体としての拡張性の高さは大手メーカーが販売されているデジタル放送対応パソコンにはない大きなアドバンテージであると我々は考えています。
※2 HDCP HDCP(High-bandwidth Digital Content Protection System)は転送するデータを暗号化により保護する著作権保護技術。このHDCPを使うことで、映像信号を受信機器とディスプレーの間で安全にやりとりできるようになる。デジタル放送対応機器では、放送波の入力から映像を画面に表示するまでの“すべての段階”で適正なデータの保護が要求されるため、こうした映像表示の終端部分においてもしっかりとした形での対応がメーカーに求められている。このような著作権保護のための対応は、PIX-DP010-PW0本体についても同様で、デジタル放送の映像を録画する際にはTVチューナーとマザーボードの両者の情報を用いて暗号化(“ローカル暗号化”と呼ぶ)を行なっている。録画したデータの再生時にはこれらの情報を基に復号するため、録画時と同一の環境でなければ再生できない。もしマザーボードを交換したりチューナーカードを外した場合には、それまでに録画した映像は一切再生できなくなってしまうので注意しよう。



長野氏
[長野氏] 性能面でも余裕を持たせた作りにしています。CPUがPentium 4 630-3GHzで、メモリーは1GB。ホワイトボックスのパソコンを使うユーザーさんがどこを気にされるかと言ったら、やはりCPUとメモリーだと思うんですね。そこを意識しないお客さんはまずいない。さすがに今最高のスペックを選択すると価格が跳ね上がってしまいますので、そこまでいかなくても比較的スペックが高いもの、これから2年、3年と使えるものをということで選択しました。「コストダウンのためにメモリーを減らそう」という相談を受けたりもしたのですが、「それだけはやめてくれ」と抵抗しました(笑)。
[橋谷氏] ビデオカードは、HDCPで保護された信号をDVIポートから出力できるGeForce 6600GT搭載カードを採用しています。現行の3Dゲームが快適に遊べて、かつHDCPで出力できるものはこれのみでしょう。このビデオカードの採用が決定したのは時間ギリギリになってからで、それまではチップセット内蔵グラフィックスにする予定でした。


GeForce 6600GT搭載カード(HDCP対応)
ギリギリまでこだわって選択したというGeForce 6600GT搭載カード(HDCP対応)
[長野氏] でもチップセット内蔵のビデオシステムでは、ビデオメモリーもメインメモリーと共有しますからパフォーマンスに影響しますし、やはり3Dグラフィックスの部分が弱い。
[橋谷氏] 中級者以上をメインターゲットと設定している以上、それは避けたいと必死になっていました。米エヌビディア(NVIDIA)社とギリギリまで交渉した結果、土壇場で米国(NVIDIA)から連絡が入りまして、急遽採用決定と。なので今は評価用のビデオカードすら数が足りなくてバタバタしています(笑)。とはいえ、そんな努力をするだけの価値があるビデオカードだと思っています。
[――] HDMIという選択肢はなかったのですか?
[橋谷氏] HDMI端子搭載のビデオカードは確かにいくつか出ていますね。HDMIはTV画面を出力する分にはまったく問題ないのですが、DVIと比較するとパソコン画面を出力したときの見栄えが落ちてしまうんですね。選択肢としてはあったんですけれども、我々が今回売りたいのはTVではなくパソコンであるということで考慮から外しました。
[――] ビデオカードといえば、NVIDIAとカナダATIテクノロジーズ社にほぼ市場が二分されています。「なぜATIという選択肢がなかったの?」と思う読者もいると思うのですが。
[長野氏] ATIのビデオカードでは、残念ながらローカルバス上を暗号化したデータで流して処理する機能がサポートされていないんです。なので、デジタル放送を扱うパソコンのビデオカードとしては考慮に含めませんでした。我々としても選択肢は増やしたいので、そういったソリューションがATIさんから提供されるのであれば積極的に検討したいと思っています。
橋谷氏
[橋谷氏] また、今回のPIX-DP010-PW0では、性能面はもちろんデザインやマンマシンインターフェースにもこだわっています。PIX-DP010-PW0で選択したケースは、今回協力いただこうとしたホワイトボックスメーカーの中ではもっともシンプルです。結局これが一番受け入れられやすいんじゃないかと思い、決めました。私の基準なんですが、ゴテゴテとデコレーションしてるのは好きじゃないんで(笑)。このパソコン本体がカラー(前面のつやありブラック)も含めて決まったところで、組み合わせるキーボードとマウス、リモコンを探してきました。11月あたりに一度調査のために台湾行ってるんです。その際にリモコンを探したんですが……やっぱり台湾じゃないなと(笑)。いくつかのメーカーを巡ったんですけれども、色づかいが派手なんですよね。そこでリモコンについては、アナログ放送のチューナーカードで使用していたものをレイアウト変更し、配色も変えています。結局採用したリモコンも台湾製のものなのですが、一度採用して機能も分かっているので、これを使わない手はないなと決めました。

キーボードとマウスについては、2.4GHz帯無線によるワイヤレスのものを選択しました。自室で使うとなると、机に向かうだけじゃなくベッドに腰掛けてリラックスした姿勢で使うシーンも想定されます。そんなときでも、リモコンだけじゃなくキーボードとマウスは手元に欲しいですよね。そうなるとワイヤレスとなるのですが、実際にいくつか試してみると通常のワイヤレスキーボードやマウスでは距離2m程度が限界なんです。2mだと部屋のレイアウトを考えたときに、ギリギリのところで届かない。その点この2.4GHz無線接続方式であれば一般的な広さの部屋ならどこからでも使えますから、自由な姿勢でパソコンもTVも楽しんでいただけます。
[――] オプションで用意された液晶ディスプレーも、みな高解像度ですね。
[橋谷氏] ピクセラでは、日本サムスン(株)の『SyncMaster 242MP-R』をはじめとする液晶ディスプレー3モデルをPIX-DP010-PW0推奨モデルとしています。このインタビューでデモンストレーションに使用しているSyncMaster 242MP-Rは24インチワイドと自室に設置するにしてはやや大きいのですが、フルHDで解像度が高く、また、コントラストのバランスも優れています。これを直接お客さんに見せられないのがジレンマですね(笑)。なお、この液晶ディスプレイについては、設置スペースを気にされる人のためにスクリーンサイズが4:3の19インチモデルから用意しています。

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