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アキバが文化・情報の“発電都市”に生まれ変わる!!――一足先に“秋葉原UDX”の深部をフォトレポート

2006年03月08日 21時16分更新

文● 千葉英寿

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JR秋葉原駅前(電気街口)にオープンする情報発信施設“秋葉原UDX”が7日、報道関係者向けにプレ公開された。すでに昨年3月にオープンしている“秋葉原ダイビル”と併せて、秋葉原のIT拠点となる“秋葉原クロスフィールド”として9日にグランドオープンする。

山手線/京浜東北線ホームから見た秋葉原UDX
山手線/京浜東北線ホームから見た秋葉原UDX

秋葉原は、電気・電子関連の最新技術、情報、製品が集約した電気街によって世界的知名度(アキバ、Akiba)を持つ、高い集客力と魅力を持つ街。近年ではパソコンやゲーム、アニメ、フィギュアといった専門店が軒を連ね、今後もますますIT関連産業や文化創造の世界的拠点として飛躍が期待されている。“秋葉原クロスフィールド”は、そんな計り知れないポテンシャルを持つ街秋葉原に、さまざまな領域(フィールド)の人々と、さまざまな領域の情報が集い、交流(クロス)することによって、次世代のビジネスを創造していくことを目指している。

秋葉原駅の電気街口から秋葉原クロスフィールドを望む 万世橋から秋葉原UDXを見る
秋葉原駅の電気街口から秋葉原クロスフィールドを望む。正面が秋葉原UDX。手前左がダイビル陸橋から秋葉原UDXを見る。右がオフィス階へのエントランスで、AKIBA_ICHIは正面奥になる

その中で秋葉原UDXは、“アキハバラ・カルチュラル・ジェネレーター(文化的発電装置)”という施設コンセプトからも分かるように、“人々の交流”と“情報と技術集積”という当地の特徴を結びつけて、新しいムーブメントを起こしていく“動力源”となるべく建造された施設。“先進性”を増進させつつ、新たな独自の都市文化をGenerate(生成)して行く動力機関であることを意図しており、このコンセプトと具現化するデザインコンセプト“エレクトリック・ロマンス(電気的情景)”による施設デザインが随所に現われている。

AKIHABARA SQUARE前に設置された巨大な“情報ゲート”AKIHABARA SQUARE前に設置された巨大な“情報ゲート”

具体的には、電気基板のサーキットパターンを模した舗床図形や3つの風車が独立した発電機を備えて光の演出を行なう“サボニウス・ウインド・タービン”はその典型だ。また、山手線/京浜東北線側に面した東側4Fの“ファサード”には、百数十メートルの広い間口を活用して、7セグメントのON/OFFで文字情報を表示する“7セグディスプレイ”が設置されている。108桁というディスプレーは7セグのプリミティブな表現とともに“情報技術の回顧”的な試みの意味を持たせている。来場者に最も目に付くのは、UDXビルの玄関口にあたる部分でモニュメントのようにそびえ立つ“情報ゲート”だろう。“ピロティ”の柱/梁に設置されたLED表示板には上下左右にスクロールしながら情報が映し出される。

AKIHABARA SQUARE AKIBA_ICHI
AKIHABARA SQUAREAKIBA_ICHI。逆さにしたコーン状の造形が象徴的な飲食エリアの奥に秋葉原随一のレストラン街が展開されている

7日に公開されたのは、すでに利用が始まっている5Fより上のオフィス部分を除いた低層階部分。2Fの“AKIBA_SQAURE”は3Fまでの吹き抜けとなった開放的な空間で、1~4Fの商業施設である“AKIBA_ICHI(アキバ・イチ)”のエントランス(出入り口)の役目を果たすとともに、さまざまなイベントが行なわれる。秋葉原という土地には発表の場、イベントスペースがなかったので、ダイビルのコンベンションホールと併せて、今後はさまざまな企画・催しが期待できる。 AKIBA_SQAUREでは、グランドオープン後の10日から、2005年の“東京モーターショー”で公開された究極のエコカー“Eliica(エリーカ)”が展示される。 Eliicaは、慶應義塾大学の電気自動車研究室が企業30社との産学協同プロジェクトで開発した電気自動車で、最高時速370km/h、0→100km/hの加速が4.1秒という高級スポーツカー以上の性能と環境への配慮を併せ持つ。

AKIBA_ICHI AKIBA_ICHI
AKIBA_ICHIは秋葉原電気街に面した西側を向いている

AKIBA_ICHIは飲食に特化したスペースで、食の不毛の地とも言われた秋葉原に多種多様なカフェ/レストランが軒を連ね、アキバファンの食欲を満たすという。特に3Fは国際都市・東京の顔である秋葉原を訪れる海外からのお客様に“和”を楽しんでもらうというコンセプトで構成されており、「日本の食文化を提供できる店に入っていただいている」という山本氏のコメントどおり、和食の名店から下町の老舗までが集められている。2Fはオフィスのランチ需要に対応して毎日無理なく使える飲食店が集まる。1Fにはカフェやピッツェリア、薬局、さらに(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの携帯電話技術コンサルティングを専門とする“ドコモテクニカルラボ秋葉原”が設置される。こちらは新宿と丸の内にあった“モバイルマルチメディアラボ”の閉店移転という形で開設される。携帯電話の技術相談対応と最新機種の体験コーナーのサービスを行なうが、販売や各種手続き、料金収納などの業務は行なわない。

オフィス階へのエントランス 東側ファサード
秋葉原UDXのもうひとつの機能、オフィス階へのエントランス。2Fから5Fまで一気に上るエスカレーターが設置されており、5FにはカフェやATM、ビジネスコンビニも設置されている山手線/京浜東北線ホームに面した東側ファサード。7セグのディスプレーによる数字が明滅している

9日以降のオープンを予定している4Fスペースに関しては、概要の説明のみがなされた。実は秋葉原UDXの特徴は主にここに集まることになる。デジタルコンテンツの活動支援拠点として、デジタルワークショップ機能を備え、日本の次世代を担う新たな産業・文化創出基盤施設“先端ナレッジフィールド”、日本のアニメーション総合ポータルを担う“東京アニメセンター”、国際デザイン拠点“デザイン・ミュージアム秋葉原(仮称)”が展開される。

AKIHABARA SQUAREから山手線/京浜東北線を望むAKIHABARA SQUAREから山手線/京浜東北線を望む。駅東側には次々に高層ビルが立ち並び、日に日に秋葉原の景観を変化させている

まず15日には、東京アニメセンターがオープン予定だ。その名が示すとおり、アニメーション産業のランドマーク施設となるもので、新作アニメのキャンペーンなどが行なわれる“イベントギャラリー”、アニメ情報に関するコンシェルジュ対応を実現するヘルプデスク“アニメプレスデスク”、限定商品を数多く扱う販売店“オフィシャルショップ”、アフレコやラジオ番組の収録を行なう“東京アニメセンター・スタジオ”などで構成される。また、隣接する先端ナレッジフィールドの“アキバ3Dシアター”を使った人気アニメの上映や新作の試写なども行なわれる。アニメの最新情報を入手できるだけでなく、アニメ制作の現場に触れることができる、最も“現代のアキバ”を象徴したスペースとなる。

先端ナレッジフィールドは3月下旬にオープン予定。デジタルコンテンツや情報通信といった秋葉原と関連の深い産業や文化の領域に、先端的な知識や技術を付加することで、新たな産業・文化を創出する“ビジネス・インキュベーション”の役割を果たすことを目的とした複合型施設だ(詳細は以下の通り)。

“アキバ3Dシアター”
アニメ作品の上映をはじめ、さまざまなイベントの開催やデジタルコンテンツの制作・評価実験、教育・研究用途に使用する劇場
“アキバ3Dスタジオ”
3D分野の最新機器や技術を展示し、体験、活用できるクリエイティブスペース
“秋葉原先端ラボ”
次世代のデジタルコンテンツ制作に関わる研究開発を行なう研究所
“秋葉原アドバンスアカデミー”
次代を担うクリエイターを養成する教育施設、デジタルハリウッド秋葉原校も開設

クロスフィールドマネージメントのゼネラルマネージャーの山本俊行氏
公開に先立ち、秋葉原クロスフィールドを管理運営する(株)クロスフィールドマネージメントのゼネラルマネージャーの山本俊行氏が施設説明を行なった。山本氏は「秋葉原には六本木や品川にはないポテンシャルがある」と語った。

4Fで最もユニークな施設は“東京フードシアター 5+1”だろう。厨房機器のネットワークなどでIT化したデジタルキッチンを使って、レシピのデジタルコンテンツ化を試みる世界初の施設となる。オープンキッチンでは“鉄人”クラスの一流料理人が腕をふるい、さながら“食のシアター”となる。さらに、日本のクリエイティブビジネスの拠点を目指す“デザイン・ミュージアム秋葉原(仮称)”も今秋オープンを予定している。秋葉原は今、エッジなコンシューマーの物欲を満たす街から、エッジなクリエイターが感性を刺激し合い、新たなコンテンツ/ビジネスを生み出す街へと、大きく変貌を遂げつつある。



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