キヤノン(株)とキヤノン販売(株)は7日、コンパクトデジタルカメラ“IXY DIGITAL”シリーズの新製品3モデルを3月中旬より順次発売すると発表した。ラインアップは、光学3倍ズーム/有効600万画素CCDを搭載する下位機種『IXY DIGITAL 70』、光学3倍ズーム/有効600万画素CCDを搭載する中位機種『IXY DIGITAL 80』、光学4倍ズーム/有効600万画素の上位機種『IXY DIGITAL 800 IS』。価格はオープン。編集部による予想販売価格はIXY DIGITAL 70が4万円前後、IXY DIGITAL 80が4万5000円前後、IXY DIGITAL 800 ISが5万円前後。
『IXY DIGITAL 70』 | 『IXY DIGITAL 80』 | 『IXY DIGITAL 800 IS』 |
新製品がすべて発売された時点におけるIXY DIGITALシリーズのラインアップは以下の6機種となる。従来製品で生産が終了するのは、下位機種の『IXY DIGITAL 55』と『IXY DIGITAL 60』、中位機種の『IXY DIGITAL 600』。
- 『IXY DIGITAL 70』(『IXY DIGITAL 60』の後継機)
- 『IXY DIGITAL 80』(新製品)
- 『IXY DIGITAL 700』(継続販売)
- 『IXY DIGITAL 800IS』(新製品)
- 『IXY DIGITAL L3』(継続販売)
- 『IXY DIGITAL WIRELESS』(継続販売)
3モデルともCCDの感度がISO 400相当からISO 800相当にアップし、従来モデルに比べて手ぶれや被写体ぶれが起こりにくくなった。さらにIXY DIGITAL 800ISのみ光学手ぶれ補正を内蔵する(詳細は後述)。
撮影時は、ISO 80/100/200/400/800から感度が選べるマニュアル設定のほか、ISO 80~800の間で最適な数値が自動で設定される“高感度オート”が新たに利用可能になった。
また、マニュアル設定のISO 800か高感度オートモードで撮影している場合は、シャッター速度を自動的に最高3段ぶん上げるため、単にISO感度を上げたときよりも手ぶれや被写体ぶれが抑えられる。例えば、絞り値固定でISO感度が100におけるシャッター速度が1/30秒の場合、感度がISO 800に上がるとシャッター速度も1/240秒になる。
映像エンジンには“DIGIC II”を搭載し、高感度撮影時に発生しやすい映像のざらつき抑えたという。手ぶれ補正以外で共通する主な特徴は以下のとおり。
- 画面比16:9のワイド液晶ディスプレーを採用
- 再生モードにプリント専用メニューを追加し、複数枚の印刷設定が容易になった
- ムービーのワンシーンをカメラで選んでプリンターでダイレクトプリントできる“動画1コマプリント”モードを搭載
- カメラを縦に構えると液晶ディスプレー内の表示も縦に回転する“縦横自動回転再生”機能を採用
- 撮影モードから再生モードに切り替える際のレンズの収納タイミングを「1分」か「0秒」で指定できるよう変更
- “くっきりカラー”や“ポジフィルムカラー”といった10種類のレタッチ効果を撮影後に指定できる“レタッチマイカラー”機能を追加
使い勝手の向上に注力した『IXY DIGITAL 70』
付属品の一覧 | 本体背面 |
IXY DIGITAL 70の製品コンセプトは“Comfort”(快適)。キヤノンによれば、従来モデルから本体のボタンの形状やレイアウトを見直して、グリップしやすく誤操作が起こりにくい形状に変えたという。
また、従来モデルとなるIXY DIGITAL60では2.0インチ/11万5000画素だった液晶ディスプレーが、2.5インチ/17万3000画素に大画面/高画素化された。主な仕様は以下のとおり。
- IXY DIGITAL 70
- 撮像素子:1/2.5インチCCD(総画素約620万、有効画素約600万) レンズ:光学3倍ズーム(5群6枚構成、35mm換算時35~105mm相当、F2.8~4.9) シャッター速度:15~1/1500秒 記録形式と解像度:静止画 JPEG形式/最大2816×2112ドット、動画 AVI形式/最大640×480ドット(毎秒30コマ) 記録メディア:SDメモリーカード 電源:専用リチウムイオンバッテリー、ACアダプター(オプション) 撮影可能枚数:約160枚(液晶モニター表示時) インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed、PictBridge対応)、ビデオ出力 本体サイズ/重量:幅86.0×奥行き53.5×高さ21.7mm/約140g(本体のみ)
大画面&タッチホイールの新モデル『IXY DIGITAL 80』
付属品の一覧 | 本体背面 |
IXY DIGITAL 80は、レンズやCCDはIXY DIGITAL 70と同じだが、本体デザインや操作パネルが大きく異なる。デザインコンセプトは“edge”で、本体正面のうち3辺の角が切り落とされたような角張った仕上がりとなっている。本体色は正面がシルバー、背面がブラックというツートンカラーを採用。キヤノンによれば、「商品としての性格を際立たせたい、新たな市場を切り開きたい」という意図があり、「その“とんがり”をデザインに反映させた」とのこと。
“IXY DIGITAL”シリーズ中で最大サイズとなる3.0インチ/17万3000画素の液晶ディスプレーを搭載。撮影後のプレビュー時に、画像全体/ピント個所の拡大の2画面を同時表示できる“フォーカスチェッカー(仮称)”機能が新たに追加された。
連射/タイマー撮影/フラッシュ/マクロ/ISO感度などを設定する円形の操作パネルには、同社として初めてタッチホイールを採用。ホイールを指でなぞると、液晶ディスプレーに仮想ホイールが現れて、現在触れている位置のアイコンが拡大表示される仕組みだ。主な仕様は以下のとおり。
- IXY DIGITAL 80
- 撮像素子:1/2.5インチCCD(総画素約620万、有効画素約600万) レンズ:光学3倍ズーム(5群6枚構成、35mm換算時35~105mm相当、F2.8~4.9) シャッター速度:15~1/1500秒 記録形式/解像度:静止画 JPEG形式/最大2816×2112ドット、動画 AVI形式/最大640×480ドット(毎秒30コマ) 記録メディア:SDメモリーカード 電源:専用リチウムイオンバッテリー、ACアダプター(オプション) 撮影可能枚数:約160枚 インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed、PictBridge対応)、ビデオ出力 本体サイズと重量:幅90.3×奥行き56.8×高さ20.2mm、約145g(本体のみ)
光学手ぶれ補正&4倍ズームの『IXY DIGITAL 800IS』
付属品の一覧 | 本体背面 |
IXY DIGITAL 800ISは、振動ジャイロでぶれを検知し、レンズを動して手ぶれを抑える“シフト式光学手ぶれ補正機構”を搭載するのが特徴。手ぶれ補正機構には、他社の2軸ガイドバー方式と異なる3ボールのセラミックボール支持方式を採用。セラミックは金属と比べて次期の影響を受けず、熱変形も少ないことから、高精度/高速応答が可能になったという。シャッター速度が最大3段ぶんアップするISO 800の高感度撮影と組み合わせて使うことで、シャッター速度換算で6段ぶんもの効果を得られる。
キヤノンによれば、コンシューマー向けデジカメ『PowerShot S2 IS』などに搭載されていた光学手ぶれ補正機構を、IXY DIGITALシリーズの小型筐体に収まるように改良したという。
具体的には、アナログICを利用していたレンズ制御IC/シフトレンズを駆動するドライバーICをデジタルし、手ぶれ信号処理を行なう汎用マイコンとワンチップ化したことで、実装面積を従来の約1/2に減らした。また、レンズ部に含まれる補正ユニット(ISユニット)も部品点数を削減したことで、厚さ5.3mmで容積は1.2cm3に小型化され、S2 ISに比べて厚さが約半分、容積が1/4となった。
独自の高屈折率レンズ(UAレンズと屈折率が2.0より大きい超高屈折球面レンズ)の採用で、IXY DIGITALシリーズで初めて4倍ズームを搭載した。新開発された標準バッテリーが付属し、IXY DIGITALシリーズでは最多となる約240枚の連続撮影が可能だ(CIPA準拠)。液晶ディスプレーは2.5インチ/17万3000画素。そのほか主な仕様は以下のとおり。
- IXY DIGITAL 800IS
- 撮像素子:1/2.5インチCCD(総画素約620万、有効画素約600万) レンズ:光学4倍ズーム(5群7枚構成、35mm換算時35~140mm相当、F2.8~5.5) シャッター速度:15~1/1600秒 記録形式/解像度:静止画 JPEG形式/最大2816×2112ドット、動画 AVI形式/最大640×480ドット(毎秒30コマ) 記録メディア:SDメモリーカード 電源:専用リチウムイオンバッテリー、ACアダプター(オプション) 撮影可能枚数:約240枚(液晶モニター表示時) インターフェース:USB 2.0(Hi-Speed、PictBridge対応)、ビデオ出力 本体サイズ/重量:幅90.4×奥行き56.5×高さ26.4mm/約165g(本体のみ)