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マイクロソフト、教育におけるIT活用促進への取り組みに関する記者説明会を開催

2006年03月06日 11時23分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は3日、都内で行なわれた財団法人コンピュータ教育開発センターの“Eスクエア・エボリューション成果発表会”分科会に併せて、マイクロソフトの教育のIT活用促進への取り組みに関する記者説明会を開催した。

マイクロソフトは、日本における活動指針“Plan-J”に基づき、アカデミック分野に対する貢献活動として、教育/研究機関へのIT普及や教育の支援を積極的に拡大していく施策を2005年11月に発表している。今回の説明会は、この施策の途中経過などを説明するもので、同社による小中高等学校へのIT活用支援のこれまでの経過や今後の展開、同社が支援・協力する団体の取り組みなどが説明された。

ICT教育推進プログラム協議会 会長およびNPO法人ブロードバンドスクール協会 理事長の清水康敬氏

会の冒頭に登壇したICT(※1)教育推進プログラム協議会 会長およびNPO法人ブロードバンドスクール協会 理事長の清水康敬氏は、学校におけるITインフラの整備状況や今後の課題を説明した。

※1 ICT=Information and Communication Technology。ITを“活用”したコミュニケーションまでを含んだ、ITを一歩進めた考え方。

政府が掲げる“e-Japan戦略”では、学校におけるICT環境の整備と教員のICT活用指導力の向上が目標として盛り込まれているが、清水氏の説明によると、これによると、コンピューター1台に対する生徒数は2005年時点で7.6人で、米国に比べ「5年程度遅れている」という(米国ではすでに1台あたりの生徒数という統計自体を終了し、現在はインターネット接続環境1台に対する生徒数という基準に移行)。さらに、学校のコンピューターのブロードバンド接続(1.2Mbps以上)状況は76%、学校内LANの普及状況は高校で74.3%に達しているものの、小学校では41.8%にとどまっており、都道府県格差も大きい状況にある。また、コンピューターで指導ができる教員の割合は全国平均で74%となっているが、これも地域格差が生じているという。

清水氏は、教育に対するIT活用の成果や効果について、教員の側からは具体的なデータや実績が示されているといい、地方交付税措置や教育の情報化推進加速プログラムの実施といった施策が必要だとしている。また、教育のIT化促進に向けた改革戦略/目標としては、

  • 教員ひとりに1台のコンピューターとネットワーク環境や、サポート体制の整備
  • IT活用指導力の評価などによる教員のIT活用能力向上を促す仕組みの導入
  • ITを活用した学習機会の提供
  • 教科指導におけるITの活用、小学校における情報モラル教育

といったポイントを挙げた。

マイクロソフト 執行役 公共インダストリー統括本部長の大井川和彦氏

続いて登壇したマイクロソフトの執行役 公共インダストリー統括本部長の大井川和彦氏は、特に小学校におけるICT環境の整備の遅れや教員のICTスキルのばらつき、校務IT化の遅れ、児童/生徒のICTスキルの評価制度の整備を課題として挙げ、「少子高齢化時代に日本の活力を維持するためには教育が非常に重要」であることから、教育におけるICT普及の必要性を強調した。これらの課題に対して同社では、具体的に以下の取り組みを実施してきたという。

ICTインフラ整備支援
ブロードバンドスクール協会と全国キャラバン
オンライン授業の技術支援
ICT教育推進プログラム協議会を通じたOS提供やリサイクルパソコン寄贈
“ネットデイ”(※2)活動の支援
教員のICTスキル向上支援
ICT教育推進プログラム協議会を通じた教員向けスキルアッププログラムの提供
学校管理職や国立教員養成大学向けICT啓蒙/教育プログラムの実施
校務IT化の促進
スクールアグリーメントの提供
学校用テンプレート集“先生のための7つ道具”の提供
児童/生徒のICTスキル評価の整備支援
パソコン検定公式テキストの制作
“IT Academy”のリニューアル

※2 地域ボランティアによって学校内のネットワーク化を行なう活動。

また、今後の取り組みとしては、次世代教育環境の提案活動として“Future of Education(NEXTプロジェクト)”を展開していくという。これは、小中高等学校(メインターゲットは高等学校)を対象に協力校を選定、生徒全員にひとり1台のパソコンがある環境を構築し、ICT活用を見据えた新しい教育モデルの導入/確立を目指すプロジェクトで、ICTを活用して、学力の飛躍的な向上、校務の効率化、保護者地域との情報共有などを促進していくという。また、モデルの研究/開発では大学やパートナー企業などとも連携を図り、将来的にはソリューション化と他校への展開につなげていきたいとしている。大井川氏によると、現在は協力校を選定している最中で、2006年6月をめどに具体的な合意を取り付けていく方針だといい、活動を通じて「ICTの整備が(教育において)意味のあることだということを広く知らせていきたい」と述べた。

日本の学校におけるITC環境整備の日米の差について大井川氏に個別に話を聞いたところ、台数的な差以上に教育内容自体の差が大きく付いていることに「危機感を感じる」とコメントしており、今後は、インフラの整備と同時により教員サイドのスキルや教育内容の向上といった面にも注力していかなければならないと指摘していた。

この日の説明会ではこのほか、学校におけるICT普及の事例として、“ネットデイ”方式による学校へのLAN/インターネット接続環境の設置を進める横浜市、教員のICTスキル向上施策を積極展開している茨城県のケースが紹介された。

NPO法人ネットデイ・プロジェクトよこはま 運営委員の野崎隆志氏。今後は、“ネットデイ”活動をベースに、ボランティアベースのサポートやリユースパソコンの提供、企業支援の導入などにも取り組み、横浜市の学校(全500校)のICT環境整備を目指すという
茨城県教育長 義務教育課(指導担当) 指導主事の平井総一郎氏。茨城県では、“操作できる教員”から“指導できる教員”へのスキルアップを目標に、ICT活用教育が苦手だという教員に対象を絞った研修を2005年度に展開し、教員のICTスキルの底上げを実施。今後はリーダー研修から校内研修へと研修スタイルを移行し、全教員がICTスキルを習得し、ICTスキルを活用した事業の普及を目指していくという


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