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Beta 2で見る、Internet Explorer 7はここが変わった!――セキュリティー、管理編

Beta 2で見る、Internet Explorer 7はここが変わった!――セキュリティー、管理編

2006年03月01日 18時37分更新

文● 山本 雅史

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ウェブブラウザーに残る個人情報の削除手段の改善

 またIE7では、ユーザーがウェブブラウザー上でアクセスしたウェブサイト履歴や、入力したIDやパスワードの情報を簡単に消去できるようになった。インターネットカフェや図書館などで共用のパソコンを使うと、ユーザーが見たサイトや、サイトにアクセスするときに使ったパスワードが共用パソコン上に保存されてしまう。ハッカーはこれらの保存されている情報を覗いて、個人情報やパスワードを知ることができた。

 そこでIE7では、ユーザーが行なった作業(IE7のキャッシュ、パスワード、クッキー、フォームデータ、閲覧履歴)などを簡単に消去できるようになった。IE6でも消去はできたが、さまざまなダイアログにデータを消去するボタンが分散していた。そのため必要な作業手順を知らない一般ユーザーにとっては、自分が行なった作業の痕跡すべてを消去するのは容易ではなかった。それをIE7では、まとめて消去できるように1つのダイアログに集約された。初心者ユーザーでも利用しやすくなった言えよう。

IE7上に残されたユーザーの個人情報などを含む各種データは、このダイアログからまとめて消去できる
IE7上に残されたユーザーの個人情報などを含む各種データは、このダイアログからまとめて消去できる。

ActiveXコントロールの管理の改善

 “悪質なプログラムをインストールする”として問題になっていた“ActiveXコントロール”だが、Windows XP SP2以上では“アドオンの可能”機能が用意され、インストールされたActiveXコントロールを1つ1つ選んで、動作させるかどうか(有効/無効)を設定可能となった。これにより、問題がありそうなActiveXコントロールだけを無効にしたり、トラブルがあったときにはすべてのActiveXコントロールを無効にすることが可能だ。さらにIE7では、必要のないActiveXコントロールを選んで、削除する機能も用意された。

ツールメニューの“Manage Add-ONs(アドオンの管理)”から、ActiveXコントロールの有効/無効を選択したり、不必要なものを削除できる
ツールメニューの “Manage Add-ONs(アドオンの管理)”から、ActiveXコントロールの有効/無効を選択したり、不必要なものを削除できる。


プラットフォームと管理性の強化

 IE7ではインターネットの最新テクノロジーに対応するため、いくつもの機能が強化されている。特にIE6で不評だった“CSS(Cascading Style Sheets)”の不整合を修正し、 “CSS 2.1”の準拠を最優先にしている。これによりIE6では“div”タブの処理が変更され、配置とレイアウトに関するバグ(※1)が修正されている。CSS 2.1のサポートを強化することで、ウェブページの表示をデザイナーの意図どおりに行なうことができる。(画像14、15)(画像16、17)

※1 詳細は“Peek-a-boo IE6 Bug”(英語サイト)を参照。

IE6でのdivタブの処理は、左のようにエラー表示される。右のIE7では正しく表示される。
Acid2のテストは、規格を正しく処理するウェブブラウザーなら左に見えるはず  しかしIE7でAcid2のテストを行なうと、このようなエラー表示となり、Acid2のテストをパスしない。ただしIE6よりも、CSS関連は規格に沿った仕様になっている
Acid2のテストは、規格を正しく処理するウェブブラウザーなら左に見えるはず。しかしIE7でAcid2のテストを行なうと、このようなエラー表示となり、Acid2のテストをパスしない。ただしIE6よりも、CSS関連は規格に沿った仕様になっている。

AJAXサポートの改善

 インターネットの最新テクノロジーとして注目を浴びているのが“AJAX(エージャックス)”だ。AJAXは “Asynchronous JavaScript+XML”という既存のテクノロジーを使いながら、インタラクティブ性のあるウェブページを作成する技術だ。例えば、プラグインを使用せずにインタラクティブな地図サービスを提供している“Google Map”や“MSN Virtual Earth” などは、AJAXによって構築されている。

 IE6では、AJAXが使用するXMLHTTPリクエストを、ActiveXコントロールによって処理していた。しかしIE7はXMLHTTPリクエストをネイティブでサポートするようになり、互換性やセキュリティーの向上が図られている。

AJAXを使って作られた“MSN Virtual Earth”。IE7ではプラグインソフトを使わずに、マウスをドラッグすることで地図を動かすウェブアプリケーションを実現している
AJAXを使って作られた “MSN Virtual Earth”。IE7ではプラグインソフトを使わずに、マウスをドラッグすることで地図を動かすウェブアプリケーションを実現している。

OSがRSSのプラットフォームに

 前回紹介したRSS機能は、単にIE7の機能としてサポートされているだけではない。RSS機能はOSのプラットフォームの一部 (Windows RSS Platform)としてサポートされるようになる。これによりVistaやXP SP2では、RSSの各種機能を Windows API経由で、ほかのアプリケーションからも利用できるようになる。このRSS用APIでは、RSSフィードのダウンロード、保存、アクセスなどがサポートされている。

 さらにMicrosoftでは、既存のRSSを機能拡張した“Simple List Extension 1.0”仕様をRSSコミュニティーに対して提案しており、IE7ではこの仕様が先取りでサポートされている。この仕様を利用することで、ユーザーや開発者は情報のコンテンツリストのフィルター(絞り込み)やソート(分類/並べ換え)やピボット(表示切り替え)などが簡単に行なえるようになる。

 またこれ以外にも、米Amazon.com社の子会社である米A9.com社とMicrosoftが共同で規格を策定した“OpenSearch”もサポートされている。OpenSerachを利用すると、検索結果はXMLフォーマットで出力される。現在はHTMLで単にウェブページとして表示している検索結果を、XMLデータとしてさまざまなアプリケーションで利用できるようになる。



Vista+IE7は移行するメリットが高い

 実際にBeta2をテストしてみると、2005年にリリースされたBeta1とは、比べ物にならないほど安定性が高まっている。まだいくつかバグが残っていたり、既存のActiveXコントロールとの互換性で問題が挙がってはいる。しかしこれらの問題点も、正式リリースまでには修正される予定だ。ウェブブラウザーの機能面では、先行する米 Mozilla Foundationの「FireFox」やノルウェーOpera Software社の「Opera」に追いついてきたといえるだろう。

 ただ、CSS1やHTML4を含むW3C勧告のサポート状況を調査する“Web Standards Project”のAcid2テストプログラムを、「IE7が合格することは困難」とIEチームのブログで表明されている。IE7もパーフェクトなわけではない。しかしIE6よりも互換性はアップしているし、セキュリティー面も向上している(と思う)。 Vista上でのプロテクトモード動作のサポートやRSSプラットフォームのサポートなどを考えると、OS+IE7というトータルな環境を移行するメリットは高いと感じた。ちなみに、IE6.0リリース時にはメールソフトの「Outlook Express 6.0」がバンドルされていたが、IE7には Outlook Expressは入っていない。長年使われてきたOutlook Expressも、ようやくお役ご免というところだろうか。

       
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