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マイクロソフト、エンタープライズ・プロジェクト管理に関するプレス・ラウンドテーブルを開催

2006年02月28日 21時27分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は28日、都内オフィスにおいて同社のプロジェクト管理アプリケーション“Microsoft Office Project”をテーマとしたプレス・ラウンドテーブルを開催した。この中で同社は、プロジェクト管理の有効性や普及に向けた取り組みについて解説し、“Microsoft Office Project”の導入/活用事例などを紹介した。

インフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏

冒頭に登壇したインフォメーションワーカービジネス本部 本部長の横井伸好氏は、現在の企業による経済活動は「情報をベースとした経済活動の時代に突入」していると述べ、情報を流通/共有し、有効活用することの重要性を強調。同社の“Microsoft Office System”は、情報に基づく経済活動を支援する機能として、

  • 境界を越えた仕事環境の実現
  • 必要な人や物を素早く発見
  • よりよい結果をより早く
  • コンテンツ/プロセスのコントロール

という大きく4つのポイントを持っているというが、中でも、“境界を越えた仕事環境の実現”分野では、現在のグローバルな企業活動では国際標準的なプロジェクトの管理/運営が必要となることから、今回のラウンドテーブルのテーマとなった“プロジェクト管理”(製品としては“Microsoft Office Project”シリーズがこれにあたる)という考え方が非常に重要になってくるという。また、“コンテンツ/プロセスコントロール”においても、コンプライアンス/コーポレートガバナンスの面でプロジェクト管理の活用可能となるという。

プロジェクト管理(Project Management)という手法は、古くは米国の宇宙開発/国防施設建設などから生まれたもので、その後、まず製造業を中心に民間企業で活用が広がり、現在では、建設/製造/医薬/ITなどさまざまな分野での導入が見られるという。当初は、ここのプロジェクトを管理する手法として使われていたが、現在は経営層の意思決定を支援する領域にまで適用範囲が拡大したエンタープライズ・プロジェクト管理(Enterprise Project Management)という手法が広まり、企業活動のスピード化/プロジェクトの可視化/地域やコミュニケーションの壁を越えた業務の分業化を実現し、リソース配置の最適化とコスト削減/プロジェクトの選択と投資の集中/企業の国際競争力の向上などに貢献しているという。

システムテクノロジー本部の安田和司氏Projectシリーズのファーストリリース『Microsoft Project 1.0』

システムテクノロジー本部の安田和司氏によると、同社の“Microsoft Office Project”シリーズの歴史も古く、最初期製品の『Microsoft Project 1.0』のリリースは1984年に遡る(日本での販売はアスキーを通じて行なわれた)。機能は現在に比べると単純なものだったが、それまで紙と定規で行なっていたプロジェクト管理をコンピューターの処理能力を生かして行なうという点が評価され、日米で好評だったという。その後、『Microsoft Project 98』ではチーム向けに、『Microsoft Project 2000』ではポートフォリオマネージメント機能を含むエンタープライズ向けに、そして『Microsoft Office Project 2002』および『Microsoft Office Project 2003』では、.NET技術を活用してビジネスの敏捷性をさらに向上させ、バリューチェーンでの活用という分野にまで適用範囲を拡大してきている。

手法や関連製品が着実に進歩している一方で、横井氏によると「日本におけるプロジェクトマネージメント市場の成長は諸外国に比べ遅れている」といい、日本企業における手法や製品の普及が遅れている状況にあるという。しかし、企業/経済活動のグローバル化という現在の流れの中では、国際標準的なプロジェクト管理の手法の導入は「避けて通れない」ものであるといい、日本国内での普及拡大の必要性を強調した。

MPUFの活動の概要を説明した事務局長の枷場博文(はさば ひろふみ)氏MPUFの概要

同社では、プロジェクト管理の国内普及に向けた取り組みとしては、製品の販促に加えて、ユーザーコミュニティー“MPUF(Microsoft Project Users Forum)”の活動をサポートし、普及拡大に向けた啓蒙活動の支援に取り組んでいる。MPUFは、産学官民連携による経営へのプロジェクト管理の活用を研究する研究会から独立した団体で、200年6月に発足。15の研究会を通じた“Microsoft Office Project”の導入/活用に向けた情報交換と成果の共有などに取り組み、テンプレートなどの成果物の公開なども行っているという。横井氏によると、“Microsoft Office Project”は「買って導入すればすぐに役立つという性質の製品ではなく、導入や運用に向けた学習、ノウハウなどが必要」だと述べており、コミュニティー活動などを通じた啓蒙活動、情報交換などの取り組みが、ほかのOffice関連製品より重要であるとした。

このほか、今回のラウンドテーブルでは、(株)東京スター銀行、アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズ(株)/アクセンチュア(株)、新潟県立水原・阿賀野高等学校での導入/活用事例が紹介された。

東京スター銀行での導入事例。2004年にIT部門への導入を開始し、今後は全社に展開していくことも検討
アクセンチュアでの導入事例。プロジェクト管理全般に広く“Microsoft Office Project”製品群を活用し、同社製Excelアプリケーションとの連携も行なう日本法人独自の取り組みとして、プロジェクト管理に関する教育/サポートシステムの充実も実施アクセンチュア・テクノロジー・ソリューションズの高田栄一氏
水原・阿賀野高等学校での活用事例を紹介した同校の片桐泰紀氏。教員の業務計画策定や業務引き継ぎなどに加え、生徒が企画/運営を行なう文化祭などの行事などでも利用して、生徒たちのリーダー育成に活用。企業の利益追求を支援するプロジェクト管理を教育に活用する例は珍しいという

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