1月に発表された「E-330」はオリンパスの一眼レフデジタルカメラの普及機「E-300」の後継にあたり、コンパクトなボディサイズに新機能“フルタイムライブビュー”を搭載した製品だ。
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写真1 オリンパスの一眼レフデジタルカメラの普及機「E-330」。 |
第二の撮像素子を搭載
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写真A 2004年2月に発表された、軍艦部を省略した新機軸の一眼レフデジタルカメラ「E-300」。 |
一般的な一眼レフカメラではレンズから入射した光を撮像素子の手前にあるミラーによって上に反射し、ペンタプリズムによって光学ファインダーに導くのに対し、E-330では横方向に反射するという独特の光路を採用する。これによって軍艦部(レンズ上側にある一眼レフ独特のペンタプリズム内蔵の突起部)がない、すっきりとした上面を持つデザインになっているのは従来機「E-300」と同様だが、E-330では光学ファインダーの直前にハーフミラーを設け、光の一部をライブビュー専用撮像素子(500万画素CCD)へ導いている。
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写真2 ボディ単体にして前から見ると、横方向にミラーアップ(?)する独特な構造が見える。 |
このライブビュー専用撮像素子で生成された画像信号を表示するのが、背面にある“マルチアングル液晶モニター”だ。同社の「CAMEDIA C-8080 WideZoom」などのレンズ一体型機で採用されていた液晶ディスプレーのヒンジ機構がさらに改良され、下に45度、上に90度の角度が付けられる。これにより、極端なハイアングルやローアングルでも液晶パネルを正面に見ながらフレーミング(構図確認)ができ、そのままシャッターを切ればミラーアップしてメインの撮像素子(後述)に光が当たり、見たままの像が撮影できるわけだ。E-330では、この専用撮像素子を使ったライブビューを“Aモード”と呼んでいる。
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写真3 液晶ディスプレーは“スーパーコンパネ”表示によってカメラのステータスが一目で分かる。液晶ディスプレーの右上にあるのがライブビューボタンとディスプレーモードの切り替えボタン。 |
これに対し、撮影前からミラーアップしておくことでメインの撮像素子で得た映像を継続的に液晶ディスプレーに表示することも可能だ。こちらは“Bモード”ライブビュー(もしくは“マクロライブビューモード”)と呼ばれる。撮像素子からの画像を液晶ディスプレーに表示してフレーミングを行なうという動作はコンパクトデジタルカメラではごく一般的なものだが、一眼レフデジタルカメラにおいてはあまり採用されていない。その理由は、撮像素子を連続的に稼動させると熱によるノイズが増加し、特に一眼レフデジタルカメラのような大型CCDでは顕著に画質が悪化するためだ。
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Aモード | | Bモード |
写真4、5 AモードとBモードの違い。 |
E-330ではメインの撮像素子に新開発の“Live MOSセンサー”(750万画素、4/3インチ)を採用することで、連続動作によるノイズ発生を抑制している。この撮像素子はCMOSセンサーと同様のMOS(Metal-Oxide Semiconductor)テクノロジーで作られているものの、新配線技術によってCCDなみの受光面積を実現したというもの。
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写真6 左右両サイド。光学ファインダーがやや後部に飛び出しているものの液晶ディスプレーはヒンジがあるにもかかわらず薄く作られている。軍艦部がないことからカメラバッグなどへの収まりはよい。 |
一般的な一眼レフカメラの構造と同様に、ミラーによって反射した光(光学ファインダー側)にAFセンサーを配置しているため、Aモードではオートフォーカスが効くが、Bモードではマニュアルフォーカスのみとなる。ただし、Bモードでは10倍の拡大表示が可能で、マクロ撮影時などでより細かなフォーカシングができるというメリットがある。
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写真7 上面部。大きめのグリップとモードダイヤルなど基本的な配置は一般的な一眼レフカメラと同様だが、光学ファインダーとホットシュー左にオフセットされ、内蔵フラッシュと干渉しないようになっている。 |
このほか、「E-500」(2005年9月発表)で新たに採用されたいくつかの機能がE-330にも継承されている。露出モードではハイライトやシャドー部を基準にして露出を決定する“ハイキー/ローキー設定”、2つの画像を並べて同じ位置を拡大表示できる“ライトボックス機能”、背面の液晶ディスプレーをステータス表示にした際にカーソルキーで設定項目を選べるなど、いずれも使い勝手はかなり高い。
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写真8、9 液晶ディスプレーはWヒンジ構造により、上側を引き出すことで下方向へ45度、さらに下側を引き出せば真上から見ることも可能となる。 |