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オラクルとプロティビティジャパン、企業向け内部統制支援サービスで協業を発表――両社のノウハウとツールを統合して提供

2006年02月15日 19時21分更新

文● 編集部 小西利明

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“内部統制支援サービス”を構築、提供するオラクルとプロティビティ、およびサービス販売担当4社の代表者の方々。右端が日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏
“内部統制支援サービス”を構築、提供するオラクルとプロティビティ、およびサービス販売担当4社の代表者の方々。右端が日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏

日本オラクル(株)と(株)プロティビティジャパン(以下プロティビティ)は15日、日本版SOX法への対応に向けた、企業の内部統制支援サービスを、4月から共同で提供することを発表した。オラクルのプロセス管理・社員教育ツールに、プロティビティの内部統制構築支援のノウハウを融合させたサービスを提供する。

日本版SOX法の制定と、それに合わせた企業の対応のスケジュール例
日本版SOX法の制定と、それに合わせた企業の対応のスケジュール例

日本版SOX法とは、企業の会計不祥事や法例順守を徹底させるため、米国のSOX法に習って制定予定の法規制のこと。企業の内部統制を強め、統制の仕組みや実施について外部からの監査を義務づける。オラクルは1月にも、日本版SOX法を踏まえた企業統治のための製品群“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”を発表しているが、今回の発表はオラクルとプロティビティの協業により、これらを強化・補完するものと言える。日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏は、日本版SOX法施行までのロードマップを示しながら、現在は企業にとって「基本計画の策定時期」でありながら、企業側の理解は初期段階に止まっているとし、IT技術の活用で対応するための手伝いを行なうと述べた。



オラクル社長の新宅正明氏は、“内部統制”という言葉には違和感があるようで、「もっとポジティブな呼び方はないか」と考えていたとのこと。しかし言葉と概念が先に定着してきたという プロティビティジャパン 代表取締役社長の神林比洋雄氏。企業の内部統制は「社会を挙げて取り組む大きなテーマ。日本が変革できるかのテーマ」であると述べた
オラクル社長の新宅正明氏は、“内部統制”という言葉には違和感があるようで、「もっとポジティブな呼び方はないか」と考えていたとのこと。しかし言葉と概念が先に定着してきたというプロティビティジャパン 代表取締役社長の神林比洋雄氏。企業の内部統制は「社会を挙げて取り組む大きなテーマ。日本が変革できるかのテーマ」であると述べた

両社の協業により提供されるサービスは、以下の要素で構成される。

     
  • 内部統制環境の効率的な管理機能
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  • 内部統制の効率的な社員教育ツール
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  • 日本語版の内部統制文書化テンプレート

これらのうち、管理機能はオラクルの文書管理ツール“Oracle Internal Controls Manager(Oracle ICM)”を用いて、文書化された内部統制に関わる資料(たとえば財務諸表など)を管理する。社員教育ツールには、オラクルのeラーニングツール“Oracle Lerning Management(Oracle LM)”に、プロティビティの内部統制用教育用のコンテンツ“Pro-i”を組み合わせて、教育から受講管理までを行なう。文書化テンプレート“標準RCM(Risk Control Matrix)”はプロティビティが開発したもので、内部統制に関わる文書を効率的に作成・使用するためのツールである。オラクルが得意とする企業統治のためのツール群に、プロティビティのノウハウを生かしたテンプレートを組み合わせることで、不慣れなユーザー企業でも内部統制に関わる文書の作成や管理、評価作業や社員教育などを効率的に行なえる。

“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”の構成。今サービスのOracle ICMは“プロセス・リスク管理”に、Oracle LMは“コミュニケーションおよび教育”に属するツール
“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”の構成。今サービスのOracle ICMは“プロセス・リスク管理”に、Oracle LMは“コミュニケーションおよび教育”に属するツール

オラクル アプリケーション事業推進本部長の保科実氏は、内部統制環境の構築について、「初年度の苦労の大半は(明文化やメンテナンスが行なわれていないプロセス)の文書化」にあると述べた。また内部統制に関わるデータは作成と監査では異なるビューを用いるため、表計算ソフトなどで簡易に行なうのではなく、正規化されたデータベースで管理を行なうべきだとした。またOracle ICMやOracle LMは単独でも使用できるが、同社の会計/人材管理/顧客管理/意志決定支援などを統合したビジネスアプリケーション群『Oracle E-Business Suite(EBS)』と組み合わせることで、EBS側の人事データなどを利用して管理が行なえるとしている。

オラクルのツールとプロティビティのノウハウを合わせた内部統制管理のサービスを構築し、販社を通じて企業ユーザーに販売する
オラクルのツールとプロティビティのノウハウを合わせた内部統制管理のサービスを構築し、販社を通じて企業ユーザーに販売する

発表されたサービスについては、オラクルのパートナー企業(アプリケーション・ビジネス・パートナー)である、新日鉄ソリューションズ(株)、TIS(株)、(株)電通国際情報サービス、日本ヒューレット・パッカード(株)の4社を通じて、顧客企業に販売される。価格は“内部統制管理ソリューション”(Oracle ICM+文書テンプレート)が、従業員1000名の場合1000万円から。“内部統制教育管理ソリューション”(Oracle LM+教育コンテンツ)も従業員1000名の場合1000万円から。提供開始は4月の予定だが、保科氏によればすでに100件弱の引き合いがきており、初年度1年間で最低でも50件、オラクル側の売上高で10億円程度を見込んでいるという。

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