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Endeavor Pro3500

Endeavor Pro3500

2006年03月08日 02時08分更新

文● 鈴木 雅暢

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優れたメンテナンス性と冷却性能、静音性を誇る
完成度の高いミドルタワー型ケース

Pro3500の左側面。CPUの直上に吸気口があるのは一般的だが、発熱量の多いグラフィックスカードの2枚差しに備えて、拡張スロットの上にも吸気口が用意されている。 側面パネルを開けた状態。Endeavorシリーズは分解・組み立てにドライバーが不要なのが従来からの特徴で、Pro3500も青いプラスチックの留め具を手で外すだけで、コンポーネントの取り外しなどが可能だ。
Pro3500の左側面。CPUの直上に吸気口があるのは一般的だが、発熱量の多いグラフィックスカードの2枚差しに備えて、拡張スロットの上にも吸気口が用意されている。側面パネルを開けた状態。Endeavorシリーズは分解・組み立てにドライバーが不要なのが従来からの特徴で、Pro3500も青いプラスチックの留め具を手で外すだけで、コンポーネントの取り外しなどが可能だ。

 ミドルタワー型のケースは、Pro3300から継承されたものだ。冷却効率とメンテナンス性に優れた、完成度の高いオリジナルの高級ミドルタワーケースで、デザイン的にもフラッグシップらしい存在感を醸し出している。ケース各部にはブルーの樹脂製アタッチメントが装着されているが、これらはサイドカバーや各種パーツのロックとして機能し、サイドダクトや拡張カードスタビライザー、HDDに光学ドライブ、そして拡張カードまで、すべての構成パーツが工具不要のレバー操作で、着脱できる仕組みになっている。

 静音性も優秀だ。シャーシには肉厚のスチールを採用しており、光学ドライブやHDDとの共振が皆無。インテルが提唱するシャーシの熱設計基準“38℃シャーシ”(※1)に準拠しており、サイドカバーにはCPUに直接フレッシュエアーを供給できるサイドダクトを装備する。また背面には大型12cm角のケースファンを装備して、効率よいエアフローを実現している。このCPUファンとケースファンのいずれも、負荷に応じて自動的に回転速度を調整する回転速度制御に対応している。今回の評価機はPentium D 930-3GHz、Radeon X1800XT、シリアルATA RAID0(2台)という構成でテストしたが、初回の起動時こそ少し大きな音がするものの、ゲームやビデオエンコードなどを実行した場合でも、意外なほど静かなままに利用できた。

※1 CPU周辺温度を38℃以下に抑える熱設計のシャーシの通称。正式には“Thermally Advantaged Chassis(TAC)”。TACにはCeleron D/Pentium 4を対象とするTAC 1.0と、Pentium D/Pentium Extreme Editionを対象とするTAC 1.1がある。

ベンチマークテストで評価
2次キャッシュの差はクロックの差ほどではない

 それではPro3500の実力はどの程度なのか、ベンチマークテストを行なって検証してみた。評価対象として先代であるPro3300とPro3000の結果を掲載しているのだが、Pro3300はCPUにPentium D 840-3.20GHzを搭載していたのに対し、Pro3500評価機はPentium D 930-3GHzと、CPUクロックはPro3300のほうが200MHz高くなっている。その他のシステム構成は表のとおり。

テストに利用した構成
製品名 Endeavor Pro3500 Endeavor Pro3300 Endeavor Pro3000
CPU Pentium D 930-3GHz Pentium D 840-3.20GHz Pentium 4 540-3.20GHz
メモリ PC2-5300 1GB PC2-5300 1GB PC2-4300 1GB
グラフィックス Radeon X1800 XT Radeon X850 XT
HDD SATA II RAID 0キット 1TB SATA II RAID 0キット 160GB
OS Windows XP Home Edition SP2

 「PCMark05 1.0.1」は、パソコンの一般的な用途をシミュレートして性能計測を行なうもので、ウェブページ表示とファイル暗号解読はそれぞれ単独のテスト、オーディオ変換とビデオエンコード、テキスト編集(検索&置換)や画像表示(JPEGのデコード)は、それぞれ並行して実行するマルチタスク環境を想定したものとなっている。

「PCMark05 1.0.1」の“System Test Suites”から抜粋した。CPUのクロックで200MHz勝るPro3300のほうが全般的に高速だが、画像表示やテキスト編集では2次キャッシュ増量の効果があるのか、Pro3500も近いスコアに迫っている。
「PCMark05 1.0.1」の“System Test Suites”から抜粋した(長いほど高速であることを示す)。CPUのクロックで200MHz勝るPro3300のほうが全般的に高速だが、画像表示やテキスト編集では2次キャッシュ増量の効果があるのか、Pro3500も近いスコアに迫っている。

 計測結果を見ると、CPUのクロック差で上回るPro3300のほうが優秀で、すべての項目で良い結果を残している。しかしテキスト編集と画像表示では、Pro3500もPro3300に迫るスコアを出しており、キャッシュ増量の効果は感じられる。

 続いてはビデオ変換ソフト「TMPGEnc 3.0 Xpress」によるビデオ変換処理時間テストを行なった。

「TMPGEnc 3.0 Xpress」を用い、220MBのAVIファイル(DVコーデック)をDVDクオリティーのMPEG2ムービーに変換するのにかかった時間を計測。Pro3300とPro3500の差は5秒(約3%)。Pro3300のほうがCPUクロックが200MHz高いことを考慮すれば、Pro3500が健闘しているといえる。
「TMPGEnc 3.0 Xpress」を用い、220MBのAVIファイル(DVコーデック)をDVDクオリティーのMPEG2ムービーに変換するのにかかった時間を計測(短いほど高速であることを示す)。Pro3300とPro3500の差は5秒(約3%)。Pro3300 のほうがCPUクロックが200MHz高いことを考慮すれば、Pro3500が健闘しているといえる。

 TMPGEncでのテストでも、やはりクロック差を覆すことはできず、Pro3500も健闘したがPro3300のほうが好成績だった。

 3Dグラフィックス系のテストとしては、定番の「3DMark05」(1.2.0)と「FinalFantasy XI Official Benchmark 3」(FFベンチ3)の2種で計測したが、結果は対照的。DirectX 9.0世代のフィーチャーに対応した3DMark05では、Pro3500が他を圧倒しているが、FFベンチ3ではPro3300のほうが好成績を収めた。

スクウェアエニックスの人気オンラインゲームの公式ベンチマークテスト「FinalFantasy XI Official Benchmark 3」による、高解像度のHIGHのスコア。こちらはPro3300のシステムのほうが10%程度高速だった。CPUがボトルネックとなってグラフィックスカードの差が出ていないと考えられる。 Futuremarkの定番3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark05」。実際のゲームシーンを再生し、そのフレームレートからスコアを算出する。グラフィックスカードの性能を大きく反映して、Radeon X1800XTを搭載するPro3500が圧勝している。
スクウェアエニックスの人気オンラインゲームの公式ベンチマークテスト「FinalFantasy XI Official Benchmark 3」による、高解像度のHIGHのスコア(長いほど高速であることを示す)。こちらはPro3300のシステムのほうが10%程度高速だった。CPUがボトルネックとなってグラフィックスカードの差が出ていないと考えられる。Futuremarkの定番3Dグラフィックスベンチマーク「3DMark05」(長いほど高速であることを示す)。実際のゲームシーンを再生し、そのフレームレートからスコアを算出する。グラフィックスカードの性能を大きく反映して、Radeon X1800XTを搭載するPro3500が圧勝している。

 Pro3500が搭載するRadeon X1800XTは一世代前のハイエンドエンドGPUであるRadeon X850XTに大差をつけるほど高性能なGPUだ。しかし事実上DirectX 7世代の技術しか使わっていない古い世代のゲームでは、その能力も十分には生かせない。そのためCPUがボトルネックとなってグラフィックスカードの差が反映されず、CPUクロックの差がそのままスコアに反映されているのだろう。

 CPUのクロックが統一できていないため、歯切れの悪い見解しか出せないのが辛いところだが、Pentium Dの900番台と800番台の性能面にかかわる差は、2次キャッシュの倍増のみといっていい。テストの結果からは、確かにその効果は認められるものの、クロックの差を覆すまでのものではないということがいえる。

 結果的にPro3300のほうがスコアが高いテストが多いが、BTOシステムを採用する以上、構成パーツによって性能が左右されてしまうのは仕方のないことだろう。Pro3500では800番台の最高モデルであるPentium D 840-3.20GHzよりも、クロックの高いPentium D 950-3.40GHzが選べるほか、CrossFireキットやRadeon X1800XTなどの高性能なグラフィックスカードが選べるなど、現在のトレンドによりマッチした構成が選べるようになっている。そういった全体でのブラッシュアップが新モデルのアドバンテージといえる。

ハイクオリティーな本格派PCがほしい方にピッタリ

 IntelのLGA775プラットフォームを採用したEndeavor Proシリーズは、Pro3000、Pro3300に続き、Pro3500で3世代目の製品となるが、もともと定評のあるシリーズだけに完成度は非常に高い。最新のCPUに対応するだけでなく、グラフィックス性能、ストレージ性能もトレンドに応じた強化が図られており、性能面、機能面ともに文句のない仕上がり。ノートパソコンや省スペースパソコンなどでは得ることができない突出した性能と機能に加え、将来的な拡張性、さらに静粛性、メンテナンス性と、ハイエンドマシンに求められる要素をすべて満たしている。「とにかく最高性能のパソコンがほしい」というハイエンドユーザーの要求にしっかり応えられる仕上がりの製品となっている。もちろん、本製品のターゲットは究極のハイエンドを求めるユーザーに限らない。EndeavorシリーズならではのBTOメニューで、最小構成で12万4950円から柔軟なパーツ選択が可能になっているため、予算や目的に応じたコーディネイトが可能。究極のハイエンドまでは不要でも、クオリティーのしっかりした本格派のPCがほしいという方にもぜひ検討してもらいたい製品だ。

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