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NEC、UWB向けの“超広帯域無線通信技術”を開発――3G~9GHzで安定的に信号生成・処理が可能に

2006年02月06日 14時42分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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日本電気(株)は6日、最大480Mbpsでの無線通信が可能な高速無線通信技術“UWB(Ultra Wide Band)”の本格普及を促進する技術として、3G~9GHzの広い周波数に渡って安定的に信号を生成・処理できるという“超広帯域無線通信技術”を開発したと発表した。この内容は今月5日から9日まで米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催中の学会“国際固体回路会議(ISSCC2006)”で現地時間の6日に発表されるという。

90nmCMOSプロセスで開発したという試作チップとその構成図
90nmCMOSプロセスで開発したという試作チップとその構成図

“超広帯域無線通信技術”は主に以下の3つの新技術によって構成されるという。

  • 広い周波数(3G~9GHz帯)に渡って安定的に信号を生成・処理できる超広帯域補償回路技術、および高周波動作が可能なCMOSプロセス
  • 超低電圧(1.1V)動作アンプ技術
  • 回路に存在する素子間のばらつきを低電力で補正する技術

広い周波数に渡って安定的に信号を生成・処理するために、使用する帯域の切り換えに応じて高速にゲインを変化させる“超高速可変ゲインアンプ”を発振器に搭載、3G~9GHz帯に渡ってフラットな出力特性を得たという。さらに90nmの先端CMOSプロセス“ASPLA(Advanced SoC Platform)”を採用して、高周波動作を実現した。これによりシステムLSIへの混載も実現できるとのこと。

低電圧動作アンプは従来シリコン基板を伝わる高周波ノイズの影響を受けやすいという課題を克服するため、今回の超低周波動作アンプでは高周波基板ノイズを別途取り出して減算処理することで、高周波ノイズの影響がほとんど現われないアンプ技術を開発したとしている。

回路の素子間のばらつきは、従来各回路ごとに電圧調整回路を設けて補正していたため、トータルの消費電力が高くなるという課題があった。今回はチップ上に1個配置した電圧調整回路の電圧をばらつき補正バスを介して各回路に配ることで、補正に必要な電力を大幅に低減できたという。

同社ではこの開発によって、「UWB通信が本格的に普及し、利用者が増加した際にも十分に広い帯域で高速無線通信を行うことができるようになります」とコメントしている。

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