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日本オラクル、企業のコンプライアンス/ガバナンス強化を支援する“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”を発表

2006年01月26日 21時50分更新

文● 編集部 内田泰仁

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日本オラクル(株)は26日、企業全体のコンプライアンス(法令遵守)管理やガバナンス(企業統治)強化をサポートする製品アーキテクチャー“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”を発表した。同アーキテクチャーでは、同社が持つインフラ製品群とこれらをサポートするアプリケーション群により、コンプライアンスおよびガバナンスの強化に伴う企業内部統制の実現と、高度な分析に基づく戦略的経営や効率的な事業推進を同時に実現するものだという。

“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”の構成機能と製品。同社製品を“コンプライアンスとガバナンスの強化”を目的に体系化したものが同アーキテクチャーである製品導入/展開に向けた提案例。まずはコンプライアンス/ガバナンス強化を行ない、最終的には企業の使命である“企業価値の向上”に結び付けていくことが重要だとしている
この日行なわれた説明会で“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”の概要を説明した取締役 常務執行役員 インダストリー&アプリケーション事業統括 アプリケーション事業推進本部長の保科実氏

“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”は、組織全体のコンプライアンス/ガバナンス要件を管理するための機能を持つ同社製品を、体系的・包括的に網羅したアーキテクチャーで、コンプライアンス/ガバナンス強化に必要な、業務の有効性/効率性、財務諸表の信頼性、プロセスの可視化、情報管理、一貫したセキュリティー/アクセス制御などの項目を一括して実現するという。

製品の構成要素としては、

  • 事業戦略、業務目標の設定と測定
  • プロセス/リスク管理
  • コミュニケーション/トレーニング機能
  • サービス指向アーキテクチャー(SOA)
  • 業務プロセスおよびワークフロー
  • コンテンツおよびレコード(記録)管理
  • セキュリティーおよび個人認証管理

を揃え、体系的に製品をマッピングして提供することにより、個々のプロセスに対応するための部分的なソリューションを単体で導入した場合に比べ、将来的な法制度の改正(今後施行される日本版SOX法など)にも対応可能なコンプライアンス体制を維持しやすく、柔軟かつ費用対効果の高いIT基盤を構築できるとしている。

執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏

同アーキテクチャーに含まれる製品に関する説明を行なった執行役員 システム事業推進本部長の三澤智光氏は、コンプライアンス/ガバナンス強化が強く求められる現在の企業システムに必要な要素として“高セキュリティーIT基盤”“安定したIT基盤の運用”“プロセスの可視化”“コンテンツの管理”の4点を挙げているが、中でも“高セキュリティーIT基盤”と“コンテンツの管理”の実現は特に重要な要素で、同社ではこの分野に対して注力、具体的には以下の製品を展開していくとしている。

セキュリティー/個人認証管理『Oracle Identity and Access Management Suite』
ユーザーIDや同社および他社製アプリケーションに対するアクセス権を集中管理するパッケージ。権限の作成/承認/発行などのワークフロー・プロセスを提供して、アクセス管理を自動化。この日発表された新パッケージで、2月27日に提供を開始。
 
コンテンツおよびレコード(記録)管理『Oracle Records Management』
“Oracle Collaboration Suite”のオプション機能で、エンタープライズコンテンツ管理機能ならびにコンテンツのライフサイクルに基づき、ビジネス・プロセスの管理と連携したレコード管理システムを提供。また、『Oracle Content Services』と連携したユーザビリティーを備え、エンドユーザー・レベルでコンテンツ管理からレコード管理までのプロセスをシームレスに利用可能。
 
プロセス・リスク管理『Oracle Internal Controls Manager』
内部統制、会計/業務監査の管理に使用するリスク管理のフレームワーク。企業リスクを管理しながら、文書化/テスト/監視/プロセスおよび統制の認証などのコンプライアンス業務を合理化する。また、リスク要因の追跡や監査結果の発行、決算報告や承認状況の評価、企業全体におけるコンプライアンスの状態の評価も可能。
なお同社では、2006年中には、企業/グループ内の会計データおよび非会計データを、表計算データや外部システムなどを経由して効率的に収集/連結し、経営情報の分析を可能とする“Oracle Financial Consolidation Hub”と連携できる新バージョンを発表予定。

“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”のコンサルティング・メニュー“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”の研修メニュー

また同社では、同アーキテクチャー製品の展開に向け、ビジネスコンサルティング/インフラマネージメント/インプリメンテーション/ISV分野におけるパートナーシップ強化、同アーキテクチャーに基づくコンサルティング・メニューや教育/研修メニューの拡充をそれぞれ行なっていくという。

米オラクル サーバー・テクノロジー担当バイス・プレジデントのアルベルト・ヤペズ(Alberto Yepez)氏セキュリティ&コンプライアンス リスク・アシュアランス担当ディレクターのハロルド・コレット(Harold Collet)氏
発表会には米本社の『Oracle Identity and Access Management Suite』『Oracle Records Management』の担当責任者も出席し、各製品の概要を説明

 

常務執行役員 最高財務責任者 ファイナンス本部長の松岡繁氏オラクルグループのコンプライアンス/ガバナンス強化の取り組みのポイント

この日の発表会には、同社自身のコンプライアンスへの取り組みについて、常務執行役員 最高財務責任者 ファイナンス本部長の松岡繁氏が説明を行ない、この中で同氏は、日本オラクルは、東京証券取引所1部上場企業としての日本国内法の遵守と、米オラクル社の連結子会社としての米国法の遵守という2つの法律上の責任を持ち、これらに対する義務を果たしていかなければならないと述べた。

同氏は説明の中で、米オラクルにおけるコンプライアンス/ガバナンス強化の事例を紹介。同社では、業務改革の一環として、日本円で1000億円超のコスト削減を目指した、2000年からグローバルでの業務システム/データベースの統合プロジェクトをスタート。コスト削減効果に加えて、コンプライアンス/ガバナンスの強化(データの正確性/可視性/適時性の改善、内部統制の強化、など)も盛り込まれ、現在では日次で業務指標を確認/チェック可能な単一のグローバルな経営管理システムを構築、コスト削減とコンプライアンス/ガバナンス強化の両立を実現したという。松岡氏は、「“オラクル・コンプライアンス・アーキテクチャ”を使って日々の業務を進めていくことによって、日米の法律上の要求を自動的にクリアすることができる体制となっている」と述べ、今回発表したアーキテクチャーの有効性をアピールした。

会の冒頭、代表取締役社長の新宅正明氏がテレビ電話経由で挨拶を行なった。同氏は2006年の3つのテーマとして、ビジネス継続性の管理、日本版SOX法に向けた対応、セキュリティーの3点を挙げ、「オラクルだけが、セキュリティーやデータ統合、SOA基盤を総合的に提供できる」と述べた

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