水素と酸素を原料にして電力を生み出す“燃料電池”に特化した専門展示会“FC EXPO 2006~第2回 国際水素・燃料電池展~”が25日、東京・有明の東京国際展示場(東京ビッグサイト)西展示ホールおよび会議棟において開幕した。会期は27日までの3日間。主催はリード エグジビション ジャパン(株)。
会場には、水素を供給するための原料(酸素は多くの場合空気中から取り入れる)となるメタン/メタノール、ガソリン/ナフサ、バイオマスから、触媒や電極、電解質、セパレーターなどのスタック材料、さらにそれらを組み合わせて得られる電力効率の測定機材、さらに水素ガススタンドなど燃料電池の実用化において必要となるインフラなどの技術・製品が多数展示されている。
燃料電池自動車の試乗会会場の模様 |
燃料電池に特化した展示会としては2度目の開催となる今回は、会場外に燃料電池自動車/バスを用意して、実際に乗車しての印象などを体験できるコーナーも用意するなど、燃料電池が研究段階からより実用化に進んだ印象を強くする内容になっている。
走行中の音は極めて静かで、タイヤが路面を摩擦する軋み音だけが響く程度だった | 燃料電池自動車は背面が特徴的で、排気ガスを出すマフラーがなく、代わりに発生した水がぽたぽたと滴る | |
トヨタのFCHV車 |
試乗会はトヨタ自動車(株)/日産自動車(株)/本田技研工業(株)/ダイムラー・クライスラー日本(株)から乗用車を4台、トヨタと日野自動車(株)の共同開発によるバス1台が用意され、自分では運転はできないものの乗り心地や動作音の静かさなどが体感できた。これらの燃料(水素)の供給は有明地区にある水素ステーションで行なう。
1Fで試乗会が行なわれた燃料電池バス |
バスは2003年から2004年に掛けて都内で合計8台が13万km/100万人を輸送し、2005年には愛・地球博で瀬戸⇔長久手会場間の運行も行なった“FCHV-BUS(燃料電池ハイブリッドバス)”で、ベースとなるノンステップバスと室内(キャビン)の広さは同じだという(定員65名)。エンジンルームにモーターを2台設置し、上部に高圧水素タンクを並べてある。トヨタの説明員によると、現状では
- 製造コストが高いこと
- 燃料(水素)を多く詰めないこと
- 低温時に発生した水が凍りつく可能性があること(現在は改良を進めているが、試乗会のバス/自動車は未対応)
- バスのように決まったルートを回る場合は問題ないが一般の乗用車に対して水素ガスを供給するためには全国に5000ヵ所以上の水素ステーションが必要で、その採算性をどう克服するか
などが課題として挙げられるという。
ラッピングは愛・地球博で使われたものがそのまま使われていた | 運転席の様子 | |
トヨタと日野のFCHVバス |