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トレンドマイクロ、スパイウェア対策専用ソフト『スパイバスター2006』を発売――“ウイルスバスター”よりきめ細かい対策機能を装備

2006年01月23日 20時25分更新

文● 編集部 内田泰仁

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『スパイバスター2006』の製品パッケージ

トレンドマイクロ(株)は23日、同社初となるスパイウェア対策専用のセキュリティー・ソフトウェア『スパイバスター2006』を2月10日に発売すると発表した。製品の販売形態は、各種量販店/ショッピングサイト/同社直販サイト“トレンドマイクロ・オンラインショップ”でのパッケージ販売およびダウンロード販売。価格はオープンプライスで、“トレンドマイクロ・オンラインショップ”での価格は、パッケージ版が4725円から、ダウンロード版が3570円から。同社では、初年度販売は50万ユーザーを目標とするとしている。



『スパイバスター2006』の機能概要

『スパイバスター2006』は、同社が2005年5月に買収したスパイウェア対策専業メーカーの米Intermute社の製品をベースに開発されたスパイウェア対策に特化したソフトウェア。ウイルス対策ソフトなどのセキュリティー対策ソフトと併用し、きめ細かいスパイウェア対策を行なうことが可能だという。主な機能は、スパイウェアの侵入監視、スパイウェアの検索/削除、情報流出の予防の3つの柱からなる。具体的な機能は以下のとおり。

リアルタイム監視機能
スパイウェアによって変更されやすいOSの領域やアプリケーション情報(ActiveXやダウンロードプログラム、プログラムの実行/インストール、Windows/Internet Explorerの設定)の常時監視を行なう。これらが変更された際、それがユーザーの意図によるものかどうか確認を促すダイアログを表示。監視対象はカスタマイズ可能。
 
検索/削除機能
システム上で最も改変されやすいメモリー/レジストリー/ファイルシステムを高速検索する“クイック検索”、クイック検索で対象となる領域とファイルシステム全体を検索する“フル検索”、 検索対象とする領域や種類を個別に設定し指定領域を検索する“カスタム検索”の3種類の検索/削除機能を搭載。
また、削除したスパイウェアやレジストリー情報などをバックアップファイルとして保存し、削除後にシステムが不安定になったり、必要なファイルを誤って削除してしまった場合にファイル/情報を復元する復元機能、特定のファイル/情報を明示的に検索対象に加える/検索対象から外す“禁止リスト”“除外リスト”も備える。
 
CoolWebSearch対策機能
スパイウェアのうち、検索や駆除が困難だとされている“CoolWebSearch”およびその亜種の専用駆除ツール“CWShredder”を搭載。
 
履歴情報管理機能
Windowsおよびアプリケーションの履歴/キャッシュなどの情報およびファイルを管理/削除する“アプリケーション履歴”、Internet ExplorerのCookieの管理を行なう“クッキー管理”、特定のフォルダーやファイルを、独自の処理を施して安全に削除する“シュレッダー処理”といった機能を搭載。個人情報などの重要な情報を含むケースがある各種情報を一括して管理/削除できる点が特徴。

『スパイバスター2006』のメイン画面スパイウェアである疑いのあるソフトウェアをインストールしようとした時に表示される警告画面スパイウェア実行時にシステムに何らかの改変が行なわれたときに表示される警告画面履歴情報管理機能で一括管理/削除を行なう項目の設定画面

本製品は、同社の“ウイルスバスター”シリーズと同様にパターンファイルに基づく検索/駆除機能を持つが、このパターンファイル自体は『スパイバスター2006』と“ウイルスバスター”シリーズとは別のものだという。また、最新の『ウイルスバスター2006 インターネット セキュリティ』にもスパイウェア対策機能は盛り込まれているが、『スパイバスター2006』ではよりきめ細かな対策を可能としているといい、具体的には、“CoolWebSearch”対策専用機能、Windowsおよびアプリケーションの不正改変監視/履歴管理機能などが『スパイバスター2006』特有の機能となる。

動作環境は、対応OSがWindows 2000 Professional(SP4以上)またはWindows XP SP1、必要ソフトウェアはInternet Explorer 5.5(SP2)以上、必要CPUは300MHz以上のPentiumおよび互換CPU、メモリー128MB以上、HDD 6MB以上、など。パッケージ版およびダウンロード版の製品には、通常の1ユーザーライセンスが付属するものと複数ユーザーライセンスが付属するものが用意される。“トレンドマイクロ・オンラインショップ”での価格は、パッケージ/1ユーザー版が4725円、パッケージ/2ユーザー版が7098円、ダウンロード/1ユーザー版が3570円、ダウンロード/2ユーザー版が5376円、ダウンロード/5ユーザー版が1万3377円。

コンシューマビジネス統括本部 統括本部長 バイスプレジデントの沢昭彦氏セキュリティー対策ソフト/サービスおよびスパム対策機能の利用状況調査。セキュリティー対策を行なっているユーザーは8割近くに達しているが、スパイウェア対策はまだ導入が進んでいないのが現状

この日行なわれた新製品発表会で製品や市場動向の概要などを説明したコンシューマビジネス統括本部 統括本部長 バイスプレジデントの沢昭彦氏によると、インターネットの人口普及率は2004年末に62.3%に、世帯浸透率は82.8%(“インターネット白書2005”による)にそれぞれ到達し、「水道や電気、電話のようなインフラ」となるまでに普及し、多くの個人ユーザーがショッピングや銀行/証券取引といった用途にも活発に利用しているが、その一方で、金銭を目的とした不正アクセス行為が急増しているという。最近の同社の調査では、スパイウェアに対するユーザーの認識や対策の必要性といった意識はともに高まっているものの、スパイウェア対策ソフトの利用率は15%にとどまっているのが現状だといい、同社では「よりきめ細かい対策を希望するユーザー向けの専用対策ソフト」と同製品を位置付け、「スパイウェアの活動を自動でブロック」する包括的な機能を『スパイバスター2006』で提供すると述べた。

コンシューマビジネス統括本部 プロダクトマーケティングマネージャの田中淳一氏

製品の機能などについて説明したコンシューマビジネス統括本部 プロダクトマーケティングマネージャの田中淳一氏は、同社によるスパイウェアの定義を“ユーザーに気付かれないようにインストールされる”“ユーザーの情報を許可なしに送信、ユーザーに影響を与える活動を行なう”といった特徴を持つソフトウェアと説明。種類としては、スパイウェア(情報の不正な覗き見/盗用を行なう狭義な意味での)/アドウェア/ダイヤラー/ジョークプログラム/ハッキングツール/リモートアクセスプログラムを挙げている。

また、今回単体のスパイウェア対策ソフトをリリースした理由については、スパイウェアの社会問題化と緊急性の高まりを考慮して、早急に専門の対策ソフトを出すべきだと判断し、既存の“ウイルスバスター”シリーズユーザーにはワンランク上の対策機能を、他社製品ユーザーにはスパイウェア対策の重要性認識と対策を強化を呼びかける意味合いも含め、単体の製品を投入するにいたったとしている。なお、将来的な“ウイルスバスター”シリーズへの機能統合に向けた検討/開発も進めているというが、現時点では具体的な時期は未定だという。

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