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VAIO type S VGN-SZ90PS

VAIO type S VGN-SZ90PS

2006年02月02日 18時40分更新

文● 編集部・小西利明

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VAIO type S VGN-SZ90PS

ソニー/ソニーマーケティング

オープンプライス

ソニー/ソニーマーケティング「VAIO type S VGN-SZ90PS」プレミアムバージョン。パネルにはプレミアムカーボン、キーボードはシルバーを選んだ構成。
ソニー/ソニーマーケティング「VAIO type S VGN-SZ90PS」プレミアムバージョン。パネルにはプレミアムカーボン、キーボードはシルバーを選んだ構成。

Napaプラットフォーム+ハイブリッド・グラフィックシステムで、パワーと駆動時間を両立!?

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 1月6日にインテル(株)から、待望のノートパソコン向けデュアルコアCPU“Intel Core Duo”シリーズと、同CPUに関連チップセット、無線LANモジュールを組み合わせた“Centrino Duoモバイル・テクノロジ”(コード名Napa)が発表された。Pentium Mコアのデュアルコア化によるパフォーマンスの向上はもちろんだが、Centrino Duoベースのノートパソコンではチップセットや無線LANモジュールの低消費電力化により、バッテリー駆動時間の延長も期待されている。そんなCentrino Duoの特徴であるパフォーマンスとバッテリー駆動時間の両立を、業界初の独自機能を取り入れること実現してみせたのが、ソニー(株)の新しい“VAIO type S”シリーズ(通称SZシリーズ)である。今回はSZシリーズの評価機を元に、その優れたパワーとバッテリー駆動時間の実態について、レポートしてみたい。

 今回評価に使用したのは、SZシリーズの“VAIO OWNER MADEモデル”(以下VOMモデル)「VGN-SZ90PS プレミアムバージョン」である。VOMモデルはソニーの直販サイト“Sony Style”か、“VAIO・OWNER・MADE取扱店”の店頭コーナーにて注文できるCTOモデルであり、注文時にCPUやメモリー、HDD容量などのコンポーネントや、付属ソフトウェアや保証形態の選択などが可能である。VOMモデルでしか選択できない仕様も少なくないので、コンポーネント選択で妥協したくない人にはお勧めである。評価機の仕様は以下のとおりであるが、評価機以上にハイスペックなコンポーネントを選択することも可能だ。選択可能な仕様についてはこちらの記事も参照していただきたい。


VAIO type S VGN-SZ90PS(評価機)の主なスペック
CPU Intel Core Duo T2400-1.83GHz
チップセット モバイルIntel 945GM Express
メモリー DDR2-533(PC2-4200) 1GB
液晶ディスプレー 13.3インチワイド クリアブラック液晶(スリムLED) 1280×800ドット
グラフィックス NVIDIA GeForce Go 7400 with TurboCache/Intel 945GM内蔵グラフィックス
HDD 60GB
光ディスクドライブ DVD+R DL対応DVDスーパーマルチドライブ(DVD+R DL 最大2.4倍速書き込み、DVD±R 最大4倍速書き込み、DVD+RW 最大2.4倍速書き込み、DVD-RW 最大2倍速書き込み、CD-R 最大24倍速書き込み)
スロット ExpressCard/34×1、PCカード TypeII×1、メモリースティックDuoスロット(Pro Duo/高速転送対応)×1、メモリーカードアダプターにてメモリースティックDuo/SDメモリーカード/MMC/xDピクチャーカードに対応
通信 IEEE 802.11a/b/g、10/100BASE-TX、Bluetooth 2.0+EDR、V.92 56kbpsモデム
I/O USB 2.0×2、i.LINK(IEEE 1394)、外部アナログディスプレー端子、ポートリプリケターコネクター、ヘッドホン出力など
バッテリー駆動時間 約7時間
サイズ(W×D×H) 315×234.3×33.7(最薄部22.8)mm
重量 約1.69kg
OS Windows XP Professional SP2
評価機構成価格 25万7800円

 まずはスペックから見ていこう。繰り返しになるが、SZシリーズはCPUにIntel Core Duoシリーズ、チップセットにモバイルIntel 945GM Express、無線LANモジュールにIntel PRO/Wireless 3945ABGを搭載する、Centrino Duo対応ノートパソコンとなっている。Core DuoシリーズはPentium Mアーキテクチャーをベースに、デュアルコア化を行なったCPUである。2次キャッシュメモリーには、2MBの共有型キャッシュを内蔵し、キャッシュの利用効率向上とリーク電流の低減を図っている。CPUとチップセットを結ぶシステムバス(FSB)の動作周波数も、667MHzへと高速化されている。評価機はCore Duo T2400-1.83GHzを搭載している。バッテリーモード時の最低駆動周波数は1GHzだ。

CPU性能テスト中にタスクマネージャーを表示した状態。デュアルコアの証である、2つのCPU使用率メーターが表示されている。
CPU性能テスト中にタスクマネージャーを表示した状態。デュアルコアの証である、2つのCPU使用率メーターが表示されている。

モバイルIntel 945GM Expressは、改良された3Dグラフィックス機能“GMA950”を内蔵するPCI Express対応チップセットで、基本的な機能はデスクトップパソコン向けのIntel 945GM Expressと同じだが、モバイル用途向けに低消費電力化が図られている。DDR2-667メモリーのデュアルチャネル接続に対応しているが、SZシリーズではDDR2-533メモリー(デュアルチャネル接続)を搭載する。

 SZシリーズ最大の特徴と呼べるのが、“ハイブリッド・グラフィックシステム”と呼ばれる独自のグラフィックスチップ(GPU)切り替えシステムである。従来のtype Sシリーズは、低価格だが3Dグラフィックス性能の低いチップセット内蔵(Intel 915GM Express)GPUか、パフォーマンスに優れる代わりに、やや高価でバッテリー消費も多めの外付けGPU(GeForce Go 6400)のどちらかを搭載していた。そのため性能を取るか、バッテリー駆動時間(と価格)を取るかの二者択一の選択しかできなかった(とはいえ、それすら選べないノートパソコンの方が世の中には多いのだが)。

GPUを切り替える“パフォーマンス切替えスイッチ”(中央左より)。SPEEDモードとSTAMINAモードの切り替えが可能で、選択されている側はLEDが点灯する。
GPUを切り替える“パフォーマンス切替えスイッチ”(中央左より)。SPEEDモードとSTAMINAモードの切り替えが可能で、選択されている側はLEDが点灯する。

 そこでSZシリーズではパフォーマンスとバッテリー駆動時間を両立させるために、驚くべき仕組みを導入している。GPU内蔵のIntel 945GM Express採用に加えて、外付けGPUとして米エヌビディア社の最新ノート向けGPU“GeForce Go 7400 with TurboCache”を搭載し、キーボード上部に付いた“パフォーマンス切替えスイッチ”によって、どちらのGPUを使うかを任意に切り替えられるようにしたのだ! つまりパフォーマンスが必要な時にはGeForce Go 7400を使用し、バッテリー駆動時間を優先したいときにはチップセット内蔵GPUを使うといった切り替えが可能なのだ。

 切替えスイッチを操作すると、GPUの選択と同時にWindows XPの電源設定も切り替わる。スイッチが“SPEED”側にあるときはGeForce Go 7400と“VAIO標準設定”が、“STAMINA”側にあるときにはチップセット内蔵GPUと“VAIOスタミナ設定”が選択されるという仕組みになっている。残念ながらWindows XP側が起動中のGPUの切り替えというギミックに対応していないので、スイッチによる切り替え時にはWindows XPの再起動が必要になる。気になるパフォーマンスとバッテリー駆動時間については、この後のベンチマークテストの部分にて検証したい。

スイッチを操作すると、画面にはこのような警告表示が出る。再起動が必要なのは少々残念だ。 切り替え後に再起動すると、このようなダイアログで切り替えが行なわれたことを示す。電源プロパティを開いて、電力設定を確認することもできる。
スイッチを操作すると、画面にはこのような警告表示が出る。再起動が必要なのは少々残念だ。切り替え後に再起動すると、このようなダイアログで切り替えが行なわれたことを示す。電源プロパティを開いて、電力設定を確認することもできる。

白色LEDバックライト採用でより薄く軽くなった!

 SZシリーズはVOMモデルがVGN-SZ90PS、90Sと「VGN-SZ80PS、80S」の2機種、店頭販売モデルが「VGN-SZ70B/B」1機種の、計3機種がラインナップされている。SZ80系とSZ70は基本的に同じ筐体を使い、コンポーネント構成が異なるだけだが、“プレミアムバージョン”と称されるSZ90は、特別な液晶ディスプレーを採用することで、さらなる薄型化と軽量化を実現している。それがVAIO type Tシリーズでも採用されている、白色LEDバックライトを使った液晶ディスプレー“クリアブラック液晶(スリムLED)”だ。液晶ディスプレーのヒンジ側に白色LEDを配置し、導光板によって画面全体を光らせる仕組みとなっている。

 一般的なモバイルノート用液晶ディスプレーは、ヒンジ部に蛍光管とインバーターを備えており、導光板も蛍光管の太さに合わせて厚みがあるのに加えて、システム基板もそれなりの大きさが必要である。それに対してクリアブラック液晶(スリムLED)では、発光部がコンパクトなLEDのアレイなので、発光部自体が小さく導光板の厚みも薄くできる。インバーターも不要でシステム基板も小型化にも成功。これにより液晶ディスプレー部全体の厚みは、わずか約5mm程度に抑えられている。液晶ディスプレーの薄型化は全体の軽量化にも貢献しており、6日に発表されたVAIO type S「VGN-S55B/S」が重量約1.95kgなのに対して、SZ90は1.69kgまで軽量化されている。

SZ90の左側面。液晶ディスプレーの薄さがよくわかる。中央下側の開口部はPCカードスロット。 右側面。DVDスーパーマルチドライブの右にはExpressCard/34スロットが装備されている。従来機種のType Sにあった、右側面の排気口はない。左側面にも小さな開口部があるだけで、放熱設計が一新されていることがうかがえる。
SZ90の左側面。液晶ディスプレーの薄さがよくわかる。中央下側の開口部はPCカードスロット。右側面。DVDスーパーマルチドライブの右にはExpressCard/34スロットが装備されている。従来機種のType Sにあった、右側面の排気口はない。左側面にも小さな開口部があるだけで、放熱設計が一新されていることがうかがえる。

 さらにSZ90の液晶ディスプレーは、薄型軽量化と強度確保のために、炭素繊維を積層した“マルチレイヤーカーボンファイバー”を使用している。塗装も2種類用意され、評価機の“プレミアムカーボン”では、パネルの表面に繊維が作り出す線が見えるデザインとなっている。もう1種類の“カーボンブラック”では、艶消し黒のシックなデザインとなる。厚さや重量、性能面での違いはないので純粋に好みで選べるが、どちらも高級感のある美しいデザインだ。筆者は2005年新春モデルのtype S「VGN-S92PS」を所有しているが、比べてみると約260gの軽量化で明らかに軽くなっただけでなく、全体的にフラットかつシャープなデザインに変更されたこともあり、同じサイズの液晶ディスプレーを搭載しながら、まったく別シリーズの製品のように感じるほど、従来とは違ったデザインに仕上がっている。

評価機のパネル天面は“プレミアムカーボン”の塗装。ヘアラインのような縞模様が美しい。
評価機のパネル天面は“プレミアムカーボン”の塗装。ヘアラインのような縞模様が美しい。

 デザイン面でもうひとつ触れておきたいのは、底面にゴム足以外の凹凸がない点だ。“デザイン重視”をうたうモバイルノートは多いが、底面を見ると放熱機構やコンポーネントの収納部などがゴツゴツとした凹凸になって、非常に見栄えの悪い物が多い。デザインを重視したモバイルノートなら、裏側の美しさにも気をつかってもらいたい。その点でもSZ90は合格であろう。

SZ90の底面。バッテリーはやや右側面側に寄って装着される。底面には吸排気用のスリットはあるが、放熱機構などの出っ張りはなく、フラットに近いすっきりとしたデザインにまとめられている。スリットの向こう側に冷却用ファンが見える。
SZ90の底面。バッテリーはやや右側面側に寄って装着される。底面には吸排気用のスリットはあるが、放熱機構などの出っ張りはなく、フラットに近いすっきりとしたデザインにまとめられている。スリットの向こう側に冷却用ファンが見える。

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