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スパンションジャパン、携帯電話向けの高速なNOR型フラッシュメモリーと、NOR型とORNANDフラッシュメモリーを組み合わせたマルチチップパッケージを発表

2006年01月19日 17時03分更新

文● 編集部 小西利明

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携帯電話機をベースにした、MirrorBit ORNANDフラッシュメモリーのデモ機。左下がフラッシュメモリー部 スパンションジャパン ワイヤレス事業本部長のハンス・ウィルデンバーグ氏
携帯電話機をベースにした、MirrorBit ORNANDフラッシュメモリーのデモ機。左下がフラッシュメモリー部スパンションジャパン ワイヤレス事業本部長のハンス・ウィルデンバーグ氏

スパンションジャパン(株)は19日、携帯電話向けに“MirrorBit NOR型”フラッシュメモリー製品に、512Mbitの新製品を追加したと発表した。同時にNOR型フラッシュメモリーと同社独自の1Gbit MirroBit ORNANDフラッシュメモリー、外部のメモリー事業者から供給されるDRAMを組み合わせたメモリーサブシステムを、携帯電話向けの提供すると発表した。

デモ機のフラッシュメモリー部分。1Gbit(128MB)のORNANDフラッシュメモリーを搭載している。アクセス速度は読み書きともに高速で、データ量の大きな画像も高速に処理してみせた
デモ機のフラッシュメモリー部分。1Gbit(128MB)のORNANDフラッシュメモリーを搭載している。アクセス速度は読み書きともに高速で、データ量の大きな画像も高速に処理してみせた

フラッシュメモリー製造の専業メーカーでは最大手の同社は、フラッシュメモリーの中でも携帯電話やデジタル家電など、組み込み機器で使われるフラッシュメモリーに注力したビジネスを行なっている。同社の主力製品は、携帯電話での利用が多いNOR型フラッシュメモリーであるが、近年はビット単価が安く書き込みの高速なNAND型フラッシュメモリーが急速に市場を拡大している。同社では“MirrorBitテクノロジ”と称する独自技術により、NOR型フラッシュメモリーの価格容量比を改善するとともに、“ORNAND”と呼ぶ独自アーキテクチャーのフラッシュメモリーを開発し、NAND型に対抗する製品として供給している。同社ではMirroBit ORNANDフラッシュメモリーの利点として、NAND型と同等のコスト、NAND型のインターフェースを備える点などを挙げている。また同社ワイヤレス事業本部長のハンス・ウィルデンバーグ(Hans Wildenberg)氏は、NAND型より読み込みが、NOR型より書き込みが高速なほか、NAND型と比べて信頼性が高いといった利点を挙げた。

2004~2005年度の携帯電話向けフラッシュメモリーの市場シェア。同社とインテル(株)が大きなシェアを持つ 同社が予測する、携帯電話のメモリー容量の変化。現時点でコード実行用に512Mbit(64MB)、記録用に2Gbit(256MB)のフラッシュメモリーが求められていて、今後も倍増していく
2004~2005年度の携帯電話向けフラッシュメモリーの市場シェア。同社とインテル(株)が大きなシェアを持つ同社が予測する、携帯電話のメモリー容量の変化。現時点でコード実行用に512Mbit(64MB)、記録用に2Gbit(256MB)のフラッシュメモリーが求められていて、今後も倍増していく
同社独自の“MirrorBit ORNANDフラッシュメモリー”の利点。NAND型と同容量で同程度の価格ながら、読み出し速度や信頼性で優れるとしている
同社独自の“MirrorBit ORNANDフラッシュメモリー”の利点。NAND型と同容量で同程度の価格ながら、読み出し速度や信頼性で優れるとしている

発表された512MbitのNOR型フラッシュメモリー製品は、90nm製造プロセスで製造され、電圧は1.8V。133MHzと高速なメモリークロックで動作することで、携帯電話のアプリケーションを高速で動作させることが可能としている。性能について同社発表資料では、“既存の携帯電話の性能を最高66%まで向上させられる”とされている。

また同時に発表されたメモリーサブシステムは、コード(ソフトウェア)実行用メモリーとして128~512MbitのNOR型フラッシュメモリーと、データストレージ用に512Mbit~1GbitのORNANDフラッシュメモリー、さらに外部のDRAMメーカーから供給されるメモリー(SDRAMや表示用のDDRAMなど)を組み合わせて、最大3Gbitのメモリーを1つのマルチチップパッケージ(MCP)またはパッケージオンパッケージ型のサブシステムとして構成し、携帯電話機メーカーなどに販売する。対象となる携帯電話としては、音楽/動画再生やTV機能などを備えるハイエンド機種や、PDA機能を統合したスマートフォンなど、高機能なアプリケーションと大容量のメモリーストレージを必要とするハイエンド製品となる。同社ではDRAMの供給元として、エルピーダメモリ(株)と供給契約を締結しており、安定したDRAM供給を確保している。

512Mbit NOR型フラッシュメモリーや1Gbit ORNANDフラッシュメモリーは現在サンプル出荷中で、後者は2006年第1四半期の3月頃をめどに量産出荷を開始する予定。また512Mbit NOR型やNOR型とORNANDを組み合わせたMCP製品のメモリーサブシステムについては、2006年半ばの出荷を予定している。また2007年第1四半期には、65nmプロセスで製造されるORNANDフラッシュメモリーのサンプル出荷も予定されている。

MCP製品のロードマップ。スマートフォンや高機能携帯電話など、大容量のメモリーを必要とするハイエンド製品をターゲットに展開する
MCP製品のロードマップ。スマートフォンや高機能携帯電話など、大容量のメモリーを必要とするハイエンド製品をターゲットに展開する

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