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【特別企画】韓国市民記者ビジネスを追うVol.2――SBSソウル放送

2006年01月30日 16時45分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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木洞にあるSBS本社
木洞にあるSBS本社。ガラス張りの近代的なビルで、屋上には巨大なアンテナが立っている

第2回は、テレビのレギュラーニュース番組に市民記者制度を取り入れたSBS(Seoul Broadcasting System:ソウル放送)社だ。SBSは1990年に設立され、韓国民営放送の三大ネットワークの一角として知られている。SBSのドラマは日本国内でも多数放映されており、『天国の階段』『美しき日々』といったタイトルを一度は目や耳にした読者も多いだろう。SBSの社屋がある木洞(モクトン)は、ソウル特別市庁がある光化門/市庁駅から地下鉄で20分、漢江を挟んで南西に位置する。SBSやCBS(キリスト教放送)社といったメディアやドラマの制作発表などが行なわれる放送会館、そして高級マンションやショッピングセンターなどが立ち並ぶ比較的新しい街だ。

企画の第1回で取り上げたインターネット新聞のオーマイニュース社は、市民記者制度そのものが事業の中核である新興メディアだった。一方SBSは、設立年こそ新しいが、テレビという伝統的メディア産業の担い手である。今回は、多メディア時代のテレビ局が考える放送事業と市民記者制度の融合、さらに市民記者制度を取り入れた背景/記事の採用方針/原稿料などオーマイニュースとの方針の差などに注目したい。



ブログ→公式サイト→モバイル衛星放送→地上アナログ放送

ルミナリエ
[ソウルの風景1]ソウル特別市庁の前のソウル広場、清渓川、世宗文化会館前では1月31日まで無数のライトによる“ルミナリエ”が開催されている。写真は電飾を携帯電話機で撮影しようとしている市民

インタビューに入る前に、SBSによる市民記者制度の主なシステムを紹介する。同社による市民記者制度の名称は“Uポーター”で、同制度に登録された市民記者のこともUポーターと呼ぶ。Uポーターになるには、“Uporter BLOG”というウェブログサービスで、各種規約に同意の上、住所氏名など必要事項を登録する。登録料は無料だ。

Uポーターは、Uporter BLOGで他のブログサービスと同様に日々の雑感を綴りつつ、「この記事はニュースになる」と自分で判断した場合、Uporter BLOG経由で編集部に送信する。投稿を受け取った編集部は、その内容を検証し、ニュースとして取り上げるにふさわしいと判断した場合には“Uporter NEWS”というSBSの公式情報サイトに掲載する。さらに、編集部はUporter NEWSに掲載された記事の中からニュースとして価値が高そうなものを選び出し、動画取材をしてモバイル衛星放送の番組で紹介する。また、モバイル衛星放送で紹介されたニュースの中から特にニュースとして価値の高いものを選び出し、地上アナログ放送の番組で紹介する。

今回お話を伺ったのは、報道局 インターネット部部長 キム・ヨンファン氏で、報道の現場で記者として取材の経験も豊富だ。インタビューは2005年12月27日に行なった。通訳および監修はジャーナリストのチョウ・チャンウン(趙 章恩)氏。



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