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今最も重要なキーワード“RSS/ブログ/SNS”を読み解く

今最も重要なキーワード“RSS/ブログ/SNS”を読み解く

2006年01月05日 05時42分更新

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ASCII24読者に聞く「ブログって何ですか?」
――認識度は約85%、情報発信する読者は約43%

 ブログ(Blog、Weblog、ウェブログとも呼ばれる)の詳細については、用語辞典の解説をご覧いただきたい。ここでは簡単に説明すると、読者がコメントを記入できて、さらにブログを持つ読者については相互リンクを容易に実現する(お互い関連する日記どおしでコメントを付けあえる)“トラックバック機能”を持つ日記サイトの運用形態をブログと呼ぶ。コメント/トラックバックを作者や読者が随時追加していくことで、情報交換や新情報の追記などが容易に行なえるのが特徴だ。

 ブログについては、検索サイトで検索キーワードからヒットするなどして、普段の行動でも自然と目にする機会が多いため、読者の認識率はRSSより高く、約85%の読者がブログについて答えられるとしていた。

 ただし、自分から情報配信している=ブログページを作成・運営しているのは約37%(以前行なっていた方を入れても約43%)にとどまる。日記のような個人的な情報を配信したくない/配信する必要がある情報を持たない(もしくは守秘義務などの事情で配信できない)/更新にかける時間がない(面倒)、などなど理由はさまざま考えられるが、コメント/トラックバックが行なえるということは、有効な情報を得る機会を得ると同時に、不要な書き込み(例えば関心対象ではない広告や誹謗・中傷などの“ノイズ”)を管理するコストが増える可能性がある。そうした心理や事情から、自分ではブログサイトを持たない(持とうと思わない)読者は少なからず出てきそうだ。

“ブログ”について知人から尋ねられたときに、それを正しく説明できますか? 現在ブログをご自身で活用されていますか?
【図4】“ブログ”について知人から尋ねられたときに、それを正しく説明できますか?【図5】現在ブログをご自身で活用されていますか? この設問でいう“活用”とは、ご自身がブログページを持ち、定期的に情報発信・情報交換を行なっていることを差します。

 一方、読者の立場での利用状況も聞いてみた。最近は芸能人や有名人が自分のブログサイトを運営し、PRに用いるケースが増えている。こうしたブログサイトを見たことがあるか聞いてみると約58%が閲覧している(以前は見ていた人も加えると約71%)。また回答結果は掲示しないが、閲覧するタイミングはあまり決めていない(不定期に見る)方が45%で最も多く、逆に定期的に巡回している人は10.6%にとどまる。ブログ=日記の場合、話題が日々変わる可能性が高く、自分の興味ある内容であれば読みたいが、毎日追いかけるほどではないと考える人が少なくない傾向が読み取れる。

著名人/芸能人や一般の方のブログページを定期的に閲覧していますか?
【図6】著名人/芸能人や一般の方のブログページを定期的に閲覧していますか?

 最後にブログの閲覧に費やす時間とよく見るブログページの数について、まとめておこう。1日あたりの閲覧時間は10~30分程度(全体の約44%)が多く、1時間程度費やす方も11.7%いる。定期的に閲覧するブログページの数は1~2件程度が18.2%、5件程度が21.2%、10件程度が13.3%で、定期的に閲覧するブログは1件もないという回答も10.1%見られた。最近は、ブログで扱われているテーマを収集してトレンド(傾向)を分析するサイトも登場してきており、RSSの活用と合わせて、“わざわざ自分から見に行く”のではなく、“興味のあるネタ=キーワードがあれば、そのブログを見る(が、毎日は見ない)”というカジュアルな(気軽でしゃちほこばらない)視聴スタイルが主流になりつつあるようだ。

1日のブログページの閲覧時間はどの程度ですか? 定期的に閲覧しているブログページはいくつぐらいありますか?
【図7】1日のブログページの閲覧時間はどの程度ですか?【図8】定期的に閲覧しているブログページはいくつぐらいありますか?


ブログ関連ニュースリンク

ブログ普及委員会発足、初代委員長は女王・眞鍋かをり
ブログ普及委員会発足、初代委員長は女王・眞鍋かをり


シックス・アパートに聞く
ブログブーム到来の理由は? そして将来の姿とは?

 2003年に日本法人が設立されて以来、大手ISP(インターネット・サービスプロバイダー)などがこぞってブログサービスとして提供する『TypePad』、さらに1ユーザー(投稿者数)/1サーバーに限って無償で利用できることからブログユーザーに高い支持を集めるブログ構築環境『Movable Type』といった話題の製品を提供しているシックス・アパート。今日のブログブームの影の主役とも言うべき同社に、現在のブームのきっかけ、そして将来の姿を聞いてみた。

[編集部] 御社の各製品の出荷動向やお問い合わせなどを踏まえて、現在の日本でのブログブームはいつ頃から始まったと捉えていらっしゃいますか? また、そのきっかけになる出来事は何でしょうか?
[シックス・アパート] 弊社は2003年12月に設立されました。同時に弊社のブログ・サービス『TypePad』をニフティ(株)にライセンス供給し、国内における大手ISP初のブログ・サービス“ココログ”がスタートしました。TypePadをベースにしたココログは、木村 剛氏(経済評論家)や眞鍋かをりさん(“ブログの女王”の肩書きを持つタレント)をはじめとした著名“ブロガー”(ブログ投稿者)が利用していたこともあり、2004年春には個人ユーザーの間でちょっとしたブームになっていたと思います。実際、TypePadをベースにしたエヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)の“ブログ人(ぶろぐじん)”を始め、主なブログ・サービスは2004年3月までにはスタートしており、2004年春がブログブームの始まりと言ってもいいと思います。
これにさかのぼること1年ほど前、技術者やトレンドに敏感な人たちを中心に、2003年の春ぐらい(日本法人設立前)から『Movable Type』を使ったブログが徐々にオープンし始めていました。こうした高度(感度の高い)なブログユーザーや企業向けに、2004年7月に初の日本語版になる『Movable Type日本語版 3.0』の提供を始めました。2004年9月には、日産自動車の“TIIDA(ティーダ) BLOG”(新車ブランドの情報発信サイト)を始めとして、徐々に企業ブログの市場が立ち上がりはじめ、2004年末から2005年第1四半期には、先進的な企業がビジネスのブログ利用を本格的に推進し始めました。ビジネスブログのブームは、このころから始まったと思います。
[編集部] おっしゃるとおり、現在ではブログが個人だけでなく企業の内外でも使われるようになりました。これらを(従来のウェブページではなく)ブログにするメリットには、どういったものあるのでしょうか?
[シックス・アパート] ブログの特徴は、“簡単に更新できるウェブページ”ということだと考えています。従来のウェブは、情報の更新に手間やコストがかかるため、なかなか頻繁に更新することができませんでした。ところがブログを利用すると、必要な情報を入力するだけで、簡単にウェブページを更新することができます。さらに、蓄積した情報・データは、簡単に再利用ができるため、例えばRSS形式に変換して更新データを配信したり、カテゴリーごとのページや、月ごとのページなどを作成することも簡単です。いわゆる簡易なコンテンツ管理システム(CMS)としての利用が可能になるわけです。
比較的低コストでSEO(検索エンジン最適化)の効果を得られるのも、ブログを利用するメリットのひとつです。ブログは原則として1記事1ページ(このページへのURLをパーマリンクと呼びます)で構成されており、そのページがブログのフォーマットで構造化されているため、検索エンジンがそのページの内容を“理解”しやすく、検索エンジンによる検索結果が上位になることが多いのです。その結果として、(検索サイトから)当該ページへのアクセス数を増加させることができます。もちろん、すべてのブログのフォーマットが最適に構造化されているわけではありませんが、弊社製品のMovable TypeやTypePadは非常に高い評価を得ております。
[編集部] 今後のブログの進化形について、御社ではスパム(不要な情報の書き込み)対策、携帯電話向け機能の充実などを図られていますが、2006年のブログに必要とされるであろう機能や、注目すべき機能などをいくつかお教えください。
[シックス・アパート] スパム対策や携帯電話対応、およびPodcasting(音声情報の配信サービス)に代表されるマルチメディア対応は、2005年の時点ですでにブログには不可欠なものになっていると考えています。2006年はこうした機能に加えて、さらにいくつかの機能が不可欠になってくると思います。
まず、高度なプライバシー機能です。ブログがよりパーソナルなコミュニケーションを担うようになると、従来の“だれでも読める”だけではなく、“この記事は友達に”“この記事は家族に”といった具合に、高度なアクセス管理を実施したくなるでしょう。今でも“パスワード保護機能”を使えば、こうした機能の一部は実現できます。しかし今後は、ブログがもたらした“使いやすさ”という尺度で、プライバシー機能を進化させていくことが重要になってくるでしょう。
さらに、さまざまなメディアとの高度な連携機能も重要です。現在でもウェブサービスを介して、アマゾン(Amazon.co.jp)などのEコマース(電子決済)・サービスとの連携機能が存在しますが、これをさらに使いやすくし、さまざまなメディアとの高度な連携を可能にします。
こうした進化は、ブログをWeb 2.0時代の“プラットフォーム”として、位置づけていくための重要なステップです。ブログが単なる“日記”から、Web 2.0の中核として真に羽ばたくのが2006年だと、シックス・アパートでは考えています。

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