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HD20GA7

HD20GA7

2005年12月05日 00時00分更新

文● 編集部・小林 久

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高音質の要因となったデジタルアンプの搭載

 高音質を実現するためには技術的な裏づけが必要だ。HD20GA7では、デジタルアンプを搭載することで、ノイズや歪みの少ないクリアーな音質を実現したという。小川氏とともに商品企画を担当した、CB開発センタ バリュークリエーションディビジョンエンジニアリングリーダーの高橋 利幸(たかはし としゆき)氏は、デジタルアンプ採用の利点について以下のように説明する。

企画、音質の責任者
商品企画を担当した高橋 利幸氏(左)と小川 靖徳氏(右)。
[高橋] 弊社の“クリアーデジタルアンプ”はポータブルCDやMDには4年前から導入しており、現在は3世代目に進化しています。利点としては、S/N比が格段にいいことが挙げられます。これにより、打楽器のアタックとかボーカルのハリの部分がうまく表現できているのではないかと思います。

 MDプレーヤーの分野では標準的に搭載されているデジタルアンプだが、ケンウッドの特徴は“センシングアンプ”を用意することでD/A変換時にローパスフィルター部分の逆起電流によって生じるノイズを低減しているのが特徴だという。

[高橋] センシングアンプを搭載したことで、中域から低域にかけて生じる歪みを抑えることができました。プレーヤーによっては、イコライザーで低域を上げようとするとモコモコという音が出たり、ボーカルが聴きにくくなるものがあると思うのですが、全帯域に渡って歪みを抑えていますので、ボリュームを上げても問題ないですし、イコライジングもしっかり出てくれるようになっている。これは一朝一夕ではできない技術です。

 しかし、デジタルアンプの搭載は諸刃の剣であると高橋氏は言う。



工夫を凝らしたイコライザー
HD20GA7に搭載されているイコライザーは業務用機器で用いられている“パラメトリックEQ”によく似たタイプのもので、周波数の指定ができる。ボーカルと言っても男声と女声では音域が異なる。よりこだわった設定ができるわけだ
[高橋] デジタルアンプを使うと集積度が高くなるので、小さく軽く消費電力の低いプレーヤーを作ることが可能です。しかし、プリント基板に入れ込む際にはノウハウが必要です。プリント基板は何層にも渡って構成されていますので、ひとつ間違うとほかの回路に悪影響を及ぼしてしまう可能性がある。この点に関しては、萩原を中心に何度も回路をこう置いたほうがいいとカット・アンド・トライを繰り返しています。今回も量産直前にパーツをごっそりと入れ替えました。社内では“パーツ屋泣かせの萩原”と言われてます(笑)。それだけこだわってることは強調したいと思います。
[小川] ホームシアターセットやミニコンポでは当たり前のように使われているデジタルアンプですが、それはすでに汎用のユニットがあって比較的簡単に製品化できるためなんです。しかし、今回の製品ではゼロから試行錯誤して回路を起こさなければならなかった。その点の苦労はあったと思います。
[萩原] 今回の製品は仕込みの段階から関わっていて、あるレベル以上のものは出てくるだろうって予想はあったけど、正直2月に出したメモリーオーディオが結構良かったので、それを超えられるかなぁ……と思ってました。それを超えることができた理由としてデジタルアンプの搭載がある。アナログの場合、コストと音質の差がリニアに出る。低価格で高音質を実現するのは難しい。しかし、デジタルではある水準から先は一定の音質が確保できるんですね。安価でも高音質を得やすくなるのです。音をお聞きになって一種の静けさみたいなものが感じられたと思うんですが、これはデジタルアンプの特徴なんですね。これは技術的にも説明ができるもので、デジタルアンプにしかできない音として時代を切り開いていくと思うんですがね。


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