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マミヤ・オーピー、Mamiya 645のレンズシステムが使える中判デジタル一眼レフカメラ『Mamiya ZD』を発表

2005年12月01日 16時41分更新

文● 編集部 小林久

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マミヤ・オーピー(株)は1日、48×36mmサイズの大型撮像素子を搭載したプロ用一眼レフデジタルカメラ『Mamiya ZD』を21日に発売すると発表した。広告用ポートレート撮影や営業写真館での使用を主な用途として見込んでおり、想定実売価格は131万円前後。予約購入したユーザーに対しては、焦点距離80mmF2.8の標準レンズ(6万5200円)を無償で提供する。

Mamiya ZD
Mamiya ZD

Mamiya ZDは2004年9月にドイツで開催された“Photokina(フォトキナ) 2004”で参考出品され、当初2004年内の限定発売とその数ヵ月後の製品化がアナウンスされていたが、約1年遅れての市場投入となった。製品化が遅れた理由は主に画質面での改良とのことで、時間をかけたぶん「中判一眼レフカメラの回答」ともいうべき、自信を持った画質が実現できたという。

前面 側面 背面 上面
各面から見た写真

なお、『Mamiya 645AFD』と『Mamiya RZ67PROFESSIONAL II D』に装着するデジタルバック『Mamiya ZD Back』もMamiya ZDと同時に発表されていたが、現在のところの開発中で、2006年夏ごろの製品化を計画している。



35mm一眼レフカメラと同等の使い勝手で、大判以上の高画質

Mamiya ZDはマミヤとしては初めてのデジタルカメラで、撮像素子にはカナダDALSA(ダルサ)社が開発したフルフレームトランスファー型の原色CCDを採用。有効画素数は2130万(出力サイズは最大5328×4000ドット)で、画素ピッチは既存の35mmフルサイズCCD(キヤノンの『EOS 5D』では8.2μm)を上回る9μmとなり、レンズシステムは中判カメラ『マミヤ645AF DII』と同じものが使える。同社の説明ではこの大型CCDとRGB各色14bit(記録時は12bit)のA/Dコンバーターによって、35mmフルサイズCCDカメラと同レベルの使いやすさで、4×5判に迫る高画質を実現できるとしている。会場には一般的なカタログやパンフレットなどで用いられる350dpi(175線)の品質でB0サイズに出力された画像も展示されていた。

滝沢三規氏
マミヤ代表取締役社長の滝沢三規氏

マミヤの光学事業は60年の歴史を持ち、主に中判カメラを中心に製品開発を行なってきたが、発表会に出席した同社代表取締役社長の滝沢三規(たきざわ みつのり)氏は「マミヤのデジタルカメラにかける意気込みと情熱を感じ取ってほしい」と述べ、マミアの持つレンズ、メカ、電子技術にDALSAのCCDを組み合わせることで、中判カメラだけではなくより発展的な製品開発を行なっていきたいとした。

中判以上のカメラでデジタル撮影を行なうには、これまで銀塩カメラの背面などに取り付ける“デジタルカメラバック”を利用するのが一般的だったが、Mamiya ZDは本体サイズは幅161.5×奥行き90.8×高さ152mmで、重量は1.3kg(本体のみ、バッテリー重量は100g)と、比較的コンパクトなサイズに35mmフィルムを上回るサイズのCCDユニットを搭載できた。

フィルター交換 コンパクト
ローパスフィルターは手を触れないで交換できる本体は小型ではないが、女性の手でも持てるサイズでコンパクトにまとまっている
CCD CCD
645フォーマットと呼ぶ48×36mmサイズのCCDの大きさは35mmフルサイズ(中央)、APS-Cサイズ(右)と比べると分かる

中判カメラのリプレースとなるデジタル一眼レフカメラは、ペンタックス(株)が3月に『PENTAX 645 Digital』(有効画素数1800万)の開発表明をしているが、正式発表は来年以降になる見込み。35mmフルサイズCCD搭載の一眼レフカメラと比較するとひとまわり大きいが、スタジオ撮影以外にも屋外での人物撮影やアウトドア、風景写真といった用途で十分持ち運べるサイズである。

Mamiya Digital PhotoStudio Mamiya Digital PhotoStudio
Mamiya Digital PhotoStudio。サムネイルと拡大画面を複数枚並べられるので作業効率が高められるIEEE 1394経由でリモート操作が可能。表示内容はカメラのファインダーに表示されるものと同じ

記録フォーマットはRAWまたはJPEGで、両フォーマットの同時記録が可能。連写性能は秒1.2コマ(最大10コマ)。記録メディアはコンパクトフラッシュとSDメモリーカードの2種類に対応する。最大解像度で保存した場合RAWファイルの容量は約35MBとなり、4GBのメディアを使用した場合、100枚程度の撮影が可能。また、IEEE 1394端子を装備しており、付属の現像ソフト『Mamiya Digital PhotoStudio』を使って、パソコンからカメラを操作することができる。

露出はマニュアルのほか、絞り優先AE、シャッター速度優先AE、プログラムAE、バルブを搭載。中央部重点平均測光、平均/部分切り替え測光、部分測光、スポット測光の4つが選べる。AFは3点測距。アイレベル方式の光学ファインダーは視野率98%で、倍率は80mmF2.8レンズ使用時で0.75倍となる。CCDの前面に取り付けるIR(赤外線)カットフィルターはローパスフィルター(オープンプライス、想定実売18万5000円前後)に交換可能で、カートリッジを利用することでフィルターそのものに手を触れず交換できるようになっている。

付属品 カメラ
付属品。バッテリーや充電器などが付属マミアのラインナップ、銀塩の中判、銀塩とデジタルの両方にできる中判に加え、中判のリプレースとなるデジタルカメラが加わった

シャッター速度は30~1/4000秒(1/125秒シンクロ)、感度はISO50~400相当(1/3ステップ)。ファインダー視野率は98%。背面には1.8インチの低温ポリシリコンTFT液晶ディスプレーを搭載。バッテリーは専用リチウムイオン充電池(BA701)。液晶パネルの画素数やフル充電で撮影可能な枚数などは未公開となっている。

大延ばしできる 試し撮り
B0サイズに引き伸ばしたMamiya ZDの画像。ほぼ手を加えずラムダ出力機でプリントしたものだが、非常にシャープな印象だった会場にはモデルを撮影するスペースが設けられていた。なお、Mamiya ZDのサンプルフォトは近日中にマミヤのウェブサイトに掲載されるほか、東京・新宿にあるサービスセンターにデモスペースも設けられるという

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