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楽天・三木谷氏、「前に進んでよかった」

2005年11月30日 23時20分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏
代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏

(株)楽天は30日夕方、(株)東京放送(TBS)と覚書を締結し、資本・業務提携に関する協議を開始することに合意したことを受け、代表取締役会長兼社長の三木谷浩史氏による記者会見を開催した。もう一方の当事者であるTBSは、同日午後、楽天より一足先に記者会見を開催している。交わされた覚書の立会人は(株)みずほコーポレート銀行で、その骨子は以下のとおり(原文まま)。



  • TBSと楽天は「放送とインターネットの連携」を実現するために真摯に協議・検討を開始するものとし、そのための「業務提携委員会」を発足させる
  • 楽天は「共同持株会社設立による経営統合」の提案については一旦取り下げる
  • 協議期間中、楽天は保有するTBSの持株比率を10%未満まで低下させる
  • これを超える保有TBS株式については、みずほ信託銀行に信託する
  • 楽天のTBSに対する最終的な出資比率等については両社で協議する
  • 協議期間については3月末日までとし、延長できるものとする

楽天から、TBSの発行済み株式の15.46%を取得し、同社に共同持株会社の設立を持ちかけたという発表があったのは10月14日のこと。10月以来の騒動が落ち着いたためか、結果に一定以上の満足を得たためか、壇上の三木谷氏の表情は比較的柔らかなものに思われた。また和解の報道を受け、この日のジャスダック市場での楽天の終値は、前日の終値より3600円高い8万7000円だった。記者会見は質疑応答が中心で、主なやり取りは以下のとおり。

業務提携する点は何もないという結果にはならない

[質問] 共同持株会社の提案から後退した内容に思える
[三木谷氏] 当初は(共同持株会社が)ベストだと思って提案したが、兎にも角にも、お互いもう少し分かり合わないと話が前に進まないということで、今回はまず事業提携で、相互理解を深める方が重要であると思う。今回はこのような形になった。だから“後退した”とかそういう認識はない
[質問] TBS株の購入額が高かったので含み損を抱えていると思うが
[三木谷氏] TBSは将来性が高い会社だと認識している。株価は上がったり下がったりするものだし、短期的な株価だけでコメントするのは適切ではない
[質問] 今回のような手段に出れば、ある程度TBSと関係がこじれるのは分かっていたと思うが
[三木谷氏] 楽天とTBSとのパートナーシップはいろいろあるとご理解していただいたうえで、その後、どうするかということをディスカッションできればいいと考えていた。従って、いろいろなやり方はあると思うが、今回我々は株式を取得させていただいたということに関して、失敗したという認識はない
[質問] TOB(株式公開買い付け)など強攻策は残っている
三木谷氏
[三木谷氏] 本日の覚書は、まずは前向きにお互いが真摯に前向きに協議しましょうという内容。真摯に進んでいけば、いい形で発展的にフォーメーションができると考えている
[質問] TBSは、いずれのIT企業とも等距離を置くとしているが
[三木谷氏] 株主という立場でいえば、楽天とだけやるのは、TBSの企業価値を考えるといいことではない。楽天以外の企業と組むのは、非常にいいことだと思っている
[質問] 通信と放送の連携に関する今のビジョンは
[三木谷氏] オンライン放送であったり、Eコマースであったり、ポータルであったり。平凡に思えるかもしれないが、完成度を高めれば楽しいものができる
[質問] 覚書にある業務提携委員会の楽天側のリーダーは
[三木谷氏] 本当にいいものを作りたい。チームを組み、楽天側は私がリーダーになる
[質問] 今回の結果は100点満点でいうと何点か
[三木谷氏] 前に進んでよかったと思っている
[質問] 誠意ある議論の末、なにも提携することはないという結果になったら
[三木谷氏] そういうことにはならない。ならないと思っているから提案した




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