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日本オラクル、テンプレートベースの大企業向けソリューション“Oracle EO”を発表

2005年11月28日 18時10分更新

文● 編集部 内田泰仁

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“Oracle EO”発表会に出席した日本オラクルおよびパートナー各社の代表者

日本オラクル(株)は28日、データベース/ミドルウェア/標準業務フローを組み合わせた大企業向けのシステム統合基盤構築ソリューション“Oracle Enterprise Offering(Oracle EO:オラクル イオ)”を発表した。2006年1月末に10ラインナップの提供を開始し、2006年5月末(同社の会計年度末)までに計30ラインナップの日本市場投入を目標とするという。



“Oracle EO”のバリエーション“Oracle EO”の提供スケジュール

“Oracle EO”は、大企業に向けたテンプレート・ソリューションで、米オラクル社が9月に発表した同じくテンプレート・ベースの業務フロー構築ソリューション“Oracle Accelerators”(※1)をベースに、日本向けのカスタマイズ(日本独自の商習慣機能を標準として実装する“ベースライン・プロジェクト”の採用)や、日本向けに提供するテンプレートの選別などを加え、“Oracle E-Business Suite”“Oracle Fusion Middleware”と組み合わせて提供される日本独自の製品。業務/業種ごとなどに用意されたテンプレート化された標準業務フローを活用することにより、導入コスト/期間の削減と省力化、システム構築の柔軟性を確保することで、グループ企業間のシステム統合やグローバル化への対応、コンプライアンス(法令遵守)への対応、経営環境の変化への迅速な対応などを可能にしているという。

※1 ウィザード形式のセットアップツールと業務フローのテンプレートで構成。ソリューションを構成する個々のソフトウェアや機能に基づく提案ではなく、“何が実現できるか”をベースとした提案を実現、提案段階での分かりやすさが追求されているという。

取締役副社長執行役員 インダストリー&アプリケーション事業統括の東裕二氏

この日行なわれた製品発表会で概要を説明した取締役副社長執行役員 インダストリー&アプリケーション事業統括の東(ひがし)裕二氏によると、従来のアプリケーション導入に向けた同社の取り組みでは、日本企業に多いカスタマイズ要求への対応(業務/業種/企業ごとに個別開発が必要な追加案件への対応)、その結果生じる複雑性への対応、これらが原因となりROI(投資対効果)向上やや導入の迅速化が進まない、といった反省点があったというが、今回発表した“Oracle EO”により、標準化されたビジネスフローをベースとするROIの高いエンタープライズ・アプリケーション基盤の導入と、ミドルウェア“Oracle Fusion Middleware”によるシステム統合/拡張の促進を実現するとしている。

“Oracle EO”および中堅/中小企業向けソリューションの構造の現在と今後の予定

日本オラクルのテンプレートに基づくソリューションとしては、中堅企業向けの“Oracle Neo”や、キヤノン販売と協業で進めている中小企業向けの“Canon Decision Suite”があるが、将来的には、中堅/中小企業向けテンプレート・ソリューションにおいても“Oracle EO”と同様に、“Oracle Accelerators”をベースとし、“ベースライン・プロジェクト”による日本向けカスタマイズを施したテンプレート提供を行なう枠組みで展開する予定だという。

なお、この日の発表会では、“Oracle EO”のソリューション・パートナー企業4社が出席し、日本オラクルおよび同社と各社の協業で提供される以下のソリューションが明らかにされた。

業務フロー系ソリューション

EBM for Manufacturing
ハイテク/製造業向け
需給管理データハブソリューション
ハイテク/製造業向け
協業:ベリングポイント(株)
EMB for Automotive Supplier
自動車部品業界向け
売場資源最適化ソリューション
小売業界向け
協業:アビーム コンサルティング(株)
地銀向け戦略統合人事ソリューション
銀行業界向け
協業:(株)金融財政総合研究所

データハブ系ソリューション

CPMソリューション
汎用ソリューション
協業:ベリングポイント(株)
化学物質情報管理ソリューション
化学業界向け
協業:日本ケミカルデータベース(株)
統合収益リスク管理ソリューション
銀行業界向け
協業:(株)金融財政総合研究所
顧客情報統合ソリューション
SAP導入企業向け

アビーム コンサルティング 製造/流通事業部 プリンシパルの大島義正氏金融財政総合研究所 コンサルティング事業部 取締役事業部長の本田伸孝氏日本ケミカルデータベース ソリューション事業部 取締役事業部長の林秀樹氏ベリングポイント 副社長の影山泰仁氏
発表会に出席したパートナー4者の代表者
日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏

また、発表会の冒頭に登壇した日本オラクル 代表取締役社長の新宅正明氏は、“Oracle EO”は、大企業を取り巻く経営環境(グループ会社再編/事業統廃合/企業買収/コンプライアンス/ガバナンス/ビジネススピード向上/グローバル化といった動き)により求められる情報システムの“新システムの早期立ち上げ”“ライフサイクルコストの低減”に対する要求に応える新戦略と説明。同社では、これらの経営環境の動きから、ソフトウェア基盤(プラットフォームおよび各種アプリケーション)の役割が今後さらに発揮されると見ているといい、新宅氏は「標準(技術)をベースに(ソフトウェア基盤と情報を)つなぐことを約束する」と述べた。

なお、米オラクル社による米ピープルソフト社買収に伴って、日本においても日本オラクルと日本ピープルソフト(株)の統合作業が進行しているが、新宅氏によると、将来的には「ピープルソフトブランドの製品も“Oracle EO”のテンプレートに取り込んでいく」という。

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