このページの本文へ

W-ZERO3への期待

W-ZERO3への期待

2005年12月01日 16時17分更新

文● 島 徹/編集部・伊藤 咲子

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

「やっと日本にも来たか」

[遠藤] 今回W-ZERO3が発売されることに対して、どのような印象を持ちましたか
佐分利氏
[佐分利氏] 「やっと日本にも来たか」と。日本にもっと早い段階で提供できなかったのかという思いもありますが、日本で初めて出たという点でかなり画期的なデバイスです。まずは、手にフィットして、見た目より軽いなと。そして何よりギミック感が素晴らしいですよね。手応えはかなりのものです。ウィルコムの定額プランや公衆無線LANサービスとの連携といった展開も面白い。2台目の携帯電話機として買う方も多いかと思います
[本多] 国内でWindows Mobile搭載の移動機が投入されるまで時間がかかった理由として、マイクロソフトなりの分析を教えてください
[佐分利氏] 海外の端末メーカーが日本に入り込めていないのと同じ理由で、日本は独自の無線技術を採用するなど、市場のスケールが小さいという点があります。また、国内で普及した端末は二つ折りタイプで、ノキア社などが採用するキャンディーバータイプ(ストレート型)とは異なる形状だったほか、数100万画素クラスのカメラ機能や、“iモード”などキャリア独自のサービスがメインになっていることも挙げられます。これらの要因により、日本の市場は独自性の強い“島国状態”となり、入り込めなかったり出られなかったりということだったのではないかと思います。ワールドワイドでも、日本のトップメーカーが占めるシェアは1.8%程度ですし。もっとも、ここ数年で無線技術がCDMAやEVDOなどに統一化され、海外の端末も液晶やCPUなどハードウェア部分が日本のそれに近づいてきたほか、日本でもビジネス端末のアピールが増すなど、差が縮まってきたと感じています
[本多] W-ZERO3の開発でマイクロソフトの日本法人は技術的にどのような役割を担ったのでしょうか
[佐分利氏] 日本には、マイクロソフト(株)と、マイクロソフトプロダクトデベロップメント(日本支店、本社は米国)が調布にあるのですが、マイクロソフトプロダクトデベロップメントに開発チームがあります。ここではIMEのインプットやグローバリゼーションなどについて、全言語の開発などを行なっています。今後日本の市場でWindows Mobileのニーズが高まれば、そのチームの開発領域が広めるといった可能性もあります


Windows Mobile 5.0の“3兄弟”

[遠藤] 現在、ワールドワイドでWindows Mobileを搭載した機器はどのくらいあるのですか
[佐分利氏] 約100機種です。比率は、今のところWindows Mobile for Smartphoneの方が小さいです。人気としては、QWERTYキーボード付きですね。やはり使いやすい。
[遠藤] 流行はQWERTYキーボード搭載なんですね
[佐分利氏] 特に日本語入力の場合は、キーボードがないと厳しいですね。社内でもいろいろ意見があって、世代によって若い人は片手でテンキーの入力に慣れていますし、テンキーでも先読み入力(日本語入力の支援ソフト)の発達で、少ない手数で入力できるようになりました。これからはQWERTYとテンキーが共存するのではないかと思います
Windows Mediaの3兄弟
Windows Mediaの3兄弟(後述)を搭載した端末。左から、Windows Mobile for Pocket PC搭載機、Windows Mobile for Pocket PC Phone Edition搭載機、Windows Mobile for Smartphone搭載機
[アスキー 矢崎] 移動通信機(携帯電話/PHS)に搭載可能なOS、もしくはPDA等に搭載して携帯電話の機能が使えるようになるOSとしてWindows Mobile 5.0 for Pocket PC、Windows Mobile 5.0 for Pocket PC Phone Edition、Windows Mobile 5.0 for Smartphoneという3種類の“Windows Mobile 5.0”をリリースしていますが、これらはどういった関係性を持っているのでしょう
[佐分利氏] “Windows Mobile”はブランド名で、Pocket PCやPocket PC Phone Edition、Smartphoneは製品名です。Windows Mobileとした共通化したベース部分の上で、ターゲットに合わせて分岐する形で開発しています。
[伊藤] Windows Mobile for Pocket PCはバージョン5.0がW-ZERO3に搭載されましたが、そのほか2つのWindows Mobileを搭載した端末は国内ではなかなか見る機会がありません。どういった違いがあるか、より具体的に教えてもらえますか
[佐分利氏] それらは言わば“3兄弟”なんですよね。

順番に紹介しますと、まずWindows Mobile for Smartphoneですが、基本的には音声通話が主で、さらにOutlookのデータなどを確認できる“リードオンリー”のユーザー向けです。サイズ的にも現在の国内市場向け携帯電話機に近い形ですね。Office Mobileは搭載されていません

次にWindows Mobile for Pocket PC Phone Editionですが、これは文字入力がテンキーではなく、タッチパッドを使ってソフトキーで行ないます。電話の機能はダイヤラー(アプリケーション)を操作します。またOffice Mobileが搭載されており、Wordなどのファイルを読むだけでなく、編集することも可能です。そのほか“スマートダイヤル”機能により、相手の名前や電話番号を途中まで入力すると、残りの部分が自動で入力されるなど、コンタクトリストとの連携が充実しています

最後にWindows Mobile for Pocket PCですが、これは従来のWindows Mobile(Windows Mobile 2003)の機能を踏襲したもので、“クラシック”とも呼ばれています。これからは通信機能を搭載した端末、それ向けのOSが主流になるのではと考えています


Windows Mobile for Pocket PC Phone Edition搭載端末
Windows Mobile for Pocket PC Phone Edition搭載端末。PDCらしい外観で、通話のアプリケーションを立ち上げて、ソフトウェアキーないしQWERTYキーボードで電話を指定してかける
Windows Mobile for Smartphone搭載端末 Windows Mobile for Smartphoneの待ち受け画面。W-ZERO3などWindows Mobile for Pocket PC搭載端末とは異なり、日本の携帯電話機が搭載するメニューに近い印象だ
Windows Mobile for Smartphone搭載端末。日本で売られている一般的な携帯電話機と似たような外観で、使用感もより電話らしいWindows Mobile for Smartphoneの待ち受け画面。W-ZERO3などWindows Mobile for Pocket PC搭載端末とは異なり、日本の携帯電話機が搭載するメニューに近い印象だ
Windows Mobile for Smartphoneのスタートメニューを表示。MSN Messengerが搭載し、ActiveSyncでパソコンのOutlookと同期できるのは、マイクロソフト製ならでは Windows Mobile for Pocket PC Phone Editionのように通話用アプリケーションを起動する必要はなく、テンキーで相手の電話番号を指定して、発話ボタンを押下するだけ
Windows Mobile for Smartphoneのスタートメニューを表示。MSN Messengerが搭載し、ActiveSyncでパソコンのOutlookと同期できるのは、マイクロソフト製ならではWindows Mobile for Pocket PC Phone Editionのように通話用アプリケーションを起動する必要はなく、テンキーで相手の電話番号を指定して、発話ボタンを押下するだけ

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン