NECエレクトロニクス、半導体プラットフォーム“platformOViA”向けに、ソフトウェア企業と提携する“platformOViAパートナープログラム”の運用開始を発表
2005年11月14日 17時03分更新
NECエレクトロニクス システムソフトウェア開発事業本部長の光岡誠治氏 |
NECエレクトロニクス(株)は14日、同社が開発したシステムLSIプラットフォーム“platformOViA(プラットフォーム オーヴィア)”(以下OViA)を強化すべく、ソフトウェア産業各社と提携して、各社のOViA向けミドルウェアやOSの開発促進や販売支援を目的とした、“platformOViAパートナープログラム”の運用を開始したと発表した。同プログラムに参加を表明した企業は17社にのぼる。また同時にOViA向けのマルチメディアインターフェース(動画や音声操作向けAPI)を確定し、公表したことも発表された。
OViAとは、NECエレクトロニクスが開発したシステムLSIと、OSやAPIセット、ドライバーーソフトなどを含んだ半導体ソリューションであり、高機能デジタル家電から車載情報システム、携帯電話機などをターゲットにした製品である。チップ内に複数のCPUやDSP、ビデオエンコーダー・デコーダー、グラフィックス機能などを集積可能で、OSにはLinuxなどを採用できる。同社システムソフトウェア開発事業本部長の光岡誠治氏は、単なるシステムLSIの製造・販売から、ソフトウェアを含めたプラットフォーム化を指向している理由について、デジタルAV家電製品などの多機能化・ネットワーク対応により、機器メーカー側はソフトウェアの開発コストの増大に苦しんでいるとして、既存のソフトウェア資産を生かせるプラットフォームの提供が、半導体メーカーに求められているとした。
platformOViAの全体像。OSやメディアインターフェースからシステムLSIまでを、NECエレクトロニクスが提供する。機器メーカーは上に乗るアプリケーションの開発だけですむ |
パートナープログラムとは、機器メーカーが使いやすいソフトウェア環境を、ソフトウェア開発会社と共に構築することで、OViAの拡販を図るものである。OViAで動作するOSやドライバーソフト、ミドルウェアを開発するパートナー企業に対して、同社が開発機材提供や動作検証などで支援を行なう“開発支援”と、開発されたミドルウェアを同社の販売網やウェブサイト、展示会等でマーケティングの支援を行なう“販促支援”の2つが大きなポイントとなっている。またパートナー企業のミドルウェアがOViA上での動作が確認されれば、同社による動作認定を受けられるため、機器メーカーに導入されやすくなるというメリットもある。同プログラムへの参入を表明したメーカーはさまざまな分野に渡るが、デジタル家電向け用途に重きを置いたプラットフォームであるため、マルチメディア関係のソフトウェア開発会社が多い。
NECエレクトロニクスとパートナー企業間での開発~動作検証のプロセスの例。OViA上での動作が認定されたソフトウェアについては、同社サイトなどで公表される |
platformOViAパートナープログラムに参加するパートナー企業
- マルチメディア
- (株)アクセス
- (株)アプリックス
- インタービデオジャパン(株)
- エスマテック(株)
- ピクセルテクノロジーズ(株)
- グラフィックス
- イーソル(株)
- ネットワーク
- (株)ソフトフロント
- (株)デジオン
- セキュリティー
- RSAセキュリティ(株)
- 日本語処理
- オムロンソフトウェア(株)
- (株)ジャストシステム
- データベース
- アイエニウェア・ソリューションズ(株)
- OS
- モンタビスタソフトウエアジャパン(株)
- 開発環境
- ウインドリバー(株)
- 京都マイクロコンピュータ(株)
- (株)コンピューテックス
- 横河ディジタルコンピュータ(株)
また公開されたメディアインターフェースとは、マルチメディア関連のミドルウェアやアプリケーションに対して、OSに変わって必要なハードウェア制御の機能を提供するソフトウェアレイヤーである。OS標準では備わっていない、あるいは機能が十分でないマルチメディア関係の処理を、メディアインターフェースが仲立ちとなって提供する。メディアインターフェースがハードウェア依存度の低い共通したAPIを提供するため、機器ベンダーやミドルウェアの開発会社は、システムLSIやハードウェア側の変更があっても、1からすべてを開発し直すという手間はかからないですむ。
メディアインターフェースの概念。従来ならば異なるハードウェアごとに、異なるミドルウェアやライブラリーを用意する必要があったが、メディアインターフェースがハードウェアの違いを隠蔽することで、共通化されたソフトウェアでの機器開発が可能になるとしている |
ミドルウェア開発等を行なうパートナー企業に対する、開発キットの提供はすでに行なわれているとのこと。また機器メーカーに対するOViAの提供は2006年下期の予定を見込んでいる。