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NTTコミュニケーションズら5社、“テラビット級スーパーネットワーク”の実証実験成功を発表

2005年11月11日 17時59分更新

文● 編集部 内田泰仁

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エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)、日本電信電話(株)、日本電気(株)、富士通(株)、(株)日立製作所の5社は11日、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の進める“高度通信・放送研究開発に関わる委託研究”事業の“テラビット級スーパーネットワーク(※1)の研究開発”における成果の相互接続に成功したと発表した。

※1 毎秒1兆ビット以上の情報量を伝送する高速大容量なネットワーク。現在の国内大手インターネット・サービス・プロバイダーのバックボーン・ネットワーク帯域を1桁以上上回る規模を想定しているという。

この日行なわれた共同記者説明会に出席した5社の代表者。発表内容の説明は、NTTコミュニケーションズ 第二法人営業本部 担当部長の小林豊幸氏(写真左)と同担当課長代理の松岡英晃氏(写真中央)が行なった

“e-Japan構想”には、計4000万世帯のブロードバンド接続(3000万世帯による高速アクセス、1000万世帯による超高速アクセス)の達成が盛り込まれているが、NICTおよび5社の取り組みは、光ネットワーク(フォトニック・ネットワーク)を効率的に制御管理することによりIPネットワークの転送能力向上と収容拠点数の拡大を可能とし、“e-Japan構想”のスケーラビリティー目標を達成できるネットワーク基盤技術の確立を目指すというもの。実証実験は産学官連携研究拠点の“NICTけいはんな情報通信オープンラボ”において、10月24日から28日に実施された。

5社が研究開発を進めた“テラビット級スーパーネットワーク”の構造と特徴的な技術ポイント2拠点間高速通信を得意とする光ネットワークの場合、単純に性能を上げていくなら拠点同士をメッシュ状に接続するのが望ましいというが、コスト面で非現実的。そこで今回の技術は、IPネットワークと光ネットワークを組み合わせることで各ネットワークの効率化を最大化し、コストと収容拠点数のバランスの取れた“理想値”を目指していくものだという

今回5社が研究・開発を進めた技術では、パケット通信量の多い拠点間を特定して拠点間に光パス(フォトニック通信路)を割り当てることで、限られた数の光パスに最大の転送能力を発揮させるという。特徴的な技術としては、次の5つのポイントの連携が盛り込まれている。

“レイヤ間連携型トラフィック・エンジニアリング技術”
多拠点の効率的な収容が可能なIPネットワークとネットワーク帯域の大幅な拡大が可能な光ネットワークを組み合せ、通信量とアプリケーション要求に応じて、接続や経路を動的に切り替えてパケット転送を行ない、多くの拠点を広帯域かつ経済的に接続する技術。
“自律分散制御型障害回復技術”
GMPLS(Generalized Multi-Protocol Label Switching)プロトコル拡張により、光ネットワークにおける迂回経路を含めた光パスの収容効率を最大化する技術。
“高速経路計算・設定技術”
光パス資源の動的割り当てを集中制御して高速で効率的な光パス接続を可能とする技術。
“キャッシュ連携コンテンツ配信技術”
アクセスネットワーク内でのキャッシュ連携配信により、コアネットワークの通信量を削減し、実効的なネットワーク帯域を拡大する技術。
“ルータの経路計算性能を大幅に向上する技術”
IPネットワークにおけるルーターの経路計算機能を転送処理機能と分離・独立することにより、高速に大容量の経路計算を実現する技術。

今回行なわれた実証実験は、これらの要素技術を実装した試作機を各社が開発、試作機を相互接続したネットワークを構築し、試作機同士を連携させて光パスを動的に制御し、IPネットワークの輻輳を自律的に解消する技術や、コンテンツを瞬時にローカル化する技術(利用者に近いアクセスネットワーク内にコンテンツを転送)の動作実証を行なったという。

5社は今後、実験で得た成果を総務省や学会、標準化活動機関などに報告して広く標準化を進めるとともに、政府が進める“e-Japan構想”の実現に向けたインフラ技術の確立に向け、ほかの関連研究と連携した研究も行なっていくとしている。

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