このページの本文へ

サン・マイクロシステムズ、企業向けJava開発環境『Sun Java Studio Enterprise』を無償化──コミュニティーの強化とサポートによる収益獲得が目的

2005年11月09日 19時16分更新

文● 編集部 小林久

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

サン・マイクロシステムズ(株)は9日、同社が提供する企業向けJava開発環境の最新版『Sun Java Studio Enterprise 8』をリリースし、開発者向けに無償提供すると発表した。

Sun Java Studio Enterprise 8は、J2EEに対応したオープンソースの統合開発環境『NetBeans 4.1』をベースに開発されており、NetBeans 4.1の機能を包含する。また、複数の開発者がインスタントメッセージで会話しながらひとつのコードを同時に編集できるコラボレーション機能、UML 2.0(Unified Modeling Language)ベースのモデリング機能、負荷生成が可能なテストツール(仮想ユーザー数の上限なし)を搭載する点などが特徴。

コミュニティー機能 モデリング
コミュニティー機能。離れた場所にいる開発者同士でもインスタントメッセンジャーでチャットしながら、共同開発を行なうことができる。UML 2.0に基づいたモデリング機能。画面のように構造をビジュアル化してソフトウェアの開発ができる。変更したコードに連動してビジュアルを修正することもでき、過去に作成したコードを再使用する際にも役立つ
負荷生成
作成したアプリケーションに負荷をかけ、信頼性や性能を測定できるツールも提供される。通常こういったソフトは開発環境とは別に用意する必要があるが、Java Sturio Enterprise 8とともに無償提供される。仮想ユーザーの数には制限がない

Sun Java Studio Enterpriseは、これまで年間課金(1000人まで55万円、以下従業員1人あたり550円)と開発者向けの永久ライセンス(28万4000円)の2形態で提供されてきたが、今回から開発環境の使用に関する料金は一切かからず、デベロッパー登録したユーザーなら誰でも無償で利用できるようになった。ローカライズに関しても積極的に進めていく方針で、従来の有償ライセンス版に付属していた技術情報(テクニカルチップス)の日本語化も進めているという。

同社の開発者向けウェブサイト“Sun Developer Network”では、企業インフラの構築などにも耐えうるJava Studio Enterprise 8のほか、企業内で利用するJavaアプリケーションをより手軽に作成できる『Sun Java Studio Creator』や、各種サンプルアプリケーションも提供される。

Javaの開発者数は全世界で450万人と言われるが、米国サン・マイクロシステムズ社の社長兼COOを務めるジョナサン・シュワルツ(Jonathan Schwartz)氏は、この数を1000万人にまで増加させたいと公言している。個人向けの開発ツールを無償に提供する事例は過去多かったが、企業向けの開発ツールを無償で提供する事例は極めてまれ。大胆な策を講じることで、企業ユーザーに対してもJava導入の障壁を下げたいという狙いがある。

特に国内では、依然としてC言語やC++言語を利用したアプリケーション開発が盛んであり、Java開発者の全体の中で国内のプログラマーが占める割合は5%程度とまだまだ少ないという。8日から東京で開催されている開発者会議“JavaOne Tokyo”に合わせて、最新の開発環境をアナウンスした背景には国内の開発者に、プログラミング言語としてのJava、そして同社の開発者支援体制をアピールしたいという思惑もあったという。

ジャクソン氏 ロバーツ氏
Java Developer Platform and Strategy担当バイスプレジデントのジェフ・ジャクソン氏Developer Tools担当マーケティング・ディレクターのダン・ロバーツ氏

本日都内で開催された記者会見には、米サン・マイクロシステムズ社Java Developer Platform and Strategy担当バイスプレジデントのジェフ・ジャクソン(Jeff Jackson)氏、Developer Tools担当マーケティング・ディレクターのダン・ロバーツ(Dan Roberts)氏などが出席。オープンソース化とは異なり、開発ツールの提供には人手とコストが必要になるが、無償化で開発者の裾野を広げ、コミュニティーを活性化し、トレーニング、サポート、コンサルティングといったビジネスを積極的に進めていく考えが示された。

カテゴリートップへ

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン