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サン・マイクロシステムズ、Java開発者向けの技術カンファレンス“JavaOne Tokyo”を開催――“Java誕生10周年”を締めくくるイベント

2005年11月08日 22時43分更新

文● 編集部 内田泰仁

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“JavaOne Tokyo”会場より。3日間で約180のセッションが開催されるほか、2日目からは展示会場もオープンする

サン・マイクロシステムズ(株)が開催する、Java開発者向けの技術カンファレンス“JavaOne Tokyo”が8日に開幕した。会場は東京・有楽町の東京国際フォーラム、会期は10日までの3日間。開催初日“Day-0”のこの日は、テクニカルキーノート(基調講演)やテーマごとのテクニカルセッションが行なわれたが、9~10日は展示会も開催される。なお、Java誕生10周年となる今年は、6月に米国、9月に中国で“JavaOne”が開催されており、今回のカンファレンスが“締めくくり”のイベントとなる。



専務取締役の末次朝彦氏

テクニカルキーノートの司会として登壇した同社専務取締役の末次朝彦氏は冒頭、「“Day-0”から参加している皆さんはJavaを最も愛してくれている、最も造詣の深い人たち」と出席者に挨拶。3日間のイベントを「10周年を記念した盛大なイベントに」していきたいと意気込みを語った。末次氏によると、今回の“JavaOne Tokyo”のテーマは、“Javaなしで地球は回らない”“Javaでビジネス革新を”“最先端テクノロジーJavaを学ぶ”の3つだといい、各種テクニカルセッションや展示会などを通じて、これらのテーマを紹介していくという。

この日のテクニカルセッションは3部構成で、3種類のJavaプラットフォーム、エンタープライズ向けの“Java Platform, Enterprise Edition(Java EE)”、標準タイプの“Java Platform, Standerd Edition(Java SE)”、家電/モバイル機器といった組み込み用途向けの“Java Platform, Micro Edition(Java ME)”について、それぞれ米サン・マイクロシステムズの技術責任者が現状や今後の展開について解説を行なった(※1)。

※1 各プラットフォームは従来、“Java 2 Platform,Enterprise Edition(J2EE)”“Java 2 Platform,Standerd Edition(J2SE)”“Java 2 Platform,Micro Edition(J2ME)”の名称で呼ばれ、バージョン番号は小数点付き(5.0など)のものが使用されていたが、6月の“JavaOne”において、今後のJavaプラットフォームに関しては、名称中の“2”を外し、バージョン番号に小数点以下の数字を用いないように変更すると発表されている(例:次期バージョンの“Java Platform, Enterprise Edition(Java EE)”は“Java Platform, Enterprise Edition 5(Java EE 5)”となる)。現行プラットフォームの名称は従来のものを引き続き使用する。

米サン・マイクロシステムズ 最高技術責任者(CTO) クライアントシステムグループ担当のデイビッド・リバス氏Java搭載製品の成長状況。携帯電話が成長に大きく寄与しているが、携帯電話の出荷台数以上のペースでJava搭載製品は拡大しているという

“Java ME”について説明した米サン・マイクロシステムズ 最高技術責任者(CTO) クライアントシステムグループ担当のデイビッド・リバス(David Rivas)氏によると、Java搭載製品は2005年に10億台に到達し、特にJava搭載携帯電話については、世界140以上の事業者から700製品が登場、5億1000万台が出荷されているという。現在では、携帯電話の10台に8台がJava搭載となっているといい、「いまやJavaを使っていない携帯を見つけるほうが難しい」レベルにまで成長を遂げたと述べた。また、今後に向けた“Java ME”の技術的なトピックとしては、以下のポイントを挙げている。

Scalable 2D Vector Graphics for Java ME
携帯端末のマルチメディア機能の強化に寄与するという“Java ME”向けのベクターグラフィックスエンジン。機種による画面サイズ/解像度の違いなどを吸収し、幅広い端末でリッチなグラフィックス/アニメーションを表示できるようにする。またGUIにも活用可能。
MIDP 3.0
携帯電話でのJava実行環境の仕様を定義する“Java ME”プロファイル“MIDP(Mobile Information Device Profile)”の最新版。よりリッチなグラフィックスや高解像度表示などが盛り込まれる。
IP Multimedia Subsystem(IMS)
Blu-ray Disc Java(BD-J)
Java Card
エンタープライズにおけるモバイルとJava
モバイル端末の開発では、メモリー/バッテリー/プロセッサー/帯域幅などが重視されているが、エンタープライズ向け製品としては、セキュリティー/ライフサイクル管理/TCO/トランザクションといった面も重要となる。“Java ME”においてもエンタープライズでの活用を意識した成長を目指す。
“NetBeans”によるend-to-endのエンタープライズソリューション提供

米サン・マイクロシステムズ、VM/エンベディッド/リアルタイム/エンジニアリングサービス担当ディレクターのジョン・パンプチ氏“Java SE”のリリーススケジュール。現在は“Mustang”こと“Java SE 6”が進行中

続いて登壇した米サン・マイクロシステムズ、VM/エンベディッド/リアルタイム/エンジニアリングサービス担当ディレクターのジョン・パンプチ(John Pampuch)氏は、“Java SE”について解説。“Java SE”の現行バージョンは2004年にリリースされた“J2SE 5.0”だが、同社では18ヵ月ごとに新要素を追加した次期バージョンをリリースしていく方針だといい、2006年半ばを目標に“Mustang”の開発コード名で呼ばれている“Java SE 6”を、2008年初頭を目標に“Dolphin”(Java SE 7)を予定しているという。

パンプチ氏によると、次期リリース“Mustang”には「非常に多くのプランが盛り込まれる」というが、分類すると大きく次の6つのテーマに集約されるという。

互換性/安定性/品質の向上
診断/監視/管理機能の強化
XMLやウェブサービス関連機能の強化
標準技術に基づく相互運用性の向上など。
開発の容易さ(Ease-of-Development)の追求
デスクトップ技術
パンプチ氏は、デスクトップ技術の向上は「Javaの成功には欠かせないもの」としている。同氏によると“Mustang”におけるデスクトップ技術では、『Windows Vista』に盛り込まれるデスクトップ技術が「すべて」サポートされるという。
更なるオープン化の促進

なお“Mustang”は現在毎週開発中途版が公開されており(“Mustang Weekly Snapshots”)、パンプチ氏はキーノート出席者に向けて、テストへの参加とフィードバックの募集を訴えた。

米サン・マイクロシステムズのウェブサービス・ストラテジスト、マーク・ハプナー(Mark Hapner)氏

“Java EE”およびサービス指向アーキテクチャー(SOA、Service Oriented Architecture)に関して説明した米サン・マイクロシステムズのウェブサービス・ストラテジスト、マーク・ハプナー(Mark Hapner)氏は、次期バージョン“Java EE 5”のトピックを解説。“J2ME”や“J2SE”でも挙げられている“開発の容易さ(Ease-of-Development)”の向上はここでも強調されたほか、大きく5つのポイントが挙げられた。

ウェブサービスへの対応の簡易化
ウェブサービス関連の標準技術のサポート拡大
XMLデータ処理API“Java API for XML”(JAX)、W3Cにより標準化されたXMLスキーマやSOAPなどの最新仕様をサポートし、一層の相互運用性向上を目指す。
Enterprise JavaBeans(EJB)による開発の更なる簡易化
EJBの新バージョン“EJB 3.0”を盛り込む。
APIの拡張
“JavaServer Faces(JSF)”による簡単なウェブアプリケーション構築

このほかハプナー氏は、“Java EE 5”対応のJavaアプリケーションサーバー“Project GlassFish”も紹介。“Project GlassFish”は、CDDL(Common Development and Distribution License)に基づいてオープン化されており、現在は開発コミュニティーにより開発が進められているという。“Java EE 5”“Project GlassFish”ともに現在は開発途上段階であり、同氏は講演の中で出席者に対してフィードバックの応募を求めている。

なお、“Java EE 5”の今後のスケジュールは、最終的なドラフト仕様を2005年第3四半期に、“Java EE 5”のSDK(Software Development Kit)のβ版を2005年第4四半期に、そして“Java EE 5”最終バージョンを2006年第1四半期にそれぞれリリースすることを目標としているという。

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