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NTTドコモ、クレジットブランド“iD”の記者説明会を開催――市場のシェア1割を目指す

2005年11月08日 22時37分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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iDのロゴマーク
iDのロゴマーク

(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは8日、“おサイフケータイ”を用いたクレジットサービス事業向けのブランド“iD(アイディー)”を発表した。非接触ICカード技術“FeliCa”対応ICチップを搭載した同社のおサイフケータイの契約数は、6日現在で約700万(速報値)。同決済サービスの立ち上げは、今年4月に発表済み。iDの名前を冠した最初のサービスは、やはり4月に事業資本提携を発表した三井住友カード(株)が、“三井住友カードiD”として12月1日に取り扱いを開始する。NTTドコモは、三井住友カードほかのクレジットカード事業者にiDのサービスプラットフォームを提供するが、自らもクレジットカード発行事業を行ない、こちらは2006年度上期(2006年4~9月)の開始見込み。



iDのシンボルマーク アクセプタンスマーク
iDのシンボルマーク(対応カードに入れられるマーク)アクセプタンスマーク(利用可能な店舗に貼られているマーク)

ブランド名のiDは、NTTドコモによれば“Identity”(自己証明/存在証明)と“ID(IDentification)”(身分証明書/社員証)に由来し、“1人1人が必ず持つ、自分自身の分身のような存在になる”という意味が込められているという。サービスマークには、レオナルド・ダ・ヴィンチの人体図『ウィトルウィウス的人間』が用いられている。

シェア10%が目標

NTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 クレジットブランド担当部長の守屋 学氏
NTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 クレジットブランド担当部長の守屋 学氏

記者説明会に出席したNTTドコモ プロダクト&サービス本部 マルチメディアサービス部 クレジットブランド担当部長の守屋 学氏は、世界各国のクレジットカードの利用水準、国内の消費者信用供与市場の伸び率などをもとに、“仮にアメリカ並みに取扱高比率が増えた場合”の国内のクレジットカードの潜在市場規模(売上ベース)は大雑把に約1兆円だと紹介。同社は、携帯電話機を利用した従来のクレジットカードサービスにない価値を提供することで市場拡大に寄与し、国内市場におけるシェアについて「1兆円のできるだけ多くを取りたい。イメージとしては1割くらい。ブランド事業とイシュア事業(※1)あわせて1000億円」とした。目標達成のスケジュールについての言及は避けた。

※1 クレジットカード事業者の業務は、“イシュア”と呼ばれるカード発行業務(会員募集/管理/利用代金請求書)、“アクワイアラ”と呼ばれる加盟店業務(加盟店募集/管理/資金清算)の2つがある。三井住友カードなど国内の主な事業者はイシュア/アクワイアラともに手がけているが、どちらか一方だけの事業者もある。NTTドコモはクレジットカード発行事業を2006年に開始する予定だが、行なうのはイシュアだけで、アクワイアラはパートナーに頼る見込み



国内のクレジットカード市場の潜在的な規模のイメージ
国内のクレジットカード市場の潜在的な規模のイメージ

小額決済は“かざすだけ”

7日現在、iDのプラットフォームが利用可能な携帯電話機は、“FOMA”ブランドの902i/901iSシリーズの各機種とF901i/N901iC/SH901iC/F900iC、および“mova”ブランドのSH506iC/SO506iC/P506iC。利用するには、クレジットカード会社に申し込み後、対応機種に決済用iアプリ“iDアプリ”(Javaアプリケーション)をダウンロードして各種の設定を行なう。

iDによる決済は、コンビニエンスストアやファストフード店などでの小額決済から、レストランやホテルなどでの高額決済まで広くカバーする。一定額以下の決済の場合は、暗証番号やサインは不要でおサイフケータイをかざすだけで信用照会/認証を行なう。一定額以上は、サインは不要だが、4桁の暗証番号入力とセンター紹介を行なう。“一定額”については「1万円を下限値として想定しているが、イシュア(※2)の判断で1万円超の設定も可能」という。クレジットカード決済手数料は、既存のプラットフォームでは業種や加盟店のパワーで決定まる(全体の平均2~3%程度)が、やはり「個別交渉になる」という。

コンビニエンスストアやファストフード店などでの小額決済から、レストランやホテルなどでの高額決済まで広くカバー
コンビニエンスストアやファストフード店などでの小額決済から、レストランやホテルなどでの高額決済まで広くカバー
※2 ここではパートナーとなるクレジットカード事業者の意

セキュリティー機能

不正利用を防止する対策としては、(1)おサイフケータイ向けに現在提供しているネットワーク経由での“遠隔操作ロック”、(2)ユーザーが手元で行なうパスワードによる端末操作のロック、(3)ICチップ化によるカードの磁気記録情報の不正読み取り(スキミング)防止、(4)パスワードロックによる盗難時などのカード番号の表示防止を考えている。パスワードによるロックは、携帯電話機の機能全体/ICチップ関連全体だけでなく、iDアプリの1本単位でも設定できるようにしたいという。また、前述の小額決済向けには、イシュアからの盗難/紛失/支払滞納者情報に基づく“ネガ情報(無効カード情報)”をリーダーライターに登録し、不正利用を防ぐ。一方高額決済では、カード会社に対するネットワーク経由での信用照会/認証の過程や、暗証番号の入力/照会の過程で不正利用の防止を図る。

三井住友は3年で1000万会員を目指す

iDブランドの第1号サービスとなる三井住友カードiDは、同社のウェブサイトや申込書による募集を25日に開始する。発行手数料は無料で、年会費も無料。当初は、(株)ビックカメラの“ビックカメラ”や(株)ヨドバシカメラの“ヨドバシカメラ”といった家電量販店、(株)ドン・キホーテのディスカウントストアの“ドン・キホーテ”、(株)コロワイドの“甘太郎”や(株)レインズインターナショナルの“牛角”といった飲食チェーン、(株)旭屋書店の“旭屋書店”や(株)紀伊国屋書店の“紀伊国屋書店”などが参画を表明している(参画時期、店舗ごとの対応状況は不明)。利用可能店舗数の目標は1年間で10万店舗、獲得会員数の目標は三井住友カードの会員を中心に3年間で1000万人としている。

なおNTTドコモは、iDのサービスプラットフォームに対してオープンな姿勢を見せており、三井住友カード以外のカード事業者の参画について、「すでに多くのカード会社と交渉している」という。そのほか、NTTドコモは“ドコモカード”というクレジットカードサービスを運営しており、現在75万人程度の会員を獲得しているが、iDとの住み分けないし統合については現在検討中。いずれにしても「すぐにサービスを止めることはない」という。



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