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AVC、デジタルオーディオプレーヤー“SIGNEO”シリーズに新製品6モデルを追加──iPod nanoより薄いマーク・ニューソン氏デザインのプレーヤーも

2005年10月26日 04時52分更新

文● 編集部 小林久

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香港に拠点を置くAVCは今年5月に日本法人を設立し、7月末から新製品を市場投入した。(株)BCNなどの調査によると、国内のデジタルオーディオプレーヤー市場では、夏以降アップルコンピュータ(株)が売り上げを伸ばし、平均50~60%と圧倒的なシェアをキープ。残りのシェアをソニー(株)を始めとした、国内外のメーカーが奪い合う形となっている。

ソー氏
AVCのCEOビリー・ソー氏。「有名なデザイナーやソフト会社との協業」を重点課題として掲げ、ニューソン氏以外にも著名な社外デザイナーを起用していく方針を示した

AVCのSIGNEOは発売以来順調にシェアを獲得し、現在ではアップル、ソニー、アイリバー・ジャパン(株)、クリエイティブメディア(株)、市場からの撤退を表明したリオ・ジャパンに続く6番目のポジションに着けている。来日した本社のCEOビリー・ソー(Billy So)氏は発表会の席上で「日本国内でトップ3に入りたい」と明言。日本法人取締役でCOOの矢野間也寸志(やのま やすし)氏も「iPodの元気が良すぎるが、製品ラインナップを充実させて元気なところを見せたい」とコメント。「来年6月までに10%のシェアが目標。現状では2.5%程度だが、600万台の市場で7~10%のシェアを取っていきたい」と抱負を語った。

矢野間氏
矢野間氏。マニア向けの商品企画から、デザインに優れて使いやすい製品の企画が重要とし、CDやMDから移行しやすいGUIを作っていきたいとした。次期製品では、ダイレクトエンコーディング時にID3タグを追加できるツールの導入も検討しているという

好発進を遂げたAVCが、今後日本市場で重視していくのは“デザイン”の独自性だ。同社はこの冬の新製品で世界的に有名な工業デザイナー、マーク・ニューソン(Marc Newson)氏が手がけた『SN-A800』を投入。機能的な差別化が難しいデジタルオーディオプレーヤー(以下DAP)の市場において、今後も他社にない独創的なデザインと操作性を持った製品を投入していく方針だ。

発表会終了後の囲み取材で矢野間氏は「うちは1000台単位の少数ロットでも生産できるという強みがある」「今回の製品の多くは3ヵ月程度と短い開発期間で市場投入できた」と語り、多彩なニーズに応えられる体力がAVCにある点を記者に示した。

ODM事業にも注力

事業戦略のもうひとつの柱としてAVCが示したのが、ODM(Original Design Manufactured)事業だ。同社では設立当初からこの事業に注力しており、すでに、アーチストの布袋寅康とコラボレートした『SN-M500-H 布袋寅康モデル』、キリンビール(株)のアルコール飲料『氷結』のキャンペーン企画で生まれた『SN-A800K 氷結スペシャルバージョン』、レンタルCDチェーンの“TSUTAYA”でのみ販売される『SN-T100 TSUTAYA Edition』、通販大手の(株)ジャパネットたかたオリジナルモデルの『SN-J160 ジャパネットオリジナルモデル』といった製品をリリース済み。こういったODM関連のビジネスは同社の売り上げの約3割を占めているという。

氷結モデル 布袋モデル
今回発表された『SN-A800』の色違いモデルだが、アルコール飲料『氷結』の販促キャンペーン向けの製品として先に発表された『SN-M500-H 布袋寅康モデル』。布袋氏のトレードマーク“G”を象ったデザインで、コンサート会場などで販売。入場者の2割程度が購入したという
TSUTAYAモデル ジャパネットたかたモデル
TSUTAYAで11月20日から販売される『SN-T100 TSUTAYA Edition』。レンタルCDを借りにきたついでに購入できるようとにかく安価にすることを目標にしたという。『SN-J160 ジャパネットオリジナルモデル』。テレビショッピングで販売する初心者向けモデル。安価にするのはもちろんだが、ダイレクトエンコーディングやFMチューナーなど豊富な機能を追加した


他社の製品には“デザイン”と呼べるものはない

ニューソン氏
マーク・ニューソン氏(右)。デザインで最も重要なものは“クオリティー”であると答えた。次期製品のデザインに関しては“秘密”とのこと

発表会には、インダストリアルデザイナーのマーク・ニューソン氏も登場した。ニューソン氏は家具やキッチン用品から始まり、自動車や飛行機の内装など多彩な製品のデザインを担当する世界的なデザイナーで、最近ではKDDI(株)の携帯電話機『tarby』のデザインなども担当した。

SN-A800のデザインに際してニューソン氏は「まずフォーマットにこだわりたかった」という。薄く携帯しやすい本体と初心者にもなじみやすい操作性をシンプルなデザインにまとめた。

発表会はAVCの矢野間氏がニューソン氏に質問する形で進められたが、他社のデザインをどう思うかとコメントを求めた矢野間氏に対してニューソン氏は「デザインがない」と一刀両断。「メーカーもデザインがの悪さが自社のプロダクトの価値を低めているとだんだん気づくのではないか」と発言した。

合わせてニューソン氏は「消費者のデザイン志向は避けられない傾向になっており、もっともっと重視されるようになる」と述べ、「消費者の受け入れ体制はできているのにメーカーはその準備ができていない。もっと消費者に向けたデザインを打ち出すべきだ」とした。

発表会にはこのほかマイクロソフト(株)Windows本部コンシューマWindows製品部シニアプロダクトマネージャの倉本玲子(くらもと れいこ)氏も出席。Windows Media Player(WMP)の普及を促進するために、AVCなどWMAをサポートするプレーヤーメーカーと積極的に連携した販促活動を行なっていくとした。矢野間氏はDAP市場において「WMA対応プレーヤーの販売台数はほぼ38.9%、AACは42.8%だがこれはほとんどiPod」「機種数ではWMAが81.3%となる」と述べ、いずれはiTunesとWMPの2強対決となっていくだろうとした。



フォトセッション風景
発表会の最後に行なわれたフォトセッションから

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