サンワサプライの「グランツHSタイプS」 |
Windows XPなどの操作に使うポインティングデバイスの中でも特に多くの人に親しまれているのは、なんといっても“マウス”だろう。デザイン、カラーともにさまざまなものが市場に流通していることから、最近はマウスを“ファッション感覚”で選択する人も少なくないようだが、マウスはユーザーの“意思”を直接パソコンに伝える“マンマシンインターフェイス”である。マウス選択の究極のポイントは、やはり“使いやすさ”その1点に尽きる。
ボディーは滑らかな曲線を描くエルゴノミクスデザイン。本文でコンパクトサイズと触れてはいるが、高さは38mmで意外とある。 |
そこで最近のマウスでは、機能的デザインに基づいて設計されたボディーに3つ以上のボタンを搭載――というのは当たり前で、さらにユーティリティーソフトでユーザーをサポート/アシストするなど、使いやすさを向上させるための各種機能によって差別化を図っている。今回紹介するサンワサプライの「グランツHSタイプS」(以下“タイプS”)も、そうした使いやすさ向上のための各種機能を搭載したマウスのひとつである。
アプリ操作を中断することなくカーソルの移動速度切り替えが便利! サンワサプライ「オプトマウス グランツHR」レビュー。写真をクリックすると当該レビュー記事に移動します。 |
タイプSは5ボタンの光学式マウス「グランツHR」を小型化&3ボタン化した、横スクロール機能付きマウス“グランツHS”シリーズの新モデル。外観はグランツHS/HRをイメージさせる滑らかな曲線で構成されたエルゴノミクスデザインながら、そのサイズは62(H)×95(D)mmとスリム&コンパクトだ。グランツHRの大きさは72(H)×120(D)mmなので、一回り小さくなっている。マウスが小さいので、その操作は手の先で軽くつまむようなスタイルで行なうことになるだろう。成人男性として標準的な手の大きさと思われる筆者でも、ストレスなく自然に操作できているので、老若男女を問わず手になじむように思われる。
ボディーと左右ボタンは一体化されたデザインとなっている。中央にあるホイールは一見するとチルトしないようにも思えるが、横方向からの入力を確実に受け止める。 | 手をマウスに置いたところ。写真の手は一般的な成人男性のもので、マウスの小ささが際立つ。 |
タイプSの3ボタンは、左右ボタン+クリック可能な“チルトホイール”といった構成で、左右のボタンはグランツHR同様ボディーと一体のデザイン。ボタンはコード側に近い先端ではもちろん、チルトホイールより手前でもクリックに反応する。グランツHSシリーズの大きなポイントであるチルトホイールは、ホイールにかけた指先にわずかな力を加えるだけで左右に傾けることが可能だ。このチルトホイールは、ホイールを傾ければマウス(カーソル)を動かさなくてもその方向に横スクロールできるというもの。Excelなどの表計算ソフトで横に長い表を確認するようなケースで大変便利な機能である。実作業では横長の表を確認する機会は思いのほか多い。そのため、この機能で助かる人も結構いるのではなかろうか。
光学センサーは同社のグランツHSシリーズで採用されている「HP3000」を搭載。 |
さて、このタイプSだが、チルトホイール以外にもグランツHRから継承している便利な機能が2つある。それが“カウント切り替え機能”と“ユーティリティソフト”だ。
最初に挙げたカウント切り替え機能とは、カンタンなマウス操作でカウント数(分解能)を変更する機能のこと。標準では800カウントで、マウスの右ボタンとチルトホイールを同時にクリックすることにより800→200→400→800→……、と切り替えていける。グラフィックソフトなどで1ピクセル単位のカーソル移動が必要な状況で一時的にカウント数を下げたいことはあるが、そうしたケースでもわざわざコントロールパネルから“マウスのプロパティ”を開いて調整するようなことなく、アプリケーション切り替えもなしに手元の操作だけで変更できるのはすこぶる便利だ。ただし、カウント数の変化を確かめる術が用意されていない点は残念だ。LEDによる発色の違いや、タスクトレイに表示されるユーティリティーソフトのアイコンでカウント数を表示するなど、なんらかの工夫をゼヒ取り入れてほしかった。
付属のドライバ・ユーティリティーをインストールすると、マウスのプロパティーでさまざまな機能を使用できるようになる。画面はホイールの設定項目で、スクロール量などを変更できる。 |
もうひとつのポイントであるユーティリティーソフトの特徴は“多機能”さ。ユーティリティーソフトをインストールすることで、
- マウスのボタンに対する機能割り当て
- ホイール操作時のスクロール量
- ボタン検出に合わせたポインティングカーソルの移動
- ポインティングカーソルのループ(カーソルを画面端に移動すると逆の画面端から出現する)
など、さまざまな機能が使用できるようになる。
例えばホイール操作時のスクロール量では、幅を1とすればExcelでスクロールする際にセルをひとつずつ確実に移動でき、そのパラメータを5に設定すれば5セル分をいちどに飛ばすことで高速スクロールを実現できる。ユーザーの使い方に合った細かい要求に対応できるのはうれしいところだ。
ボタンに対する機能の割り当て。タイプSでは右ボタンとホイールに対して、ダブルクリックやCTRL+X/C/V、さらには指定したアプリケーションの実行など、合計38種の機能を割り当てられる。 |
また、マウスのボタンに対する機能割り当てでは、ボタンに対して「イージージャンプ」という機能を割り当てることができる。このイージージャンプは、アクティブウィンドウのスクロールバーに対する移動や終了の操作、ヘルプの表示に加え、コントロールパネルの表示やウェブブラウザーの起動など、合計8種類のアクションに対応するショートカットメニュープログラム。マウスを大きく動かしたり複数の手続きを行なわなくても、それらの機能を素早く実行できる。マウスを移動させる距離を少なくできるということは手にかかる負担の軽減に繋がるだけに、こうした機能の搭載は歓迎したい。注意しておきたいポイントとしては、タイプSは3ボタンマウスなので、イージージャンプを割り当てるとしたら一般的にはチルトホイールになること。そのため、イージージャンプを使用する場合にはホイールを使ったほかの機能が使用できなくなってしまう。ホイールの回転やチルトによるスクロールは可能なので一般的なソフトを使用するかぎりにおいては問題ないとは思うが、ホイールをセンターボタンとして使用しながらイージージャンプも使いたいという方は気をつけてほしい。
イージージャンプ。ボタン一押しでポインティングカーソルのある部分にこのメニューを呼び出すことができ、希望するアクションを素早く実行できる。 |
さらに、専用ユーティリティーをインストールしておくと、左側面の奥側ボタンが標準でカーソル移動&アプリケーションランチャー“イージージャンプ”に割り当てられている。これはカーソルの移動先となりそうな“縦スクロールバー”“横スクロールバー”“アプリケーションの終了ボタン”などにカーソルを移動、あるいはコントロールパネルのマウスのプロパティー、ウェブブラウザー、(現在アクティブなアプリケーションの)オンラインヘルプ、割り当てたアプリケーションの起動など、円を8分割したメニューが起動する。最大の800dpiにしても、マウスカーソルを大きく動かすにはそれなりに広い平面が必要で、机が狭い(机の上が汚い)という人にはうれしい機能だろう。
右は従来からあるグランツHRで、左が今回登場したタイプSである。グランツHRに対してタイプSは一回り小さいことが写真からもおわかりいただけるだろう。 | グランツHRでは人差し指を置くポイントに光学センサーをレイアウトしているが、タイプSではマウスの中央に変更されている。 |
USBコネクターにはほこりやゴミの付着や、金属部が当たることで傷付けることを防ぐためのカバーが付属するなど、パソコンバッグなどに入れて持ち運ぶ際にも便利だ。ノートパソコンをオフィスや外出先で積極的に使用する人や、机の狭くなっている人などに特に向くマウスといえる。カラーはブラックやホワイト、シルバーなど合計8色(カラーはこちらのページで確認できる)。コンパクトで使いやすいマウスをお探しの方にはもちろん、パソコンに合わせたカラーコーディネートで選んだ方にもきっと満足できるマウスになるだろう。
グランツHSタイプSの主なスペック | |
製品名 | グランツHSタイプS |
---|---|
分解能 | 800/400/200カウント/インチ |
インターフェイス | USB(PS/2への変換アダプタ同梱) |
ケーブル長 | 1.5m |
本体サイズ | 幅62×奥行き95×高さ38mm |
対応OS | Windows 98/Me/2000/XP、Windows 95/NT 4.0(PS/2接続の場合) |