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【Macromedia MAX 2005レポート Vol.5】MAD部隊が携帯電話やモバイル機器も席巻!? 次はデジタルカメラだ――アヌーブ・ムラーカ氏インタビュー

2005年10月20日 06時43分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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ケビン・リンチ氏が17日の講演で紹介した、Flashをユーザーインターフェースに搭載したコダックのデジタルカメラ『EasyShare-One』
ケビン・リンチ氏が17日の講演で紹介した、Flashをユーザーインターフェースに搭載したコダックのデジタルカメラ『EasyShare-One』

米Macromedia(マクロメディア)社は、“Flashプラットフォーム”をパソコンのみならず携帯電話やPDA、TVやSTBなどディスプレーのあるあらゆる機器に展開していくことを標榜している。その一環として今回、米Eastman Kodak(イーストマン・コダック)社の『EasyShare-One』の新製品のユーザーインターフェースにFlashを採用したことが、17日のケビン・リンチ(Kevin Lynch)氏の講演でも紹介された。ここでは、社内でMAD部隊と呼ばれるモバイル&デバイス部門のシニアディレクター マーケティングのアヌープ・ムラーカ(Anup Murarka)氏に話を聞いた。



モバイル&デバイス部門のシニアディレクター マーケティングのアヌープ・ムラーカ氏モバイル&デバイス部門のシニアディレクター マーケティングのアヌープ・ムラーカ氏
[編集部] まず、現在のパソコン以外の機器に対するFlashの普及状況を教えてください。
[ムラーカ氏] 現在すでに120以上のメーカーとFlashのライセンス契約を結んでいます。携帯電話で100種類以上、そのほかのデバイスで200種類程度搭載され、過去3年間に400万以上のFlashを搭載した機器を出荷しています。

特に日本ではFlashをうまく使っているメーカーが多いですね。ソニー、松下(電器産業)、三洋(電機)、シャープなどが端末を、エヌ・ティ・ティ・ドコモ(NTTドコモ)、KDDI、ボーダフォンがサービスを提供しています。さらに、過去1年間に台湾、韓国、オーストラリアなどアジアのオペレーター(携帯電話事業者)にも導入が進んでいます。

米国の端末にはまだFlash Player(Flash Lite)を搭載したものはありませんが、有志の間で交通渋滞の状況を撮影したカメラの映像を携帯端末から確認できるサービスがテストされています。また、(フィンランドの)ノキア、(韓国の)サムスン電子、ソニーエリクソンの3大メーカーが2006年にはFlash搭載端末の出荷を予定しています。
ノキアのFlash対応端末 米LeapFrog Entertainment社の『LEAPSTER』
ノキアのFlash対応端末Flashをインターフェースに使った知育玩具、米LeapFrog Entertainment社の『LEAPSTER』
[編集部] 日本では“FlashCast(NTTドコモのサービス名称は“iチャンネル”)”などのサービスをキャリアーが決めて、それに合わせた端末を各メーカーがいっせいに作る、という傾向にあります。一方、海外では端末メーカーが独自に機能を追加・拡張しているように見受けられます。どちらが、より望ましいでしょうか?
[ムラーカ氏] 確かに以前はキャリアーが細かく規定せず、アプリケーション以上のレイヤーには関心を示さなかった。しかし、最近は米国でもキャリアーが仕様やサービスの内容をハンドセット(端末)メーカーと共同で決めるようになってきている。例えばボーダフォンでは、サービスまで含む高い階層までの意思決定が進んでいる。iモードグローバルのアライアンスもあり、世界中でNTTドコモのサービス仕様を参考にして広めていく傾向にある。そうした中でFlashのサービスを搭載・提供する企業も増えているのです。

Flashは大きく3つのカテゴリーに使われています。
1つはiモードなどのウェブブラウザー。2つめはユーザーインターフェースとして使うもの。これは玩具にも使われており、2年前に発売された教育用のおもちゃ『LEAPSTER』というものですが、かなりヒットした商品だと聞いています。3つめはiチャンネル(FlashCast)のようにユーザーインターフェースとコンテンツを融合したもの。

Flash Liteの普及で、パソコンの世界のFlashコンテンツをモバイル端末でも見られるようにしていきたい。今は100%互換性があるわけではないが、オーサリングツールやデザインなどを共通化することで、(クリエイターの)資産を生かすことができます。

(以前からも言っているように)スクリーンを持つものには、(Flash Playerを)何でも搭載していきたい。例えば、今年1月に行なわれた“CES”(米国ラスベガスで行なわれた世界最大の家電製品のトレードショー)では、プラズマサインボードもFlashで動作制御しているほか、FA(ファクトリーオートメーション)機器のコントロールパネル、カーナビ、航空機の座席にあるエンターテインメントシステムなどにも使われています。さらに、(リンチ氏も紹介した)コダックのデジタルカメラや、日本のNTTコミュニケーションズのVOD STB(ビデオ・オン・デマンドの受信用セットトップボックス)のユーザーインターフェースにも使われています。今後はSTBだけでなく、TVそのものにもFlashを使ったものが増えてくるでしょう。
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)のOCN会員向けVOD STB VOD STBで視聴できる画面
エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ(株)のOCN会員向けVOD STBVOD STBで視聴できる画面(日本語のままで表示していて、来場者には読めたのかな?)。このユーザーインターフェースは、Flashで表現されている
[編集部] Flashを使うメリットとは何でしょうか?
[ムラーカ氏] ひとつは、Flashを使うことで、デバイスが変わっても同じインターフェースを実現できることです。例えばパソコンとTVなど、機器が変わっても同様のユーザーインターフェースを提供できます。2つめに、今回のMAXを見てもわかるとおり、非常に多くの開発者(デベロッパー)がいることです。100万人以上のデベロッパーがいるので、大きな開発力になります。3つめにFlashを使うことで早く開発できること。従来の組み込み型プログラミングに比べて、(同社の試算では)3~5倍早く作ることができます。
[編集部] なるほど、ありがとうございました。
韓国サムスン電子の『SCH-S380』 フィンランドのノキアの、ビデオカメラチックな携帯電話『N90』 この状態で電話がかかってきたら?
韓国サムスン電子(Sumsung Electronics)社の『SCH-S380』。隣の日本で一般的な携帯電話と比べると、いかに小さいかが分かるだろうフィンランドのノキア(Nokia)社の、ビデオカメラチックな携帯電話『N90』この状態で電話がかかってきたら、かなりあわてそうな気もするが……
デモ会場に展示されたFlash対応携帯電話の数々

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