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楽天とNTTドコモ、パソコン/携帯電話向けオークション事業で資本提携――「日本最大級の事業に」

2005年10月11日 21時27分更新

文● 編集部 伊藤咲子

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楽天(株)と(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモは11日、パソコン・携帯電話機向けのインターネットオークション事業での業務資本提携を発表した。楽天はインターネットオークション事業部門を会社分割し、新たに立ち上げる“楽天オークション株式会社”がそれを継承する。2社はノウハウを持ちより、「日本最大級のネットオークション会社」(楽天代表取締役社長兼会長の三木谷浩史氏)に育てることを目標としている。

左から楽天執行役員の池田真一氏、楽天代表取締役社長兼会長の三木谷浩史氏、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫(なかむら のりお)氏、NTTドコモ執行役員の夏野 剛氏
左から楽天執行役員の池田真一氏、楽天代表取締役社長兼会長の三木谷浩史氏、NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫(なかむら のりお)氏、NTTドコモ執行役員の夏野 剛氏

新会社の設立は12月1日の予定で、本店所在地は楽天と同じ東京都港区六本木。代表取締役社長には楽天の三木谷氏が就任し、従業員は15名の予定。資本金は1億5000万円。新会社は設立後に、NTTドコモを割当先とする第三者割り当て増資(1万2000株)を行なう。またそれと同時に、楽天は同社が保有する新会社の株式のうち4800株をNTTドコモに譲渡する。増資後の資本金は16億5000万円で、持ち株比率は楽天が60%、NTTドコモが40%。NTTドコモはこの40%の株式を約42億円で取得する予定。

資本提携はNTTドコモとだけ――楽天

三木谷氏
三木谷氏。楽天の各種サービスの利用は、現在10%弱がモバイルからという

新会社が継承するインターネットオークション事業は、楽天が現在運営中の“楽天フリマ”。楽天フリマは、ECサービス“楽天市場”の出店者ではない個人・法人が出品するオークションで、9月末現在の出品点数は約530万点という。新会社が継承した後のサービス名称は、楽天フリマをそのまま使用するかどうかも含め検討中で、決済手段ほか詳細も未定。サービス開始時期は「準備が整い次第」(NTTドコモ執行役員 夏野 剛氏)とだけした。ところで楽天は“楽天スーパーオークション”という楽天市場の出店者が開催するオークションサービスも運営しているが、こちらは当面の間、楽天が運営主体となる。ただし、2つのオークション事業の連携はかなり密に行なう模様だ。

なお、楽天のオークション事業の他の携帯電話キャリアとの業務・資本提携について三木谷氏は、「資本提携はNTTドコモとのみ行なうが、新会社の企業価値の最大化ということで、事業上ではいろいろなところと協力していく」と方針を示した。



先行する他社はモバイルでビジネス化できていない――NTTドコモ

今回インターネットオークション事業に進出するNTTドコモは、「最初からずっと楽天と話をしていていて、夏頃から具体的な話を始めた」(NTTドコモ代表取締役社長の中村維夫氏)というように、パートナーとしてはかねてより楽天を意識していたようだ。

国内最大級のインターネットオークション事業といえば、ソフトバンクグループのヤフー(株)が運営する“Yahoo! オークション”の名前が挙がる。記者団からヤフーに対する対抗策について求められたところ、夏野氏は、自らの発言中で具体的社名には触れなかったが「パソコンベースで最大のオークションサービスをやっている会社は、モバイルベースでは大きなプレゼンスになっていない」と評価する。さらに「“おサイフケータイ”とかトランザクション系のサービスはモバイルベースのほうが先に進む傾向に、PtoP系のサービスはパソコンベースのほうが先に進む傾向になっている。先行するパソコンベースのサービスを手掛けている会社がモバイルベースのところできちんとビジネス化できているかというと、必ずしもそうでないケースがまま見られる。今回のオークションという分野は、まさにそれ」と延べ、モバイル事業のノウハウを抱えるNTTドコモが今回参画する意義を強調した。

中村氏と夏野氏
中村氏と夏野氏

またNTTドコモは従来、“コンテンツプロバイダー”と呼ばれる多数のパートナー企業とともに市場開拓してきたが、“iチャネル”(8月発表)に続き、今回も自らがコンテンツプロバイダーになることになる。中村氏は、「既存の中でなかなか出てきていない新しいジャンルについては、“ノントラフィックビジネス”の一環で、(NTTドコモが自ら)開拓していくのは今後ともあり得る」と方針を語った。



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