マイクロソフト、『Microsoft Windows Server 2003 R2』のテクニカルセミナーを開催――R2は「Windows Server 2003の完成形」
2005年10月06日 22時12分更新
マイクロソフト(株)は6日、2005年内にリリースが予定されているWindows Server 2003のアップデート版『Microsoft Windows Server 2003 R2』に関するプレス向けのテクニカルセミナーを開催し、新機能やメリットに関する説明を行なった。
Windows Server製品部の高田信純氏 | WindowsサーバーOSのロードマップ。原則として、2年おきに大規模リリース(メジャーリリース→2年後にリリースアップデート→さらに2年後に次期製品のメジャーリリース)を行なう流れになっている |
セミナーで解説を行なったWindows Server製品部の高田信純氏によると、Windows Server 2003 R2は、現行バージョンのWindows Server 2003 SP1をベースに新機能を追加した“リリースアップデート版”にあたる「一番完成されたWindows Server 2003」という位置付け。今回のバージョンアップではアーキテクチャー面の変更はなく(アーキテクチャーが一新されるのは、2年後予定の“Longhorn”サーバー)、Windows Server 2003での大規模バージョンアップは今回が最終となるという。
Windows Server 2003 R2の製品ラインナップ。現行のWindows Server 2003のうち、Web Editionを除く全製品が“R2”になる |
セキュリティー面の強化を中心としたSP1に続く今回のアップデートでは、管理/運用機能面の強化が盛り込まれ、ストレージ管理の効率化、IDおよびアクセス管理の拡張、ブランチサーバー(支店や本社外拠点のサーバー)の管理の3点が大きな柱となる。各ポイントにおける具体的な強化/拡張は以下のとおり。
ストレージ管理の効率化
Windows Server 2003 R2で実現可能なストレージ管理ソリューションの構造図 | Windows Server 2003 R2のファイルサーバー/ストレージ管理機能のメリット |
- ファイルサーバーリソースマネージャ
- ファイルサーバーの統合管理ツール。新機能も含めて統合的な管理が可能。
- クォータ管理機能を強化
- 任意のディレクトリー単位でのクォータ設定、通知機能の強化、ファイルサーバークラスターへの対応などが図られる。
- ファイルスクリーニング
- 特定の形式のファイルをファイルサーバー上に保存させない機能。ディレクトリーまたはボリューム単位に設定可能。保存を禁止する“アクティブモード”と保存は許可するが警告を発する“パッシブモード”の2モードを用意。
- ストレージレポート
- ファイルサーバーの使用状況を把握するためのレポート機能。DHTML/テキスト/CSV/CML形式でのファイル出力、スケジュール実行、レポートのメール配信などの機能も持つ。
- シンプルSAN管理機能
- ハードウェア/ソフトウェアに依存しないファイバーチャネルおよびiSCSI接続ストレージの管理機能。ストレージ種別の違いをVDS(Virtual Disk Service)で吸収し、一元管理する。
IDおよびアクセス管理の拡張
“Active Directoryフェデレーションサービス”(ADFS)による生産性の向上効果 | ADFSによるコンプライアンス(法令遵守)面での効果 |
- セキュリティーの境界を越えるID/アクセスの管理
- インターネットを経由して、社内のActive Directoryと社外パートナーのActive Directoryのフェデレーション信頼関係を結ぶことで、社外のウェブアプリケーション/サービスなどに対してもシングルサインオンが可能な環境の構築が可能となる“Active Directoryフェデレーションサービス”を搭載。セキュリティーの向上と、IDおよびアプリケーション/サービスへのアクセスの管理コストの低減が可能に。また、Active Directory以外のディレクトリーサービスとの相互運用も可能。
ブランチサーバーの管理
Windows Server 2003 R2によるブランチオフィス管理の構造図 | Windows Server 2003 R2でのブランチオフィス管理のメリット |
- 分散ファイルシステム(DFS、Distributed File System)の強化
- 新管理ツールを搭載したほか、複製機能を強化。複製機能では、更新があったファイル全体を複製するのではなく、ファイルをブロック分割し変更のあったブロックのみ差し替えて複製する“Remote Differential Compression”を搭載することで複製作業中の帯域幅を削減、WAN回線経由での複製作業を効率化
- プリント管理コンソール
- Windows 2000以上のプリントサーバーを管理するコンソール。100サーバー/1000プリンター規模でも一元管理可能だという。設定の自動化、カスタマイズ可能な監視機能などを持つ。
Standard/Enterprise/Datacenterの各Editionで利用可能な機能 |
これらの機能追加/拡張に伴い追加されるコンポーネントは以下のとおり。
- Active Directory関連
- “Active Directory Application Mode”
- “Active Directory フェデレーション サービス”
- “UNIX用ID管理”
- “Microsoft .NET Framework 2.0”
- “UNIXベースアプリケーション用サブシステム”(x64対応)
- “Windows SharePoint Services v2
- ネットワークファイルと印刷サービス
- “Common Log File System”
- “Microsoft NFS サービス”(x64対応)
- 管理/モニタリングツール
- “Microsoft 管理コンソール(MMC) 3.0”
- “SAN用ストレージマネージャ”(Simple SAN)
- ハードウェア管理(WS-Managerment、IPMI)
- “ファイルサーバーリソースマネージャ”(FSRM)
- “プリント管理コンソール”
- 分散ファイルシステム
- “DFS管理”
- “DFSレプリケーションサービス”
このうち、Windows Server 2003 R2の導入時にデフォルトでインストールされるのはMMC 3.0のみで、これ以外については、必要に応じて別途インストールすることとなる。
Windows Server 2003 R2の提供方法などに関しては、提供チャネルは現行と変更はなく、パッケージ/OEM/DSP(システムビルダー向けライセンス)/ボリュームライセンスで提供。既存のWindows Server 2003ユーザーは、別途Windows Server 2003 R2用のサーバーライセンスを新規購入する必要がある。CAL(クライアントアクセスライセンス)についてはWindows Server 2003のCALを使用。また、インストールCDは、Windows Server 2003 SP1のCD-ROMと、Windows Server 2003 R2の新機能が収録されたCD-ROMの2枚構成で、Windows Server 2003 SP1のCD-ROMでインストールを開始し、途中のプロダクトID入力時にWindows Server 2003 R2用のIDを入力すると、続けてWindows Server 2003 R2のインストールが行なわれる(ただしデフォルトでインストールされるのは前述のとおりMMC 3.0のみ)。
なお同社では現在、製品候補版(RC0)のダウンロード提供を行なっている。URLはhttp://www.microsoft.com/japan/windowsserver2003/r2/default.mspx。導入には、Windows Server 2003 Enterprise Edition SP1の評価版が必要となるが、こちらもダウンロード提供されている。