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セコム、屋外巡回監視ロボット『セコムロボットX』を8日に発売――月額30万円からのレンタル販売で初年度200台/売上10億円を目指す

2005年10月06日 17時23分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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セコム(株)は6日、東京・原宿のセコム本社にプレス関係者を集め、屋外の巡回監視を行なえるセキュリティーロボット『セコムロボットX』を今月8日に発売すると発表した。販売形態はレンタルで、料金は月額約30万円(ロボット本体/監視センター装置一式を含む、ロボット単体を追加する場合は月額20万円)で、巡回ルートと無線通信アダプター、充電装置などの設置など初期費用が別途必要で、巡回ルートが500mの場合、450万円程度からとなる。同社では、「警備員を24時間張り付けた場合と比べて、(月額30万円は)半額程度ですむ」としている。

執行役員 開発センター長の森下秀生氏ら
執行役員 開発センター長の森下秀生氏(左)と開発センターチーフエンジニアの赤澤博之氏

発表会には執行役員 開発センター長の森下秀生(もりしたひでお)氏、開発センターチーフエンジニアの赤澤博之氏らが出席し、開発の背景や狙い、セコムロボットXの特徴などを説明した。

セコムは従来からセキュリティー(警備・保安)や医療・福祉の分野で、人の代わりに作業を行なえるロボットの開発に取り組んでおり、2002年5月には食事支援ロボット『マイスプーン』を発売。その後も、2004年10月に要介護者の自立支援ロボット『セコムリフト』の試作機を発表するなど、ロボット開発に注力している。今回発売を発表した『セコムロボットX』は、昨年7月に試作機の開発を発表しており、監視センターシステム(3台までのセコムロボットXを管理可能)などを含めて商品化し、発売にこぎつけたもの。

『セコムロボットX』発表会に登場した『セコムロボットX』。高さは子どもの背丈ほどで、外観は子どもが乗って遊ぶおもちゃの自動車のようだ。側面のライトは、普段は青くゆっくりした点滅で“呼吸”している様子を示し、不審者や異常を発見すると、赤い高速の点滅で“警告・警報”を示すという

セコムロボットXは、幅840×奥行き1225×高さ1120mm/約230kgのミニチュアの自動車のような形状の車輪駆動型自走式ロボット。2軸2輪駆動(補助用に後部に1輪)で、いわゆる超信地旋回(その場での360度方向転換)も可能な小回りの効く動きと、半径10mに及ぶレーザーセンサー/中距離を測定する超音波センサー/近距離の障害物を検知する近接センサー、6台のカメラで360度の視界を見回し、画像解析で不審者を自動的に判別(画像にマーキング)する視認装置などを備えるのが特徴。視認装置以外に、前方にはズーム/パン/チルトが可能で、人物や車のナンバープレートなどを撮影・記録するためのカメラも搭載する(周囲の明るさを検知して、夜間はナイトモード撮影に自動切り替え)。

右側面 正面 左後方からのカット
セコムロボットXの右側面。てっぺんのパトライトのような突起が6方向の監視カメラ、その下のくぼみには半径10mを検知するレーザーセンサーがある。前方の丸い突起はチルト/パン/ズームなどに対応する撮影用カメラセコムロボットXの正面。左右にあるライトの下に、白いくぼみが見えるが、ここにオプションの発煙装置、もしくは消火装置を装備する。鼻に当たる部分には近接センサーを搭載左後方からのカット。後方下のくぼみは充電用のコネクター。車輪も見えるが、地面からは高さ4cm程度上がっており、未舗装の場所でも土など凸凹の少ない場所で車輪が空転しなければ走行可能だという

通常巡回の経路は専用の白線でマーキングし、それをセコムロボットXが自分で見分けて経路上を最高時速10km/時で移動・監視する。登坂可能な角度は±13度まで。経路付近に不審者/不審物、また経路上に飛び出した物/人などを検知すると、自動的に監視センターに自動的に通報し、異常の内容を知らせる。監視センターとの通信は専用無線(利用周波数などの詳細は非公開)で行ない、監視員からの遠隔操作で経路以外への移動や不審者の追跡なども可能。

セコムロボットXのデモ 不審者登場! 不審者を見つけた場合の監視システムの画面
セコムロボットXのデモ。写真では銀色に反射しているが、駐車場の路面に専用白線で経路を設置してあるセコムロボットXの前に不審者登場! するとその場で停止して、内蔵合成音声で威嚇し、さらに監視システムに不審者の画像をマーキングして表示する別のパターンのデモだが、不審者を見つけた場合の監視システムの画面。このように見つけた不審者を赤い枠でマーキングして、監視者が見落とさないように表示する
巡回監視のデモ

不審者に対しては、光(輝度は不明だがかなりまぶしいフラッシュ)/音(内蔵合成音声による「誰だ、何をしている」という発声のほか、監視員がマイクを通じてしゃべる声をスピーカーから出すことも可能)、さらにオプション(月額1000円弱を予定)で煙を発して威嚇することができる。煙の成分は人体には無害とのことだが、発表会場でのデモ(同社ビルの地下2階駐車場で実演)では発煙直後に不審者の様子が見えなくなるほどに撒かれた。

自律走行で充電装置に接続するところ
自律走行で充電装置に接続するところ。普段は時速10km/時で快速に動くが、このときだけは後ろ向きになってゆっくり位置を確認しながら接続していた。このしぐさは、なんだかかわいい

連続走行可能距離は約7km(時速3~4km/時で2時間程度)、充電はロボット自身がバッテリー残量を検知して自分で充電スタンドに移動して充電を開始。充電時間は約1時間。不審者に対する巡回・監視のほか、炎を感知する温度センサーを内蔵し、オプションで消火装置を積むこともできる(発煙装置との併用も可能)。

あからさまに怪しい不審者3人組が登場! 「これでもくらえ」とばかりに煙を射出!! 数十秒して煙が収まり、ようやくたじろいでいる不審者が見えるようになった
あからさまに怪しい不審者3人組が登場! 警告の音声と監視システムへの通報のあとで……「これでもくらえ」とばかりに煙を射出!! フラッシュを焚いても不審者が見えない数十秒して煙が収まり、ようやくたじろいでいる不審者が見えるようになった。なお、この煙自体に催涙などの威力はなく、警告・威嚇を目的としたもの
発煙のデモ

同社では、社屋や学校、倉庫、ショッピングセンター、遊園地などでガードマンを雇っての巡回/立哨(出入り口で入退出者を見張る)業務、遠隔操作カメラを配置しての監視業務などで、人が出入りしにくい場所や時間帯などの補助としての利用を見込んでいる。また、360度センサーを生かして、前方から近づいてくる人物には「いらっしゃいませ」「おはようございます」、後方から近づく人物には「お気をつけてお帰りください」という具合に人の出入りに合わせて言葉を使い分ける門番の役目が果たせるとも説明している。

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