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マイクロソフト、ホスティングサービス市場での展開に関する記者説明会を開催――事業者向けにWindowsを積極展開

2005年10月05日 22時09分更新

文● 編集部 内田泰仁

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マイクロソフト(株)は5日、ホスティングサービス市場における同社の取り組みに関する記者説明会を開催した。この説明会では、特にウェブホスティングサービス事業者に向けたマイクロソフトの取り組みについて、米マイクロソフト社のデベロッパーマーケティンググループ プロダクトマネージャ エリック・フィーグラー(Eric C. Feagler)氏と、コミュニケーションセクター ホスティングソリューショングループ ディレクターのジョン・ザンニ(John Zanni)氏が、現状や課題、成果に関する説明を行なった。

米マイクロソフト デベロッパーマーケティンググループ プロダクトマネージャ エリック・フィーグラー氏米マイクロソフト コミュニケーションセクター ホスティングソリューショングループ ディレクターのジョン・ザンニ氏

フィーグラー氏によると、ウェブホスティング市場は、急成長を遂げているが多くのウェブホスティング事業者が存在する「断片的」な市場であり、マイクロソフトおよび各事業者にとって、多くのチャンスがある市場だという。しかし、事業者が採用するプラットフォームはLinuxの比率が高く、Windowsプラットフォームで事業を展開するエコシステムが未成熟な状態にあるとしている。

同氏はその原因として、ホスティングサービス市場におけるWindowsプラットフォームに対する間違った認識(1サーバーあたりのサイト収容数を多くできない/高価/セキュリティーに問題がある、など)があることを指摘している。これらの認識の多くは、旧世代のWindows NTに対するイメージが大きく影響しているという。また、ホスティング事業者の多くがLinuxを使い慣れており、Windowsを担当する技術スタッフを置かないケースも多く、一般コンシューマーに対して提供できるWindowsを採用することによる付加価値が小さい点も課題だとしている。

これらを受けてマイクロソフトでは、ホスティング事業者向けのビジネス展開として、

  • 誤解の解消や最新のWindowsプラットフォームによるサービス展開の価値を説く事業者へのアプローチ(宣伝啓蒙活動)
  • ISV/システムインテグレーター/開発コミュニティーなどとのパートナーシップによるホスティング事業者向けのビジネスチャンス開拓
  • ホスティング事業者が使いやすい機能(事業者自身が使いやすく、事業者がユーザーに対して使いやすい機能を提供できる機能)を持つ製品/ソリューションの提供
  • 共有型ホスティングサービス向けのライセンス体系(メンバー登録制をベースとした月額支払い方式ライセンス“PAYG(pay as you go)”)の提供

などの取り組みを進め、その結果、ウェブホスティング市場におけるシェアの拡大につながってきているという。

ホスティング事業者向けの同社ソリューションとしては、ベストプラクティスやスクリプトおよびツールをまとめた“Windows based Hosting”ソリューションを提供。“Windows based Hosting”では、Windows Server Systemをベースにウェブホスティング(IIS)/データホスティング(SQL Server)/Windows SharePoint Servicesホスティング(Windows SharePoint Services)といったサービス用コンポーネントと管理ツール群を提供、事業者が必要とするコンポーネントのみを選択して導入可能で、これと統合化による効率的な運用によりコストの削減が実現できるとしている。

“Web Site Starters for Windows”の主な特徴

また、“Windows based Hosting”に含まれるホスティング事業者向けソフトウェア群である“Web Site Starters for Windows”は、同社のパートナー企業/コミュニティーから提供されるアプリケーションの追加導入も可能。この日の説明会では、サードパーティー製のアプリケーションの中から、ポータルサイト構築用アプリケーションの『DotNetNuke』(オープンソースコミュニティーが主導で開発)および『SiteBuilder for Windows』(米SWsoft)と、これらを使ったサービスが紹介された。

『DotNetNuke』と『SiteBuilder for Windows』はいずれも、WYSIWYG(What You See Is What You Get)ベースのHTMLエディターやウィザードによるウェブサイト作成が可能なウェブホスティングサービスを提供するためのアプリケーション。事業者はモジュールの追加によりフォーラム/ブログ/ギャラリーなどの機能をユーザーに提供可能で、ユーザーによるページデザインの変更は、モジュール/スキンを利用して簡単に実行できる。また『DotNetNuke』では、コミュニティーを通じて200以上のモジュールが提供されており、欧米では『DotNetNuke』ベースのウェブホスティングサービスも多数運営されているという。



イタリアのAruba社が展開しているホスティングサービス“Aruba Nuke”のデモ。『DotNetNuke』を使用したサービスで、ユーザーはオンライン上で簡単にウェブサイトの作成が可能。年間使用料は20ユーロ程度(約2700円)
『SiteBuilder for Windows』のデモページ。説明会でのデモは英語環境で行なわれたが、日本語ローカライズも行なわれている。2006年9月末まで、ホスティング事業者に無償提供を行なうという

このほか、従来はサービスのほとんどをLinuxベースで提供していたホスティング事業者がWindowsベースのサービスへと比重を置き換えた事例が紹介された。これらのケースでは、実証を伴う“誤解”の解消(拡張性やTCOの面でのWindowsのアピール)に向け、技術的な支援(事業者の技術チームとマイクロソフトとの積極的な交流、アプリケーションの展開支援など)とビジネス面での支援(共同マーケティング活動など)を実施。その結果、紹介された事例では、事業者側の認識も変わり、Windowsベースとした場合のサービスの拡張性やTCOはLinuxと比較して同等ないしそれ以上、さらにビジネス面でも成功を収めたとの評価を得たとしている。

“Web Site Starters for Windows”導入ホスティング事業者のひとつ、米GoDaddy社の導入後の成果。当初はローエンドのサービスへのWindowsの導入はしないとしていたが、現在はWindowsベースでのサービスをデフォルトにしているというLinuxベースのみでサービスを展開していた仏Amen社の事例。Windowsベースのサービスの開始後、ホスティング事業においてフランス国内第3位から第1位に躍進。AmenはWindowsでもLinuxと同等/同価格のサービスが可能だと述べているという

今後の日本市場におけるホスティング事業者向けの展開としては、日本市場の独自性を理解して日本市場に適したベストプラクティスを構築することを重視しているといい、マーケティングなどのビジネス面でどのように事業者とパートナーシップを築いていけるかを日本法人とともに模索したいとしている。また、製品/ソリューションの今後の動きとしては、Exchange Serverをベースとしたメールホスティング、多くのホスティング事業者から要望が多いビジネスアプリケーションのホスティング環境の整備などを進めていくとしている。

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