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【CEATEC JAPAN 2005レポート Vol.13】富士通、折り曲げ可能なカラー液晶や携帯電話機を利用した“電子あぶり出しシステム”をデモ

2005年10月05日 20時36分更新

文● 編集部 小林久

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富士通(株)のブースでは、7月にプライベートショー“富士通フォーラム”で展示されたカラー電子ペーパーなど、いくつかの参考出品が行なわれていた。

カラー電子ペーパー
電源なしでも表示内容が保持され、折り曲げも可能なやカラー電子ペーパー

このカラー電子ペーパーはフレキシブルなフィルム基板上に3層のコレステロール誘導体の膜を形成したもので、それぞれの層は特定の波長の光のみを反射する仕組みとなっている(具体的には赤青緑の3色)。このため、モバイル機器などで用いられる反射型液晶パネルのように偏光板やカラーフィルターが不要である。

また、反射型液晶パネルでは3色の画素が交互に配置されるため、各色の反射する面積はパネル全体の面積の1/3ずつとなる。一方、カラー電子ペーパーでは、各色の反射面積をパネルと同じサイズにできる。つまり、パネルが反射する光の量は3倍で、10%程度と言われる反射型液晶パネルを上回る30%程度の反射率を実現できた。

表示内容を書き換える際には、非接触ICカードと同じ仕組みを使って画像の情報が交換される。表示内容は電源なしでも保持されるほか、フレキシブル基板を採用したことで、パネルを曲げて使用することもできる。

RFIDと同じ仕組みが採用されており、無線で内容を書き換えられる(左)、折り曲げも可能(中央)、ICカードなどへの応用も考えられる(右)

表示内容の書き換えには3秒程度の時間がかかるため、動画の表示はできないが、電車の中吊り広告など一定期間で内容が置き換わる静止画や残額やポイントが見える表示機能付きのICカードといった用途に適しているという。また曲面への貼り付けもできるので、レイアウトの自由度も高い。

携帯をかざすと文字が出る! 21世紀のあぶり出し

また、“印刷型ステガノグラフィ”と呼ばれる技術展示も行なわれていた。ステガノグラフィとは“あぶり出し”の意味。目の錯覚を利用して、QRコードや2次元バーコードのようなコードデータを目立たないように印刷物に埋め込んでおき、それを携帯電話機のカメラで撮影すると隠されたその写真の説明が表示される仕組み。

画像を撮影するとその情報が参照できる(左)、右の写真はコード情報が埋め込まれた画像を撮影したもので、よく見ると背景部分がまだらになっていることが分かる。このまだら模様のパターンをソフトで解析して、画像の情報を表示する

バーコードのようにデザイン性を損なわず、写真と情報を結び付けられるのが特徴。埋め込める情報は、JANコードと同じ10進数12桁までで、サーバーに蓄えたデータベースとこのコードを照合することで複雑な情報の表示にも対応できる。名刺を撮影するとアドレスが自動的に登録する、薬のパッケージの説明を音声で読み上げる、CDジャケットや映画のパンフレットで視聴・試写する……といった応用例も考えられる。

音声通話やテレビ受信にも対応したLinuxベースのPDAも展示

このほか富士通のブースでは、非接触型ICの“FeliCa”に自分の“手のひら静脈”情報を記録しておき認証に使える携帯電話機や、LinuxをベースにしたPDA『.u Visual』も展示されていた。.u Visualは、富士通製のフルブラウザー『Inspirium』(インスピリアム)、AVプレーヤー、無線IPテレビ電話機能、テレビ放送の受信機能などを搭載。インターネット接続や放送受信、音声通話などに1台で対応する。H.264への対応やワンセグ受信端末といった応用も想定しているという。

Felica&手のひら静脈認証 .u Visual
手のひら静脈認証に対応したFelica携帯電話機と、Linux搭載のビジュアル端末『.u Visutal』


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