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【CEATEC JAPAN 2005レポート Vol.3】最速7秒のフルカラー印刷を実現するデジタルプリント用ヘッド!!――ローム

2005年10月04日 14時31分更新

文● 編集部 佐久間康仁

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センサーやLED/LCDドライバーなどの半導体デバイスを開発・製造するローム(株)の製品は、携帯電話やプリンター、液晶ディスプレー/液晶TVなどさまざまな機器の内側で活躍している。会場では、そうした応用製品と自社の半導体デバイスを並べることで、来場者にも機能やメリットを分かりやすくデモしていた。

矢田さんパンフ1 IrSimple対応赤外線通信コントローラー『BU920004』
IrSimpleの高速伝送を体感できるデモ。2つ並んだ基板の間を赤外線の無線通信で接続して、右の基板側から画像伝送が終わると、左の基板に接続したディスプレーに画像が映し出されるというもの現在開発中のIrSimple対応赤外線通信コントローラー『BU920004』

特に注目を集めたのが、現在開発中というIrSimple対応赤外線通信コントローラー『BU920004』で高解像度画像を高速伝送するデモと、昇華型フルカラープリンターでL判サイズを最速7秒で出力できるという高速プリントヘッド(参考出展)だ。

IrSimpleは、IrDAと同様の赤外線を使った無線通信技術で、パケットを連続して転送するなど効率化を図ることで、従来と同じ4Mbpsでもより高速(4~10倍といわれる)な実効速度が得られるというもの(詳細はこちらのニュース記事を参照)。会場では、IrDAのSIR(115kbps)/FIR(4Mbps)およびIrSimple(4Mbps)をソフトウェア的に切り替えて高解像度画像を転送するアプリケーションを動かして、実効速度の違いを体感できるデモが行なわれた。転送データのファイルサイズが大きいほどIrSimpleの高速伝送のメリットがいっそう体感でき、500KB程度の画像ではIrSimpleが1秒程度で転送完了するのに対して、IrDA(FIR)では、理論値は同じ4Mbpsでも時間は4秒程度かかっていた。

シリコンチップ上に実装した0.2インチの有機ELディスプレー 有機ELディスプレーの構造
シリコンチップ上に実装した0.2インチの有機ELディスプレー。会場ではこれを小型カメラで映し出して、QVGAの画像が正しく映し出されているところを見せていたシリコンチップ上に形成した有機ELディスプレーの構造

最速7秒の高速プリントヘッドは、熱伝導性/熱制御を高速に行なうことで、インクを素早く用紙に昇華/定着させて実現している。解像度は300dpiでも、昇華型フルカラープリンターなので、インクジェットプリンターの解像度(複数のインクドットの組み合わせで階調を表わす)とは異なり、1ドットでフルカラーの表現が行なえるため、高精細で画質も良好だ。同社では、低消費電力を求める家庭向けモバイルプリンターより、高速出力を求める業務用(プリントキヨスクなど)への応用を目指して、開発・提案などを進めたいとしている。

最速7秒印刷を実現した昇華型プリントヘッドのデモ 印刷速度の進化
目の前で7秒後にフルカラーの昇華型プリントが終わって排出されると、正直びっくりする2003年当時はL判1枚23秒だったものが、2004年は12秒、そして今年は7秒に短縮されたという。ちなみに、参考出展されているプリントヘッドの幅は“はがき/ポストカード”まで印刷可能とのこと

このほか、同社説明員が「用途はこれから考えていきたい」という0.2インチ/QVGA表示の“超小型有機ELマイクロディスプレー”もユニークな存在だ。シリコンチップ上に有機ELディスプレーを形成したもので、1画素(ピクセル)は5×15μmという微細さ。同社では、「例えばビューファインダーなどへの応用も考えられる」という。

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