(株)ウィルコムは27日、PHS方式の音声端末4機種を発表した。4機種は、通信速度が最大128kbpsの“4xパケット通信”に対応したハイグレードモデル“310”シリーズ3機種と、同じく最大32kbpsの“1xパケット通信”に対応したエントリーモデル“300”シリーズ1機種に分けられる。310シリーズのラインナップは、京セラ(株)製造の『WX310K』、三洋電機(株)の『WX310SA』、日本無線(株)の『WX310J』で、300シリーズのラインナップは京セラ製造の『WX300K』。
ウィルコム代表取締役社長の八剱 洋一郎(やつるぎ よういちろう)氏。記者発表会で自ら新製品と新料金を紹介した |
今回発表された4機種は、ウィルコムの分類による“音声通話メイン派”と、カメラやメール/インターネットまで含めた“通信機能重視派”の移動通信機ユーザーをメインターゲットとしたもの(詳細はこちらの記事を参照)。通話メイン派の平均年齢は49歳で、通信機能重視派の平均年齢は40歳という。
ウィルコムの市場調査に基づく、移動通信機ユーザーのセグメンテーション | ウィルコムは、上記2派のほかに決済や音楽配信サービスなどまで含めた“多機能希求派”という分類を設けているが、こちらの平均年齢は36歳 |
4機種共通の機能として、パソコン用に製作されたウェブサイトを閲覧可能な“フルブラウザ”機能を搭載する。ウェブブラウザーは、WX310KとWX300Kの2機種がノルウェー Opera Software社の『Opera』、WX310SAとWX310Jの2機種が(株)アクセスの『NetFront v3.3』を採用する。その他の4機種共通の機能は以下のとおり。
- POP3/SMTPメールの送受信に対応するメールソフトを搭載
- 端末を紛失した際に、別の端末のメール送信や発信などによって、端末機能のロックやデータの消去が可能な“リモートロック”機能を搭載(『WX310K』は後日対応予定)
- 液晶ディスプレーの解像度はQVGA(240×320ドット)
- パソコンとUSBケーブルで接続することによりデータ通信が可能
Javaアプリケーションに対応した初のPHS端末
310シリーズ3機種の共通機能は、外部メモリー(miniSDカード)対応、Excel/Word/PowerPoint/PDFファイルが閲覧できる“ドキュメントビューワ”機能搭載、USBマスストレージクラス対応の3点。PHS端末で初めて搭載する機能として、WX310SAとWX310JはJavaに対応している。Javaアプリケーションを配信する予定のコンテンツプロバイダーは(株)ナムコや(株)タイトー、(株)jig.jpなど11社が同時に発表され、配信予定のアプリケーションのほとんどはゲーム。しかし携帯電話機向けで標準的な仕様のMIDP2.0を採用しており、ウィルコムは早期にビジネスアプリケーションも充実するのではと期待を寄せている。
310シリーズのいずれか2機種が搭載する主だった機能として、ICレコーダー機能(WX310SAとWX310J)、QRコードの読み取りに対応した有効130万画素のCMOSセンサー(WX310KとWX310SA)が挙げられる。またWX310Kのみ、Bluetooth 1.2による通信機能を搭載し、パソコンとのワイヤレス通信や、ヘッドセットあるいはハンズフリー機器を使用しての通話が可能だ。
「目標の400万加入を達成できる手ごたえ」
ウィルコムは、4機種の発表と同時に、データ通信向けの新定額料金プラン“データ定額”を発表した。代表取締役社長の八剱 洋一郎(やつるぎ よういちろう)氏は、「コミュニケーションという通信の基本機能において“新しい贅沢”をエンジョイしてもらうための商品と、商品の特徴をあますところなく発揮できるサービス体制」なのだと述べた(データ定額については、こちらの記事を参照)。
発表会において八剱氏は、販売/加入目標についてもコメント。音声通話の料金定額プラン“ウィルコム定額プラン”(5月開始)を発表した際に加入目標を400万としたが、「8月末で約336万加入に達し、今月も順調」という。今後の見通しについては、「商品の品揃えがあまりにも少ないという不満が(契約者に)かなりあったので、このままの商品構成でいけば400万加入はかなり難しいと思っていた。しかし、今回の新端末投入によって目標の400万加入を達成できる手ごたえを感じている」と述べた。将来の端末追加計画に関しては、コメントできることは少ないとしつつも、データ通信端末を含め、年に1回、2回と決めずに発表したいとした。