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M1000

M1000

2005年09月20日 22時30分更新

文● 島 徹

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音声通話もテレビ電話も当然可能

 通話に関しては、普通の携帯電話機と同じように構えて音声通話ができるほか、液晶ディスプレー上のCMOSセンサーにてテレビ電話も利用できる。Bluetooth対応のヘッドセットを使えば、ハンズフリー通話も可能だ。しかし、Bluetoothと無線LANは同時に利用できないため、通話しながら無線LANでインターネットへアクセスするような使い方はできない。一方、BluetoothとFOMAのパケット通信は同時に利用できる。このほか、M1000は海外の携帯電話方式GSMにも対応しており、国際ローミングサービスの“WORLD WING(ワールドウィング)”に契約していれば、海外での通話も可能だ。



多彩なアプリケーション

 パソコンと接続し、電話帳/スケジュールなどのデータをOutlookと同期する場合、端末内のデータをバックアップする場合、ファイルを転送する場合、パソコンからM1000用のアプリケーションをインストールする場合には、付属ソフトの「Desktop Suite」を使う。パソコンとの接続は、USBケーブル(USB 2.0)またはBluetoothを利用する。気になるのは、Desktop Suiteのファイルブラウザー上で約5MBのファイルを転送する場合、USB接続では約50秒、Bluetooth接続では約2分40秒もかかる点だ。前述のようにTransFlashを端末から取り出すのは手間なので、USBの転送に時間がかかるのは残念。

 内蔵のアプリケーションは、PDFファイルやワード、エクセルといったオフィス文書ファイルを再生できる「ドキュメントビューア」、スタイラスを使った手書きにも対応する「メモ帳」、付属のCDから国語・英和・和英の辞書データをインストールすることで利用できる「辞書」、サイドキーからも直接起動できる「ボイスレコーダー」、mp3やMIDIファイルなどを再生できる「ミュージックプレイヤー」など。これらM1000に搭載されているほとんどのアプリケーションは、M1000の待ち受け画面や上部のアプリケーション選択バーに登録し、すぐに実行できるようになっている。

オフィス文書ファイルを閲覧できるドキュメントビューア。一般的な携帯電話に搭載されている物と違い、スタイラスで直感的に行えるスクロールが便利だミュージックプレイヤーはmp3やWMV、MIDIといった楽曲ファイルの再生に対応する。楽曲を再生したまま他のアプリケーションを利用できるが、負荷のかかる処理を行うと再生が途切れるのはご愛敬
メモ帳の手書きモードはペンの太さや色を変えられるほか、UNDOにも対応する。ちょっとしたメモから、暇つぶしのスケッチなどに利用できそうだ辞書機能は初期状態ではデータが入っておらず、M1000に付属するCDからパソコン経由で辞書データをインストールする必要がある
ボイスレコーダーは端末右側面のキーで簡単に起動できる。録音した音声の再生時に、再生位置を指定できないのは少々不便。録音した音声は、秒間13kbpsの.amr形式にて保存されるコントロールパネルの上部メニューにある、“表示”の“ユーザー設定”から、画面上部に常時表示されるアプリケーション選択バーを編集できる

 カメラはメインカメラとして有効画素数131万のCMOSセンサーと、テレビ電話用のインカメラとして有効画素数31万のCMOSセンサーを搭載する。だが、FOMAのハイエンド機の多くで搭載されているマクロ撮影機能は搭載しておらず、遠景ならばそれなりに撮れるのだが、近接撮影には向いていない。動画は176×144サイズの物を最大300秒まで撮影でき、“.3gp形式”で保存される。

【撮影サンプル1-a】1280×960ドットで撮影した画像を640×480ドットにリサイズ【撮影サンプル1-b】1280×960ドットで撮影した画像の一部を640×480ドットで切り出した。断歩道のエッジなどに偽色が見受けられる
曇天の市街を撮影。圧縮率の影響もあって全体にノイズが見受けられるが、携帯電話のパンフォーカス内蔵カメラとしては平均的な解像力といえる
【撮影サンプル2-a】1280×960ドットで撮影した画像を640×480ドットにリサイズ【撮影サンプル2-b】1280×960ドットで撮影した画像の一部を640×480ドットで切り出した
マクロ機能を搭載していない本機だが、近接撮影の性能を測るため、メジャーの目盛り5cmごとに電池を配置してシャッターをきってみた。写真手前から6・7本目の電池、すなわち30~35cmが最短撮影可能だろう


魅力は自由度の高さ

 M1000の魅力は、携帯電話事業者のサービスに沿って端末やネットワークの利用方法が制限された一般的な携帯電話機にはない、自由度の高さにある。これまで述べたように、パソコン向けの多彩なウェブサイトを閲覧できたり、いくつものメールアドレスを登録して用途別に利用したり、自由な開発環境が公開されているので好きなアプリケーションを追加してカスタマイズできたりと、可能性は広がる。また、「ウェブとメールはパソコンからで十分。iモードは使わない」という人にも、ウェブとメールの利用環境がパソコンにほぼ近く、可搬性に優れたM1000は魅力的な端末ではないだろうか。

 M1000の残念な点は、文字入力をはじめ細かい使い勝手があまり洗練されていないこと、料金プランに定額料金制が用意されていないこと、PDAと比べて日本のユーザーが開発したソフトウェアがまだ少ないことだ。ソフトウェアの少なさは、英シンビアン社の子会社であるスウェーデンのUIQテクノロジー社が提供している、Symbian OS向けユーザーインターフェイスプラットフォーム“UIQ”を採用した端末が、国内向けではM1000が初めてであるためだ。NTTドコモやその他の携帯電話キャリアから、ぜひこれに続くより使いやすいスマートフォンの登場を期待したいところだ。

 M1000は、一般的な携帯電話とまったく違う情報通信機器のスマートフォンを国内で体験できる端末だ。購入するなら、家庭のインターネット環境を外に持ち出す、2台目の携帯電話としての利用をお勧めしたい。

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