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サン・マイクロシステムズ、Opteronを搭載した新ラックマウント・サーバー『Sun Fire X4200サーバ』など4製品を発表――マクニーリCEOも来日

2005年09月16日 22時00分更新

文● 編集部 内田泰仁

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記者説明会の壇上で握手を交わすサンのスコット・マクニーリ氏とAMDのヘクター・ルイズ氏

サン・マイクロシステムズ(株)は16日、米Advanced Micro Devices(AMD)社のOpteronを搭載するエントリー~ミッドレンジ向けのラックマウント・サーバー『Sun Fire X4100サーバ』『Sun Fire X4200サーバ』『Sun Fire X2100サーバ』と、同じくOpteron搭載のワークステーション『Sun Ultra 20 Workstation』の4製品を発表した。また、この日の発表に合わせて行なわれた記者説明会には、米サン・マイクロシステムズ社の最高経営責任者のスコット・マクニーリ(Scott McNealy)氏、米AMDの最高経営責任者のヘクター・ルイズ(Hector de J.Ruiz)氏が出席し、両社の強固なパートナーシップをアピールした。



『Sun Fire X4100サーバ』『Sun Fire X4200サーバ』
Sun Fire X4100/4200の主な特徴

『Sun Fire X4100サーバ』および『Sun Fire X4200サーバ』は、“Galaxy”のコードネームで開発が表明されていた製品。いずれも最大2基のOpteron(シングル/デュアルコア対応)を搭載可能で、筐体サイズは、『Sun Fire X4100サーバ』は1U(高さ約44mm)、『Sun Fire X4200サーバ』は2U(高さ約88mm)。これに伴って、内蔵可能なディスクドライブの台数、拡張用のPCI-Xスロットの本数が異なる。また、コストパフォーマンスを重視して業界標準のコンポーネントを使用しつつ、同社が培ってきたエンタープライズクラスの信頼性/可用性/保守性/管理性の実現を目指した設計となっているという。

標準スペックは以下の通り。

CPU
Opteron 248-2.2GHz×1/252-2.6GHz×2/254-2.8GHz×2/275-2.2GHz(デュアルコア)×2
チップセット
AMD-8000
メモリー(DDR400、最大16GB/1CPUあたり8GB)
Opteron 248搭載時:1GB/Opteron 252搭載時:2または4GB/Opteron 254搭載時:2または8GB/Opteron 275搭載時:4GB
HDD(2.5インチ/SAS接続、最大4台内蔵可能。Sun Fire X4100サーバは、光学ドライブ搭載時は2台まで)
Opteron 248搭載時:なし/Opteron 252搭載時:なしまたは73GB×1/Opteron 254搭載時:なしまたは73GB×2/Opteron 275搭載時:73GB×2
光学ドライブ
DVD-ROMドライブ×1(Opteron 248搭載時を除く)
拡張カードスロット(ロープロファイルカードが使用可能)
Sun Fire X4100サーバ:PCI-X 100MHz×1/133MHz×1
Sun Fire X4200サーバ:PCI-X 100MHz×1/133MHz×1/66MHz×3
ネットワーク
10/100/1000BASE-T×4、10/100BASE-TX(サービスプロセッサー専用)
インターフェース
USB 1.1×4、SAS×4、シリアルATA×1、シリアル(サービスプロセッサー専用)
グラフィックス
ATI Rage XL

このほかの特徴としては、以下の点が挙げられている。

  • 電源や内部冷却ファンは冗長化された設計で、システム稼働中に交換可能
  • 交換可能な部品には個別にLEDを配備、障害発生時には交換対象の部品が視認可能
  • 低価格サーバーでは装備なしまたはオプションとされるケースが多い管理用のサービスプロセッサーを標準搭載。部品交換以外の制御/操作/管理/運用を完全にリモート化可能

対応OSは、Solaris 10(64bit版)/Red Hat Enterprise Linux 3(32/64bit版)/Red Hat Enterprise Linux 4(64bit)/SUSE LINUX Enterprise Server 9(64bit版)/Windows Server 2003(32/64bit版)。標準構成の場合、OSはSolaris 10がプリインストールされる。価格と出荷開始時期は、『Sun Fire X4100サーバ』が27万7000円から/11月上旬、『Sun Fire X4200サーバ』が32万7000円から/11月上旬(価格はいずれも税抜。価格にはSolaris 10を含む)。

『Sun Fire X2100サーバ』

『Sun Fire X2100サーバ』は、エントリー向けの1Uラックマウントサーバー。上位機種のSun Fire X4x00シリーズと異なり、CPUにはOpteron 100シリーズを採用し、搭載可能なCPUは1基となっている。また、最大メモリー容量が4GB、HDDは3.5インチ/シリアルATA接続(最大2基)、拡張カードスロットがPCI Express x8、サービスプロセッサーがオプション、といった点が異なる。標準スペックは以下の通り。

CPU
Opteron 148-2.0GHz/148-2.2GHz/152-2.6GHz/175-2.2GHz(デュアルコア)
チップセット
nForce4 Ultra
メモリー(DDR400、最大4GB)
Opteron 146搭載時:512MB/Opteron 148搭載時:1GB/Opteron 152および175搭載時:2GB
HDD(3.5インチ/シリアルATA接続、最大2台内蔵可能)
80GB(Opteron 146搭載時はなし)
光学ドライブ
オプション(DVD-ROMドライブ×1)
拡張カードスロット(ロープロファイルカードが使用可能)
PCI Express x8×1
ネットワーク
10/100/1000BASE-T×2
インターフェース
USB 2.0×6、シリアルATA×4、シリアル
グラフィックス
ATI Rage XL

対応OSは、Solaris 10(64bit版)/Red Hat Enterprise Linux 3(32/64bit版)/Red Hat Enterprise Linux 4(64bit)/SUSE LINUX Enterprise Server 9(64bit版)/Windows Server 2003(32/64bit版)。標準構成の場合、OSはSolaris 10がプリインストールされる。価格は9万4000円で、出荷開始時期は11月中旬の予定(価格は税抜。価格にはSolaris 10を含む)。

『Sun Ultra 20 Workstation』『Sun Ultra 20 Workstation』の筐体内部

タワー型筐体の『Sun Ultra 20 Workstation』は、ローコストな64bitワークステーションという位置付けの製品。CPUにOpteron 100シリーズ、チップセットにPCI Express対応のnForce4 Ultraをそれぞれ採用する。PCI Express x16接続のグラフィックスアクセラレーターをオプションで用意し、システム管理やソフトウェア開発から、3Dグラフィックス性能が要求されるEDA(Electronic Design Automation)/MCAD(機械系CAD)などの用途にまで対応可能だとしている。標準スペック構成は以下のとおり。

CPU
Opteron 144-1.8GHz/148-2.2GHz/152-2.6GHz
チップセット
nForce4 Ultra
メモリー(DDR400 デュアルチャネル、最大4GB)
Opteron 144搭載時:512MB/Opteron 148搭載時:1GB/Opteron 152搭載時:2GB
HDD(3.5インチ/シリアルATA接続、最大2台内蔵可能)
Opteron 144または148搭載時:80GB/Opteron 152搭載時:250GB
光学ドライブ
Opteron 144または148搭載時:DVD-ROMドライブ/Opteron 152搭載時:DVD±R/RWドライブ
拡張カードスロット
PCI Express x16×1、PCI Express x1×2、PCI×4
ネットワーク
10/100/1000BASE-T×1
インターフェース
USB 2.0×6、IEEE 1394×2、シリアルATA×4、シリアル
グラフィックス
ATI Rage XL(オンボード)
オプション:NVIDIA Quadro NVS280搭載カード、NVIDIA Quadro FX1400搭載カード(いずれもPCI Express x16接続)
ディスプレー(オプション)
17インチCRT/21インチCRT/19インチ液晶ディスプレー/24.1インチ液晶ディスプレー

プレインストールOSはSolaris 10(64bit版)で、このほか標準で、ソフトウェア開発環境『Sun Studio 10』『Sun Java Studio Creator』『Sun Java Studio Enterprise 7』が付属する。なお、このほかの対応OSは、Red Hat Enterprise Linux 3(32/64bit版)/Red Hat Enterprise Linux 4(32/64bit)/SUSE LINUX Enterprise Server 9(64bit版)/Windows XP Professiona/Windows XP Professiona x64 Edition。価格は11万3000円から(税別価格)、発売時期は10月上旬。

米サン・マイクロシステムズ 最高経営責任者のスコット・マクニーリ氏

記者説明会で登壇し、新製品の紹介とサン・マイクロシステムズの最近のビジネス概況の説明を行なったマクニーリ氏によると、同社は現在、イノベーションに対する積極的な投資、製品ポートフォリオを拡大する企業買収(中でも米Strage Technology(StrageTek)社の買収は大規模なもので、全世界のテープストレージ市場のシェアの36%がサンのものとなったとしている)、米マイクロソフト社/AMD/日本電気(株)/富士通(株)/(株)日立製作所などとの戦略的なパートナーシップの強化などを展開し、「(ITバブル崩壊後の)大変な時期を乗り越え、大変面白い状態に転じた」と述べた。そして、今回発表したOpteronベースの新サーバー/ワークステーションは、こうした流れの中から生まれた成果だとしており、「今後、半年から1年をかけて、x64ベースのサーバーにおけるイノベーションはさらに進展する」との見通しを示した。

新製品のイメージ広告のひとつを披露するマクニーリ氏。同氏曰く、「暖炉の前のソファーでくつろぐSunFireがとてもセクシー」

また、今回発表されたOpteronサーバーの開発は、2004年2月に同社に復帰した創業メンバーの1人、アンディ・ベクトルシャイム(Andy Bechtolsheim)氏のチームによるものだといい、マクニーリ氏は「アンディ(ベクトルシャイム氏)の復帰により(Opteronベースの)製品の開発体制は大きく強化された」とするとともに、米アップルコンピュータ社のCEOスティーブ・ジョブズ(Steve Jobs)氏を引き合いに出し、「(IT業界で)ジョブズ氏はコンシューマーの分野において非常に優秀だが、この分野(Opteronサーバー)におけるアンディは、彼に匹敵する優秀な人材」という高い評価を述べた。また、ベクトルシャイム氏のチームによる開発での最大の進化点としては、ラックマウントサーバーの小型化/省電力化だとしている。



マクニーリ氏が示したOpteronサーバーとXeonサーバーの処理速度/省電力性能/ラックサイズ/価格の比較

マクニーリ氏は、サーバー戦略における同社のライバルとして、今回の製品と近いレンジの中からは米デル社/デル(株)などのEM64T対応Xeon搭載サーバーを、さらに広範な対抗製品としては、HP-UXやIBM AIXのサーバーを挙げている。まず前者については、“スピード”“省電力性”“ラックサイズ”“コスト”の4点をポイントとして挙げ、今回の製品ではいずれの点においてもXeonサーバーを上回るとしてx64サーバー市場での同社製品の優位性を強調した。また、後者については、x86およびx64 CPUをサポートしていない点を指摘し、低価格で強力なサーバーを構築できるx64サーバーは「市場でボリュームを出せる」製品だとして、より大きな市場を獲得できるx64採用製品が今後は有利だと述べている。

さらに同氏は、エントリー~ミッドレンジサーバー市場で競合するデルについて、「マーケットリーダーではある」との一定の評価を与えつつも「社名から“コンピューター”を外したことにも現われているように、研究開発を積極的に展開するメーカーではなく、ディストリビューションチャネルのひとつになった」と分析し、積極的な研究開発を行なっているというサン・マイクロシステムズとの企業カラーの違いを指摘した。

米AMDの最高経営責任者、ヘクター・ルイズ氏

マクニーリ氏に続いて登壇したAMDのルイズ氏は、「サンがAMDのCPUを搭載した製品のイノベーションを先導し、両社のパートナーシップにより、互いのイノベーションが進展」しているとして、サンとの協業の成果を高く評価。今後も両者間の関係を強化しつつ、「優れた“選択肢”を市場に対して提供する」と述べた。

また、協業が成功していることの要因として、両社の企業姿勢の相似を挙げており、「顧客に対してソリューションを提供する、ニーズに応える技術を提供する、これを実現するために投資する、という価値感が似ている」のだとしている。

閉会の挨拶を行なった日本法人の代表取締役社長、ダン・ミラー(Dan Miller)氏新製品の概要を説明した取締役 マーケティング統括本部長の杉本博史氏

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